薬剤師の珍しい仕事一覧|希少職種マップ・適性・難易度・年収まで徹底比較

「薬剤師の資格を活かして、もっと違った世界を見てみたい」と考えたことはありませんか?

調剤薬局や病院での勤務は一般的ですが、実は薬剤師のフィールドは驚くほど多岐にわたります。国家公務員として国の安全を守る仕事から、AIを駆使する最先端のデータ解析、地球の裏側で医療支援を行う仕事まで、その活躍の場は無限大です。

この記事では、一般にはあまり知られていない「薬剤師の珍しい仕事」を網羅的に紹介します。

それぞれの仕事の特徴や難易度、就くためのルートを知ることで、あなたのキャリアの可能性を広げるきっかけにしてください。

1. 珍しい仕事カテゴリ一覧(全体マップ)

まずは、薬剤師が活躍できる希少なフィールドを6つのカテゴリに分けて見ていきましょう。

一言で「珍しい仕事」といっても、公務員として安定を求めるのか、ビジネスの最前線に立つのかによって、その性質は大きく異なります。

1-1. 公的・行政・治安領域

国の機関や行政組織の一員として働く仕事です。自衛隊薬剤官や刑務所の法務技官、麻薬取締官などがこれに当たります。

安定した身分でありながら、国防や治安維持という特殊な任務に携わることができるのが特徴です。

1-2. 科学捜査・監視領域

科学的な専門知識を用いて、犯罪捜査や監視を行う仕事です。警察の科学捜査研究所(科捜研)や、税関での薬物分析などが代表的です。高い分析技術や化学的な知見が求められる専門職です。

1-3. スポーツ・教育・メディア

医療機関の外で、知識を伝える・支える仕事です。

アスリートを支えるスポーツファーマシストや、学校環境を守る学校薬剤師、専門情報を発信するメディカルライターなどが含まれます。

副業やフリーランスとして活動するケースも多い領域です。

1-4. 産業・製品開発

医薬品以外の製品に関わる仕事です。

化粧品や食品メーカーでの開発、生薬バイヤーなどが挙げられます。「薬」の枠を超えて、生活に身近な製品の安全や品質を支えるやりがいがあります。

1-5. 医療×最前線

通常の医療現場とは異なる、特殊な環境下での医療です。災害現場に駆けつけるDMAT、離島やへき地での医療、国際NGOでの海外活動などがこれに当たります。過酷な環境下での対応力が求められます。

1-6. データ・先端医療

ITやビッグデータを駆使する新しい領域です。

リアルワールドデータ(RWD)の解析や、AI創薬支援などが注目されています。高い専門性と引き換えに、高年収が期待できる分野でもあります。

2. 具体例で見る:薬剤師の珍しい仕事12選

2-1. 自衛隊薬剤官(補給・衛生隊)

【なぜ必要なのか】
自衛隊員が任務を遂行するためには、心身の健康が不可欠です。薬剤官は「自衛官」でありながら「薬剤師」という二つの顔を持ち、隊員の健康管理や衛生資材の補給を担います。

【具体的な業務】
駐屯地内の医務室や自衛隊病院での調剤業務に加え、災害派遣や海外PKO活動において、現地での防疫活動や水質検査などを行います。幹部候補生として採用され、厳しい訓練を経て現場に配置されます。

【アドバイス】
体力と精神力が求められる仕事ですが、国防に直結する唯一無二の職種です。自衛隊幹部候補生採用試験を受験する必要がありますので、年齢制限や試験区分を早めに確認しておきましょう。

参考:自衛隊幹部候補生 - 防衛省

2-2. 刑務所・拘置所の薬剤師(法務技官)

【なぜ必要なのか】
矯正施設(刑務所や拘置所)には多くの被収容者が生活しており、彼らの健康を管理することは国の義務です。法務技官(医療職)として採用され、医師と連携して医療を提供します。

【具体的な業務】
施設内の診療所にて、調剤や服薬指導、医薬品の在庫管理を行います。一般の病院と異なり、セキュリティが厳重な環境での業務となります。シャンプーや石鹸などの日用品(衛生用品)の管理を任されることもあります。

【アドバイス】
国家公務員としての採用ですが、ハローワークなどで公募されることが一般的です。「法務技官 薬剤師」などのキーワードでこまめに検索すると求人が見つかることがあります。

2-3. 麻薬取締官・取締官補

【なぜ必要なのか】
違法薬物の乱用は社会の安全を脅かします。麻薬取締官(通称「マトリ」)は、厚生労働省の職員でありながら「特別司法警察職員」としての権限を持ち、薬物犯罪の捜査を行います。

【具体的な業務】
薬物犯罪の捜査、逮捕、家宅捜索に加え、医療機関や薬局への立入検査を行い、医療用麻薬の適正管理を指導します。捜査においては、おとり捜査などが認められている特殊な職種です。

【アドバイス】
薬剤師免許を持っていると採用試験の受験資格が得られます(または国家公務員試験一般職)。非常に狭き門ですが、薬学的知識を捜査に応用できるスペシャリストです。

参考:麻薬取締官 採用情報 - 厚生労働省
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)):薬剤師 – 職業詳細

2-4. 保健所・行政監視(GMP/GDP監視含む)

【なぜ必要なのか】
地域の公衆衛生を守るため、飲食店や薬局、医薬品製造所の許認可や監視が必要です。公務員(行政薬剤師)として、法律に基づいた指導を行います。

【具体的な業務】
薬事監視員や環境衛生監視員として、薬局の開設許可や立入検査、食品衛生の指導などを行います。近年では、医薬品の製造管理(GMP)や流通管理(GDP)の監視業務も重要性を増しています。

【アドバイス】
地方公務員試験(薬剤師区分)に合格する必要があります。デスクワークとフィールドワークのバランスが良く、地域住民の健康を制度面から支えたい方におすすめです。

2-5. 科捜研・警察薬物分析

【なぜ必要なのか】
犯罪現場に残された証拠を科学的に分析し、犯人特定や事実解明につなげるためです。都道府県警察本部の科学捜査研究所(科捜研)の研究員として勤務します。

【具体的な業務】
主に「化学」または「生物」部門に配属され、押収された薬物の鑑定、微物(繊維や塗料片)の分析、DNA鑑定などを行います。裁判員裁判などで専門家として証言することもあります。

【アドバイス】
地方公務員の研究職として採用されるケースが一般的です。薬学部で培った分析化学や生物学の知識が直接活かせますが、採用人数は極めて少ないため、各都道府県警の採用情報を常にチェックしましょう。

2-6. 税関の鑑識・検査(輸出入医薬品)

【なぜ必要なのか】
水際で不正薬物の密輸を阻止し、国内の安全を守るためです。税関職員(国家公務員)として、輸出入貨物の検査や分析を行います。

【具体的な業務】
通関手続きにおける書類審査や、X線検査で見つかった不審な物品の化学分析を行います。特に「分析官」等の技術系職種では、麻薬や覚醒剤などの成分分析を担当します。

【アドバイス】
一般的には国家公務員試験(一般職・専門職)の「化学区分」などで採用されます。薬剤師資格自体が必須条件ではないことが多いですが、薬学の分析スキルは強力な武器になります。

2-7. スポーツファーマシスト(競技団体・帯同)

【なぜ必要なのか】
アスリートが意図せずドーピング違反をしてしまう「うっかりドーピング」を防ぐためです。薬の専門家として、使用可能な薬の判断や啓発を行います。

【具体的な業務】
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)認定の資格を取得し、選手や競技団体からの薬に関する相談に応じます。国体やオリンピックなどの大会でボランティアとして活動することも多いです。

【アドバイス】
専任の「スポーツ薬剤師」としての求人は極めて稀です。普段は薬局や病院で働きながら、資格を取得して地域のスポーツチームをサポートするなど、副業やプロボノとして関わることから始めるといいでしょう。

参考:公認スポーツファーマシスト

2-8. 学校薬剤師(環境衛生・健康教育)

【なぜ必要なのか】
学校保健安全法に基づき、児童・生徒が健康に過ごせる学習環境を維持するためです。大学を除くすべての学校に設置が義務付けられています。

【具体的な業務】
教室の空気検査(二酸化炭素濃度やホルムアルデヒド)、照度検査、プール水の水質検査、給食室の衛生管理などを行います。また、薬物乱用防止教室の講師を務めることもあります。

【アドバイス】
基本的に非常勤(委嘱)の仕事であり、地域の薬剤師会から推薦されて就任するケースがほとんどです。本業の休日に対応することが多いため、まずは地元の薬剤師会に入会し、活動の意思を伝えておくことをおすすめします。

参考:日本薬剤師会 学校薬剤師部会

2-9. 化粧品メーカー(処方開発・薬事)

【なぜ必要なのか】
化粧品や医薬部外品は、皮膚に直接触れるものであり、安全性と有効性の両立が求められるからです。薬学の知識は、成分の配合や法的規制のクリアに役立ちます。

【具体的な業務】
新しい化粧品の処方開発(成分の組み合わせ検討)、安定性試験、薬機法に基づく申請業務(薬事)などを担当します。

【アドバイス】
大手メーカーは新卒採用が中心ですが、中堅メーカーやOEM企業では中途採用も行われています。界面化学や皮膚科学の知識があるとアピールしやすいでしょう。

2-10. 食品メーカー(機能性表示/品質保証)

【なぜ必要なのか】
機能性表示食品やトクホ(特定保健用食品)の市場拡大に伴い、食品の効果効能を科学的に説明できる人材が必要とされているからです。

【具体的な業務】
サプリメントや健康食品の商品開発、根拠論文の調査(システマティックレビュー)、品質管理などです。食品衛生法や景品表示法などの知識も必要になります。

【アドバイス】
「予防医療」に関心がある方におすすめです。食品は医薬品と異なり、法的な表現規制が厳しいため、その境界線を判断できる薬剤師は重宝されます。

2-11. 国際NGO/国連機関の薬剤師

【なぜ必要なのか】
紛争地や発展途上国など、医療が届かない場所に医療を届けるためです。「国境なき医師団(MSF)」などが有名です。

【具体的な業務】
現地プロジェクトでの医薬品の在庫管理、品質管理、現地スタッフへの指導などを行います。調剤業務そのものより、サプライチェーンの管理(倉庫管理)が主な任務となることが多いです。

【アドバイス】
一定の臨床経験(例:病院での実務経験2年以上)や語学力(英語やフランス語)が必須条件となります。キャリアを中断して参加する必要があるため、事前の計画が大切です。

参考:国境なき医師団 薬剤師募集要項

2-12. 医療×データ・AI職(RWD解析・CDS・臨床情報学)

【なぜ必要なのか】
電子カルテやレセプトデータ(リアルワールドデータ:RWD)を活用し、より効率的な創薬や治療法の開発につなげるためです。

【具体的な業務】
医療ビッグデータの解析、製薬企業のマーケティングデータ分析、治験データの統計解析、AIを用いた創薬支援システムの開発などに関わります。

【アドバイス】
薬剤師の知識に加えて、統計学(PythonやR言語)や疫学のスキルが求められます。IT企業や製薬企業のデータサイエンス部門での需要が高まっており、将来的にも非常に有望な分野です。

参考:日本医療情報学会

3. 必要資格・経験の目安

3-1. 必須/推奨資格

・語学(英語) 国際NGO、外資系製薬企業などで必須級のスキルです。TOEIC 800点以上が目安となるでしょう。

・スポーツファーマシスト アスリート支援を行うための公的認定資格です。

・公務員試験 行政職、科捜研、麻薬取締官などは、それぞれの採用試験への合格が絶対条件です。

3-2. 経験年数の目安と到達目標

・臨床経験(3年〜5年) 病院や薬局での基礎的な調剤・監査スキルは、どの職種でもベースとして求められます。特に国際NGOなどでは、一人で判断できるレベルの実力が必須です。

・専門スキル 無菌調製やがん薬物療法の認定資格などは、高度医療に関わる職種で強みになります。

3-3. 語学・統計・プログラミングの要求度

・データ解析 統計解析ソフト(SAS、R)やプログラミング言語(Python)の習得は、データサイエンス領域へのパスポートです。

4. 希少求人の見つけ方(実践テクニック)

珍しい仕事は、一般的な求人サイトには掲載されないことも多々あります。どうすれば情報をキャッチできるのでしょうか。

4-1. 公募・公的情報源のウォッチ

公務員や行政関連の仕事は、各省庁や自治体の公式サイトで「選考採用」「任期付職員募集」として公表されます。

・人事院「国家公務員採用情報NAVI」
・各都道府県の職員採用ページ

・独立行政法人の採用ページ(PMDA、国立病院機構など)
これらをブックマークし、定期的にチェックする習慣をつけましょう。

4-2. 学会・専門団体・資格協会の採用情報

専門職の求人は、その分野の学会誌や協会のホームページにひっそりと掲載されることがあります。例えば、製薬医学会やスポーツファーマシストの関連サイトなどで情報交換が行われていることもあります。

4-3. 専門職エージェント・横断検索を併用する

企業系の珍しい職種(データ解析、開発職など)は、ハイクラス向けの転職エージェントが非公開求人として保有している場合があります。

「薬剤師 企業」「メディカル データサイエンティスト」などのキーワードで、複数のエージェントに登録し、アンテナを張っておくことが大切です。

薬剤師の資格は、薬局の中だけで使うものではありません。

あなたの興味や適性に合った「珍しい仕事」に挑戦することで、薬剤師としてのキャリアはもっと豊かでユニークなものになるはずです。まずは情報収集から始めてみてください。


監修者

原瑞希
薬剤師専任キャリアアドバイザー
薬剤師免許保有

【経歴・実績】
・ドラッグストアチェーンにて薬剤師として3年間従事
・2024年度 新人賞(銀賞)受賞

【プロフィール】
元薬剤師として現場の空気感やストレスを肌感覚で理解しているため、悩みへの深い共感が可能です。
求人紹介だけでなく、入社後の教育体制まで徹底確認して提案。生活の変化を具体的にシミュレーションし、不安のない転職を支えます。

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