SNSの成功で収入が5倍に。美容師の本分に立ち返らせてくれた、あるお客様の言葉【美容師 小西恭平さん】♯2
2021年、東京・銀座の一等地に110坪の広さを誇るヘアサロンをオープンさせ、それ以降、着実に拡大を続けている「COA」。青木大地さんとともに共同代表を務めるのが、小西恭平さんです。
前編では美容師を目指したきっかけや、苦難続きだった学生時代などについて伺いました。
後編ではスタイリストデビュー後、そして独立後について伺います。
インスタグラムがバズり、新規指名顧客や売上が一気に増えた小西さん。一方で、予約数が急増したことで、お客様1人ひとりに向き合う時間が減り、クレームも増えてしまった時期もあったといいます。そんななか、あるお客様の言葉をきっかけに、初心に立ち返ることができたそうです。
さらに、専門学校時代の親友である青木さんと立ち上げた「COA」についても、その思いや舞台裏を語っていただきました。
お話を伺ったのは…
小西恭平さん
COA
代表取締役
1988年、東京都生まれ。国際文化理容美容専門学校卒業後、人気ヘアサロンに入社。インスタグラムでの発信が注目を集めたことをきっかけに、新規指名顧客が500人を超え、総指名数・売上で全店舗1位を記録した経験を持つ。2020年には、ダイヤモンド社より著書『あなたは髪を切らなくても変われる』を出版。
2021年10月、専門学校時代の親友である青木大地さんとともに「COA」を設立。現在は銀座、表参道など東京・千葉に計4店舗を展開。レイヤーカットをはじめとする高い技術力に定評があり、サロンワークに加えて、雑誌・業界誌、テレビなど各種メディア出演、大手メーカー広告、国内外での講師活動、セミナー、広告撮影、パリコレクションでのヘアメイクなど、幅広く活躍している。
彼女作りを接客の教科書に

――デビューすると、接客の重要性も増してくると思います。苦手意識はどのように克服されたのでしょうか?
彼女を作り、その中から学ぶことで克服しました。先輩から「お客様に、自分を好きになってもらうくらいの気持ちでやらないとダメだよ」と言われたことがきっかけです。その言葉を聞いたときに、彼女を作ることと、お客様に好かれることは同じなのではないかと思ったんです。
そこで彼女作りを通して接客を学ぶという、少し変わったトレーニングを始めました。
――面白いですね。具体的にはどんなトレーニングを?
「また会いたいと思われる人のルール」といった本を読み、心理学や話し方などを勉強しました。否定しない、ゆっくり話す、雰囲気を壊さないなど実践を重ねるなかで、1対1の空間作りや気遣いが自分の武器になっていったんです。
ちなみに実生活でも彼女はできたのですが、練習ばかりしていたので、すぐに別れることになってしまいました(笑)。
――技術もあって接客力も身についたら、「向かうところ敵なし」ですね。
ひとつ足りなかったのが、「拡散力」です。フリーのお客様が自然と入ってくるお店ではなかったので、地道に紹介でお客様を増やしていくしかなかったんです。
そこで次に目をつけたのが「発信」でした。のちに「COA」を一緒に立ち上げることになる青木は専門学校時代の同級生で、さまざまな発信を通して集客に成功していました。
青木のアドバイスに従い最初はブログをやってみたものの、文章力がなくて挫折。でもインスタグラムは、写真を載せていけばいいだけなので僕にとっては楽でした。
ここでも僕は攻略法を考えました。当時、美容師の投稿といえば、ヘアスタイルの後ろ姿ばかり。そこで僕はライザップのCMからヒントを得て、「正面からのビフォーアフター」を載せてみたんです。これがバズり、一気に500件以上の予約が入りました。
――まさに名実ともにトッププレイヤーになったのですね。
売上は一気に伸びました。それまで月に25万円前後だった給料が、翌月には120万円を超えて。ただすべてが順調だったわけではありません。
実力が追いついていないのに予約を入れてしまい、クレームが続いたこともありました。今なら技術力もスピード力も上がり、時間に余裕を持って対応できますが、当時はそれができなかった。数字を追い求めるあまり、目の前のお客様を大切にするという、一番大事なことを見失いかけてたと思います。
――そこから、どのように変わったのですか?
ある高校生のお客様が目覚めさせてくれたんです。地方から来てくれた方で、僕が担当したのはほんの5分ほど。それでも「今日担当してもらえて本当にうれしかったです。バイト代を貯めた甲斐がありました」と言われたんです。
その瞬間、強烈な罪悪感に襲われました。こんなピュアな気持ちできてくれたのに、自分はほとんど時間をかけられていない。一体何のために美容師をやっているんだろうと。
そこでもう一度初心に戻り、予約をセーブしました。1人ひとりにしっかり時間をかけ、満足度を上げることを最優先にしようと。この判断が、僕にとっての大きな転機になったと思います。
仲間と一緒に過ごせる場所としての、大型サロン

――「COA」を立ち上げたきっかけは?
実は、独立はまったく考えていませんでした。専門学校時代からの親友だった青木に声を掛けられて、「ふたりでやったら楽しそうだな」と思ったのがきっかけです。
こんなに大きなサロンを立ち上げたのも、青木をはじめ一緒に働く美容師がバラバラにならないようにしたかったから。小さなサロンだと、どうしても別々の場所で働くことになってしまうからです。
サロンは青木と僕が共同代表を務めることになりました。資金計画や事業設計は青木が、美容師として目の前のお客様やスタッフに向き合うのが僕という役割分担でした。
オープン時点で20〜30人のスタッフを雇用していたため、仲間の人生を預かる立場になり、「やるからには成功させなければならない」という覚悟は自然と生まれましたね。
――代表として、難しさを感じた点は?
僕はスタッフを、社員というより人生を一緒に歩む仲間だと考えています。だからこそ、美容師という仕事そのものを楽しんでほしいですし、「COA」に所属していることに満足するのではなく、1人ひとりが自分らしく輝いてほしいという思いがありました。
ただ、その考えを全員に浸透させることは、決して簡単ではありませんでした。ホワイトな企業を目指している以上、何かを強制することもできません。
――どのように乗り越えたのですか?
まず誰よりも僕が行動することです。自分も一緒に練習し、言葉より背中を見せる。そうやって少しずつ巻き込んでいくことを大切にしてきました。
目指すビジョンが高ければ高いほど、行動しなければそこにたどり着けません。人生は単純にやるかやらないかの二択です。望む場所があるのであれば、行動するしかない。その姿勢が、少しずつ仲間にも伝わり、会社の雰囲気も変わり始めていると感じています。
現状に満足せず、理想を追い続ける日々を楽しみたい

――「COA」がここまで成功した理由を、どう分析されていますか?
正直、僕は成功していると思ったことはまったくないです。現状に満足したこともありませんし、全盛期がいつ終わるかわからない不安は常にあります。全盛期を少しでも伸ばすために行動を止めない。それだけを考えています。
僕たちが描いているビジョンは大きく、現在地から見ても、まだまだ道半ばです。これからは「COA」を世界に発信していきたいですね。海外での活動やセミナーにも力を入れ、ブランドとしての知名度を高めていきたいと思っています。同時に人数が増えても揺るがない組織力をさらに強くしていくことも目標です。
――小西さんにとって働くこととは?
僕にとって働くことは楽しむことです。楽しくないことを続けていると、どうしても苦しくなってしまうので、とにかく楽しく働きたいんです。スタッフにも「今日も働かなきゃ」ではなく、「今日をどう楽しむか」を考えたほうがいいよと伝えています。それだけで、毎日は大きく変わると思うんです。
――仕事を楽しめないと感じている人も多いと思います。
そういう人は、まだ自分が本当に楽しいと思えるものに出合えていないだけかもしれません。幸せの形は人それぞれ。年収1000万円を目指す人もいれば、家族との時間を大切にしたい人もいる。自分の幸せをどこに置くか。何に楽しさを感じるのか。まずは、そこを見つめ直してみることが大切だと思います。
僕は決められたレールを歩くよりも、自分の実力で道を切り拓いていく方が好きでした。だから美容師という仕事に出合い、手に職をつけられたことを幸運だと思うし、一緒に仕事を楽しめる仲間ができたこと、支えてくれる人がいることに心から感謝しています。
不登校を経験するなど、紆余曲折を経て今の地位を築いてきた小西さん。決して一筋縄ではいかない人生を歩んできたからこそ、現実を自らの手で切り拓いてきた強さが伝わる取材となりました。
仲間たちと楽しむことを大切にしながら、現状に満足せず進み続ける「COA」。今後の挑戦にも、期待が高まります。
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COA GINZA
住所:東京都中央区銀座6-13-9 girac銀座7F、B1F
TEL:03-6264-1369
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