考え方が凝り固まってくる世代にこそ読んでほしい児童向け小説のマンガ化本【MAGNOLiA TAIKI】
忙しい毎日の中で、ふと手に取った一冊の本。その本との出会いが人生を大きく変えることもあります。ここでは、美容従事者の皆さんが大事にしている本をご紹介します。「考え方が変わった」「影響を受けた」とっておきの本とは?
今回は、ひとりひとりの髪質やクセを生かしたパーマに定評のあるヘアサロンMAGNOLiA のTAIKIさんに伺いました。
MAGNOLiA TAIKIさん
沖縄県出身。国際文化理容美容専門学校渋谷校卒業。表参道店勤務。スタイリスト兼人事を担当。カットだけで過去のパーマを蘇らせる「 復元パーマ」を武器に、数多くのセミナーを務める。得意なデザインは、色気とほんの少しの個性を織り交ぜたパーマスタイル。
TAIKI’s favorite
タイトル/漫画 君たちはどう生きるか
漫画/羽賀翔一 原作/吉野源三郎
出版社/マガジンハウス
あらすじ:戦前に吉野源三郎氏が書いた児童書の漫画版。旧制中学校に通う15才の少年コペル君は、銀行の重役だった父を亡くし、郊外の家に母親と暮らしている。コペル君はあるとき、家によく遊びにくる叔父さんから一冊のノートを渡される。そこには、叔父さんからコペル君へのメッセージがつづられていた。天文学・化学・物理学・経済学・英語譚…叔父さんとの対話を続けるうちに、コペル君はものの見方や貧困、差別といった社会の構造、人間関係について学ぶ。そして、親友たちとの間に“ある事件”を起こしたコペル君は「どう生きるか」について深く問いかけられることになる。
■この本との出会い
2019年は、「教養を身につける」ために多くの本を読むことを目標に掲げました。お客様や知人にオススメを聞き、本屋巡りでこの本に出会い、読み始めました。後日、MAGNOLiA Aoyama店の本棚にもこの本があることに気づき、営業中のセット面に並べて、お客様にもオススメしています。
■好きなフレーズ
『すごい人なんていなくても、世界は動いていて、お互いに人生の影響を与え合う存在になっている』
■好きな理由
どこにでもいるような一般人の自分が、ある人にとっては大きな影響を与え、人生を変えるような存在であるかもしれないということが心に響きました。
当時高校生だったお客様で、僕の技術や接客を気に入ってくれて、自分も美容師になりたいと言い、現在美容学校に通っている方がいらっしゃいます。そんな経験から、このフレーズを読んだときに、とても感慨深い気持ちになりました。
■この本を読んでよかったこと
この本は、1つのストーリーとして完結するというよりも、今後生きていく上で自分の考え方の基盤となってくれるような深い内容です。読みこむほどにひとつひとつの物事に対しての解釈の幅が広がるので、小学生や中学生の教科書にのせてほしい思えるほどです。
■こんな人、こんなときにオススメ
文庫版でも出ていますが、これは漫画+文章スタイルなので、本を読むのが苦手な方でも読みやすいです。20代、30代と大人になり、考え方が少し凝り固まってきたときにこそ、この本を読むことで柔軟な考えを取り戻すことができると思います。これまで本をあまり読んでこなかった僕も、「君たちはどう生きるか」を読んで自分の小さな世界観が倍以上に広がりました。
原作は、戦前の1937年に出版された児童向けの教養小説だそうです。80年以上前に書かれた内容が、多くの人に支持され、大ベストセラーになっている本です。この記事をきっかけに、たくさんの人がこの本を読んでくれたらうれしいです。
■本を読む時間
普段が美容づけの生活なので、その感覚から離れて、違う目線で物事を見たいときに本を読むことにしています。美容の世界とかけ離れた内容のものを読むことで、考え方の幅が広がる気がするので、いろいろなジャンルの本を読むように心がけています。現在は半月に1冊くらいのペースですが、今後は週に一冊読むことを目標にしていきたいと思っています。
人事も担当されているというTAIKIさん。美容にとらわれず、さまざまな分野の本を読むことで知識や考え方の幅を広げ、それを業務にも生かされているのだと思います。そんなTAIKIさんがオススメの一冊、みなさんもぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
取材・文/永瀬紀子
Salon Data
MAGNOLiA Omotesando
住所:東京都渋谷区神宮前6-14-17 2F
TEL:03-6451-1540
定休日:火曜(不定休あり)
http://www.hairmake-magnolia.co.jp/