薬剤師の就職先はどこがいい? キャリアアドバイザーに聞く職場別の年収や働き方の違い
薬剤師として働くうえで、就職先の選択肢は調剤薬局や病院、ドラッグストアなどさまざまです。職場によって業務内容や働き方はもちろん、年収やキャリアパスにも違いがあります。そのため、就職や転職を考える際に「どの職場を選べばいいのか」と悩む人も多いのではないでしょうか。
今回は、薬剤師の転職支援を行う「エニーキャリア」のキャリアアドバイザー、森正弘さんにインタビュー。日々、多くの転職相談に向き合うプロの立場から、薬剤師の就職先の選択肢や職場別の年収についてお話を伺いました。
今回、お話を伺ったのは…
「エニーキャリア」キャリアアドバイザー
森 正弘さん

北海道大学大学院工学院を卒業後、大手電力会社にて研究職として従事。2021年に「エニーキャリア」へ入社し、キャリアアドバイザー業務をスタート。現在6年目でこれまで約400名の就職・転職活動に伴走。理系出身の思考や価値観を活かした提案を強みに、2024年度受注金額MVPを獲得している。
薬局・病院・ドラッグストア・企業。薬剤師の就職先は幅広い
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――まず薬剤師の主な就職先には、どのような種類があるのか教えてください。
主な就職先としては、調剤薬局、病院、ドラッグストア、一般企業などが挙げられます。またドラッグストアの中でも、調剤併設型と調剤を行っていないドラッグストアに分かれるなど同じ業態でも働き方が異なるケースがあるんです。企業の場合も、MRや学術職などさまざまな職種があるためキャリアの選択肢は幅広いと言えるでしょう。
――病院の場合、公立と民間では就職ルートや難易度に違いはありますか?
書類が通った後の選考難易度に大きな差はない印象です。ただ、応募ルートには違いがありますね。
――具体的に教えてください!
公立病院では、人材紹介会社を利用して採用するケースが少なくなっています。そのため、病院のホームページからの直接応募やハローワーク、新卒採用などが主なルートです。
一方で民間病院の場合は、求人サイトや人材紹介会社を利用するケースも多く、転職市場でも募集を見かけやすい傾向があります。
――なぜそのような違いがあるのでしょうか。
背景には、需要と供給のバランスがあると考えられます。公立病院や大学病院は「薬剤師としてのスキルが身につきそう、勉強になりそう、安定していそう」というイメージから応募が集まりやすく、紹介会社を利用しなくても人材が集まることが多いです。そのため、採用コストをかけずに募集するケースが多いと考えられます。
待遇と働き方はトレードオフ 。高年収を目指せる職場の特徴

――職場ごとの年収レンジにはどのような違いがありますか?
目安として薬剤師の年収レンジは、およそ400〜700万円の間に収まるケースが多いです。ただ、職場によって年収が分布する位置には違いがあります。
たとえば病院の場合は、このレンジの中でも比較的低い水準に集中している傾向があります。一方で調剤薬局は、同じレンジの中でも年収の幅が広く、経験や役職によっては800〜900万円程度に届くケースも。でも、この水準に到達する人は少ないです。
――大手チェーンと個人薬局では、昇給や評価制度に違いがあるんですか。
大手チェーンの場合は、評価指標が明確に設定されていることが多いです。数値などの定量的な基準に基づいて評価され、昇給や昇格が決まるケースが一般的になっています。
一方の個人薬局では、それほど細かい評価制度が整っていないことも多く、経営者の判断による定性的な評価が中心になることがあります。そのため努力や成果が評価されて大きく昇給するケースもあり、柔軟な評価が行われやすい印象です。
――ドラッグストアの年収はどのくらいでしょうか?
ドラッグストアの場合は、550〜600万円前後の年収が比較的多い印象です。400万円台の人は少なく、下限は500〜550万円程度になるケースが多いでしょう。若いうちは同年代と比較すると年収が高い傾向がありますが、その後の伸びは比較的緩やかなイメージです。
――企業勤務の場合はいかがですか。
企業は職種によって大きく変わりますが、全体として見ると400〜550万円前後に集中するケースが多いと感じています。ただMRなど、組織全体で扱っている金額が巨大な企業の場合は別で、30代で700〜800万円、40代以降になると1000万円を超えるケースも珍しくありません。
――「高年収」と言われる職場にはどのような特徴があるのでしょうか?
地方や人手不足の地域、勤務条件が大変であることが挙げられます。
たとえば、「残業が多い」「複数店舗を移動して勤務する」「日曜、祝日も営業」「営業時間が長い」などといった環境では、年収が高く設定されているケースが多いです。つまり、待遇と働き方はトレードオフになりやすいと言えるでしょう。
デメリットも多いが高単価。派遣薬剤師の実態

———派遣薬剤師は巷で高年収と言われていますが、実態はどうなんですか。
高年収というより、「高単価」という表現の方が正確だと思います。時給は高いケースが多いですが、契約期間が限られているため年間を通してみると必ずしも高年収になるとは限りません。
――デメリットはありますか?
まず雇用が不安定になりやすいことです。派遣は有期雇用のため、契約が終了すれば収入が途切れる可能性があります。
また、正社員転職が難しくなるケースがあることもデメリットのひとつです。企業側は長く働いてくれる人材を求めています。有期雇用の経歴が重なるほど、不安視されることも増えやすいです。
そして、何と言ってもキャリアを積みにくいです。さまざまな店舗で働けるため、多様な経験を詰めるというイメージがあると思います。しかし、実際には作業を淡々とこなすような仕事しか与えられず、会社の責任ある役職、中核業務を任されるケースは少なく、経験の幅が広がりにくいことがあります。
裏を返せばそうした点のない雇用形態が正社員です。将来的に安定したキャリアを重ねたいという方は正社員を検討してみるのがいいでしょう。
年収50〜100万円アップも目指せる管理薬剤師。仕事内容と適正タイプを解説

――管理薬剤師の仕事内容を教えてください。
管理薬剤師は、通常の調剤業務に加えて店舗運営に関わる業務も担当します。たとえば、在庫管理、店舗の売上管理、人員配置やシフト管理、スタッフのマネジメントなどです。またクレーム対応など、店舗の責任者として対応する場面もあります。
――一般薬剤師と比べて、年収はどのくらい変わりますか?
月3〜5万円程度高くなるケースがひとつの目安です。年収でいうと、36〜60万円程度の差が出ることが多いでしょう。稀に100万円の差が出る会社もあります。
――管理薬剤師に向いているのはどんな人ですか。
コミュニケーションをとりながら、人間関係を調整できる人は向いていると思います。管理薬剤師は、数字以上にスタッフ同士の関係性やチーム運営に悩むことが多い役割です。そのため、周囲と協力しながら職場環境を整えていく力が求められます。また、年収が上がる分、仕事も増えるという点を理解している人のほうが、ギャップを感じずに働きやすいです。
そうした人間関係の調整は苦手だけれど管理薬剤師になりたいという方は、一人薬剤師の店舗で働くのもひとつの手段です。
薬剤師の就職先にはさまざまな選択肢があります。職場や雇用形態によって年収や働き方、キャリアの広がり方が変わるため、それぞれの特徴を知っておくことは大切です。今回の内容をヒントに、自分に合ったキャリアを考えてみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者
森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞
【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績
【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。
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