理容師法とはどんな法律? 概要から改正まで詳しく解説します|理容師法施行細則とは

理容師として仕事をするには、必要な資格の取得はもちろんですが、安全な施術を正しくお客様におこなうために理容師法の法的な知識を知っておくことが求められます。しかし、美容師法という似たような法律もあります。理容師と美容師ではおこなえる施術内容が異なりますが、理容師と美容師を混同している方も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、理容師の定義、理容師と美容師の違い、免許の必要性、さらに近年の理容師法の改正や、理容師として法律・条例に違反しないためのポイントについて解説していきます。

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理容師法とはどんな法律? 概要を解説

まずは、理容師の定義や理容師に関する法律など、理容師に関する基礎知識をご紹介します。

理容師の規定に関する法律|昭和23年1月1日施行

理容師法とは、昭和23年1月1日に施行された、理容師および管理理容師の資格・仕事内容に関する法律です。理容師法第一条の二に『理容とは、頭髪の刈込、顔そりなどの方法により容姿を整えること』と定められています。

なお、理容師になるためには国家試験を受験して合格する必要があります。

【用語】附則・別記・細則・様式

理容師法を読む際、同じような意味で分かりづらい用語が出てくるので違いを把握しておきましょう。

○附則(ふそく)
附則とは、法令において付随的な内容で定められた事項のことをいいます。附則以外の部分は本則といいます。

○別記(べっき)
別記とは、主要な本文のほかに別の文章および図などを記すことをいいます。

○細則(さいそく)
細則とは、法令において定められた事項のさらに細かい規則のことをいいます。

理容師の定義とは? 美容師との違いは?

理容師と美容師はいずれもヘアカットは認められていますが、カミソリが使用可能かどうかという点に大きな違いがあります。理容師法には『理容とは、頭髪の刈込、顔そりなどの方法により容姿を整えること』と定められています。つまり、刈込や顔そりのためにハサミやカミソリの使用が許可されているということです。

一方、美容師は美容師法にて『美容師はパーマ、結髪、化粧、カラーなどで容姿を美しくすること』と定められており、カミソリの使用は禁止されています。顔剃り用途はもちろん、襟足やもみあげの処理においてもカミソリは使用できずバリカンやハサミでおこなう必要があるのです。

理容師免許とは?

理容師は国家資格であり、理容師として働くためには試験に合格して理容師免許を取得する必要があります。理容師の国家試験の受験資格は、理容師養成課程のある専門学校で2年学んで修了すると得られます(通信課程の場合は3年)。

年齢制限はないので、指定の養成課程のある専門学校で学べば年齢関係なく受験することができます。そのため、高校卒業後にすぐに専門学校に入って学ぶ人もいれば、別の仕事をしながら通信課程で学んで受験を目指す人もいます。

理容師法施行規則等の一部を改正する省令(厚生労働三九)平成29年3月31日

平成29年3月31日の理容師法の一部改正により、理容師と美容師の両方の資格を取得するための養成期間が短縮されました。

これまでは、理容師あるいは美容師になるためには2~3年間専門学校に通わなければならず、両方の資格を取得するためには4~6年かかっていました。

今回の改正によって、一方の資格を取得していてもう一方の資格の取得を目指す場合、養成期間は2年から1年(通信は1年6か月)に短縮されるので、理容師と美容師の両方の資格は最短で3年(例えば最初の理容師の資格は2年、2番目の美容師の資格は1年という具合)で取得できるようになりました。

平成31年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項

理容師および美容師どちらかの資格を取得している人が、もう一方の資格を取得しやすい環境を作るために、平成31年度より地方税制改正が実施されています。

この改正によって、理容師養成施設に美容師養成カリキュラムを、また美容師養成施設には理容師養成カリキュラムを設けることができるようになったので、同じ養成施設で2つの資格取得を目指せるようになりました。

さらに、各資格の修了者課程に法人税・事業税などの非課税措置も設けられました。非課税措置は、理容師養成施設および美容師養成施設における修了者課程の設置を促進することを目的としています。

いずれの改正も、理容師と美容師のダブルライセンスを取得しやすいようにすることが大きな目的です。

理容所とは?

理容所とは、「理容の業をおこなうために設けられた施設、あるいはその建物」のことを指します。一般的には、理容室、理容店、床屋といった言葉で呼ばれているものです。理容所を開設するには都道府県知事への届出が必要となります。

理容師法施行規則および美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について|平成28年4月1日施行

これまでの法律では、同じひとつの施設に理容所と美容所(一般的に美容院や美容室と呼ばれる施設)の重複開設は禁止されていましたが、平成28年4月1日の法改正によって、同一施設内で理容行為と美容行為の両方が可能(重複開設が可能)となりました。

「理容師および美容師の資格保持者であること」と「年1回以上の立入検査により、資格の有無や施設内の衛生上の措置の内容の確認ができること」が重複開設の条件です。

管理理容師とは? 普通の理容師とどこが違うの?

管理理容師は、理容所における機材・備品および理容所内の清掃・空調の管理をする人のことをいいます。つまり、理容というサービス業を営む上で必要な「衛生管理」の責任を担う人が管理理容師といえます。

同じ理容所にふたり以上の理容師が勤める場合、その理容所内に管理理容師の資格を持った人が在籍しなければならないことが法律で義務付けられています。ひとりで理容サービスを営む場合は管理理容師の資格は必要ありませんが、複数の理容師で営業する場合は管理理容師の資格が必要になります。

環境衛生監視員とは?

環境衛生監視員とは、環境衛生に関する施設への立ち入り検査や監視指導をおこなう職員のことです。理容師法や美容師法に則って、理容所や美容室での検査・監視もおこないます。

閉鎖命令とは?

閉鎖命令とは、いくつかの条件に該当する場合において、都道府県知事が理容所や美容所に期間を定めて閉鎖を命じることをいいます。閉鎖命令に該当する条件としては、おもに以下の3つが挙げられます。

1.理容師が2名以上勤務しているのに、管理理容師が在籍していない
2.理容所における必要な衛生管理がなされていない、または衛生管理において注意・管理を怠っている
3.理容所の開設者が理容師の資格を保持していない、または業務停止命令を受けている

理容師法施行細則とは|政令との違いは?

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細則は法令の実施に必要な細かい規則です。ここでは理容師法施行細則について詳しく解説していきます。

細則と条例の関係性

理容業に関する法令には、国が定めた政令(施行令や施行規則)と、県・各地方自治体が独自のルールで定めた条例・細則があります。

「理容師法施行条例」は、国が定める理容師法の実施に関して必要な規則・事項を大まかにまとめたものです。「理容師法施行細則」は、国が定める理容師法および理容師法施行規則の実施に関して、さらに詳細に規則・事項をまとめたものです。

国が定める政令は、その国に住んでいる人は必ず従う義務があります。県・各地方自治体が定める条例・細則は、各自治体の独自ルールとなるので、その自治体のなかだけで法的な拘束力があります。条例・細則に違反すれば、各自治体が定めるルールに則って罰則が適用されます。

理容師業に関する条例・細則は、県・各地方自治体によって微妙に内容が異なります。理容業を営む場合は、国の定めた規則を厳守することは当然のこと、自身が理容業を営む地域の条例と細則についても詳しく確認しておく必要があります。

理容師法の改正をチェックしよう!

近年の理容師法の改正によって、これまではNGだったものがOKになったり、美容師の資格も取得しやすくなったりと、さまざまな違いが出てきました。これから理容師を目指す人、あるいは既に免許を持っている人も、理容師法を改めてチェックしてみることをおすすめします。

国はダブルライセンスの取得がしやすい環境作りをしているので、今回の法改正を機に、理容師と美容師の両方の資格取得を目指してみるのもよいかもしれません。

出典元:
厚生労働省
理容師法
理容師法施行規則等の一部を改正する省令等の施行について
理容師・美容師免許の取得まで
理容師法施行規則および美容師法施行規則の一部を改正する省令の施行等について
理容師養成施設・美容師養成施設関係法令
理容師法概要
公益社団法人 日本理容美容教育センター 理容師・美容師になるまで
総務省 平成31年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項
理容師法施行規則等の一部を改正する省令等の施行について
理容師・美容師免許の取得まで
理容師養成施設・美容師養成施設関係法令
理容師法概要
公益社団法人 日本理容美容教育センター 理容師・美容師になるまで
総務省 平成31年度地方税制改正(税負担軽減措置等)要望事項

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