美容師は一度は海外に出て働いたほうがよい? 働くことによって身につく能力や海外の美容室の探し方を紹介
平成30年に発表された外務省の調査によると、現在、海外で長期滞在している方のうち、美容師として働いている方を含めた自由業関係者の人数は4万8,785人もおり、前年比で617人増加しています。このように、美容師をはじめとするさまざまな職種の日本人が海外で活躍しているようです。
日本国内で美容師として働いている方、これから美容師を目指している方の中にも、いつか海外で美容師として働きたいという方もいるのではないでしょうか。しかし、実際に海外で美容師として働くためには具体的になにをすればいいのか? と考えると、なかなか一歩を踏み出せないこともあるでしょう。
そこで今回は、その一歩を踏み出したいみなさんに向けて、美容師が海外で働いたほうがいい理由をご紹介します。海外で働くことによって身につけることができる能力や、海外で働くための美容室の探し方、また、実際に海外で活躍中の美容師もご紹介しますので、海外での活躍を視野に入れている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
美容師は一度海外に出て働いたほうがよい?
美容師が一度海外に出て働いたほうがよい理由は、大きく3つあります。その3つの理由を詳しく見ていきましょう。
日本よりも海外のほうが高収入
日本国内で美容師として働く場合、厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査によると平均月収は23万3,000円となっており、あまり高い額とはいえません。一方、海外で美容師として働くと収入はアップするといわれています。
収入がアップする理由はさまざまありますが、海外では美容師の持っている技術が高いほど単価が高くなりますし、美容師の歩合も高くなっていくため、技術力を持つ美容師ほど、収入アップにつながるのです。また、サービスを行なうことでもらえるチップも収入アップのひとつの理由でしょう。
日本人の美容師のスキルは高い評価を受けている
日本で美容師になるためには美容師免許を取得していなければなりませんが、海外では国によって、美容師免許を持っていなくても美容師として働くことができるのです。
定められたカリキュラムを修了し、国家試験をクリアして資格を取得した日本人の美容師が持つスキルは、海外から高い評価を受けているのです。
海外在住の日本人から求められている
実は、日本人の美容師は海外でとても求められているといわれています。その理由は、海外に住んでいる日本人に支持されているからです。
海外にも美容室はたくさんありますが、外国人の美容師では、日本人の髪質など、髪に関する細かい要望をわかってもらえない可能性があるのです。同じ日本人だからこそ応えられるニーズであるといえるでしょう。
海外で美容師をすることで身につく能力
海外で美容師として働くことで、身につく能力はさまざまなことがありますが、大きく3つがあげられます。
個人としてのアグレッシブさ
これは美容師だけではなく、どのような職業にもいえることですが、海外では意見交換が活発なので、個人の積極性が求められる傾向があります。指示に従っているだけでは、海外で美容師としてやっていくことはできないでしょう。
海外では自分で考える力と、行動する力が必要となるため、日本とは違って自分の意見を求められることが多いです。そのため、海外で働くと、自分で考え、意見を伝えられる積極性が身につきます。
美容師としての技術力
海外でこれまでと違う人種の髪を扱うことで、美容師としての技術力もレベルアップするでしょう。美容師として日本国内で働く場合は、ほとんどの美容師は日本人の髪の対応をしていることが多いです。
アメリカをはじめとする海外では、その国だけでもさまざまな人種がいるため、ひとりひとりの髪質に合わせた技術が必要になります。
海外で美容師として働くことで、いろいろな髪質に対応したカットやシャンプーの方法などを身につけられるため、世界に通じる技術をモノにできるのです。
自分とは異なる価値観
海外にはいろんな国の人、あらゆる人種の人が多くいます。日本にも外国人はいますが、関わる機会は海外に比べて、それほど多くはないでしょう。
海外に出て働くということは、さまざまな国、人種の人に関わる機会も多くなるため、自分とは違うさまざまな価値観と触れ合うことで、幅広い考え方を得られるでしょう。
海外で働くことが出来る美容室を探すための方法
いざ海外で美容師として働くことを決意したとしても、働くお店の探し方がわからない、という方も多いのではないでしょうか。海外で働くことが可能な美容室の探し方を2つお伝えします。
お店に就職をして海外支店で働く
海外で美容師として働く方法のひとつは、求人情報などで海外支店のある美容室を探すことがあげられます。
求人情報自体は日本国内のものになるので、はじめは日本の店舗に勤務することになるでしょう。しかし、海外にも店舗がある美容室で働くということは、いずれ海外支店で働ける可能性や、海外研修を受けることができるといったメリットがあります。いきなり海外はちょっと…という方に、特におすすめの方法です。
ビザを取得して海外で働く
実際に海外で美容師として働くために、まずは就労ビザを取得して、海外ですぐ働けるようにしておきましょう。就労ビザは、海外で勤める美容室やサロン側が発行してくれます。
日本にいる間に、海外での就職先である美容室やサロンが決まっているのであれば問題ありませんが、海外に行ってから仕事を探す場合には、パスポートのみで滞在できる期間内に就職し、就労ビザを発行してもらわなければなりません。
パスポートのみで滞在できる期間は国によって異なりますが、アメリカであれば90日までビザなしで滞在できるようです。すぐに海外へ行って働きたい!という方であれば、こちらの方法がよいでしょう。
海外で活躍する日本人美容師を紹介!
ここからは、実際に海外で美容師として活躍している3人の日本人美容師をご紹介します。きっと海外での活躍を目指すみなさんのモチベーションにつながりますよ。
伊藤知里
ニューヨークで現役の美容師として活躍している伊藤知里さんは、ニューヨークにある2つのサロンを曜日ごとに掛け持ちしながら、美容師として働いています。
ニューヨークで美容師として活躍してきた経験を活かし、これから海外で働くことを考えている美容師さんや、英語を勉強したいという美容師さんのために、役立つ美容師英会話をInstagramで発信するなど、日々新しいことに挑戦し続けているそうです。
石本賢司
石本賢司さんは、現在「Frederic Fekkai」というニューヨークにあるサロンで美容師として活躍しています。
渡米する以前は東京のZACCで働いていたという経歴があり、26歳のときに新しいことにチャレンジしてみたいという思いから、海外に行くことを決意したそうです。
現在はトップスタイリストとして、ニューヨークコレクションやテレビの撮影など幅広い活動をしています。
Kelly
Kellyさんは高校生のときに友達のヘアメイクをしたことをきっかけに、美容師になるという夢を追い続け、地元秋田で美容師として就職。その数年後にニューヨークへ渡り、11年もの間、美容師やヘアメイクアップアーティストとして活躍していました。
2007年にはニューヨークで歴史のある雑誌として有名な「the village VOICE」で日本人として初めてBest of hair stylist in NYC 2007を受賞しています。
結婚を機に帰国し、現在は日本でフリーのヘアメイク・美容師として、多くの有名人に支持されています。
海外で働いてみたいと思った時は迷わずに働いてみてください
日本で美容師として働いていて、さらなるスキルアップを目指すのであれば、海外で美容師として働くという選択肢も視野にいれてみてはいかがでしょうか。日本の美容に関する技術力の高さは世界的にも定評があるため、現在身についているスキルでも、海外で十分に実力を発揮できるでしょう。
最近は美容留学というものもあり、海外で英語と美容を同時に学べるプランもあるので、効率よく美容師としての技術と語学力を身につけられます。さらに、一般の英会話だけではなく、美容師として働くうえで欠かせないフレーズや単語といった、実践的な英会話を学べるでしょう。
海外で美容師として働くと、日本では経験できないことが体験できるうえに、美容師としてのスキルアップにもつながるはずです。海外で美容師として働いてみたいと思ったのであれば、まずは迷わず、おもいきって新しい世界に飛び込んでみてくださいね。
出典元:
外務省領事局政策課「海外在留邦人数調査統計(平成30年要約版)」(https://www.mofa.go.jp/)
厚生労働省「平成29年賃金構造統計調査」(https://www.e-stat.go.jp/)
リジョブ(https://relax-job.com/biyoshi/area/kaigai)
ドイツ連邦共和国大使館総領事館(https://japan.diplo.de)
米国国務省(https://www.ustraveldocs.com/)
外務省「ビザ免除国・地域(短期滞在)」(https://www.mofa.go.jp/)
伊藤知里さん(https://profile.ameba.jp/ameba/chisato-official)
石本賢司さん(http://js-viz.net/blog/3956/)
Kellyさん(http://www.45hair.com/)