木村直人 interview :「木村直人」僕は面白いと思ったことをするだけ。それが皆から支持されている
「air」グループに所属する美容師約70人の中で、毎月上位を競うほどの人気を誇る木村直人さんは、ネットの世界でもひときわ輝く存在です。木村さんのブログは記事のアップと同時に何千、何万という人たちに読まれ、ツイッターでのつぶやきは拡散されていく。「美容師が根本。ネットはあくまで衛星の一つ」と言う木村さんに、ネット利用する意味と美容界の可能性を語っていただきました。
髪型のことだけ考えても、いい髪型は生まれない
「僕は基本的に、モノを作る、表現することが好きですね。美容師も表現し、残す存在です。確かに、サロンワーク以外にさまざまなことをしていますが、根本には『美容』というものが存在している。それがあった上での『その他全部』です。つねに『美容に対して残していきたい』という想いで行動しています。
なぜなら、その人の生き方というものが美容の表現につながるからです。髪型の事だけ考えてもいい髪型は生まれない。いろんなことに挑戦してみて、それを落としこんでいく先として髪型があります。
だから、たとえばブログには、自分で面白いと思うことを書いています。面白いことは僕の活力になる。普段から僕はこういう風に感じていて、こういう生き方をしている、だからこういう髪型に至る。自分の日々のストーリーがあった上での、僕の美容表現。そういう感覚ですね。
ただ、『疲れたな』とは思います。面白いと思うことがあれば打ち込んでやりますが、そういうのがなくなってしまった。それを僕は、生まれてくる子供に期待しています。子供が生まれたらどんなインスピレーションを受けるのか。嫁の妊娠がわかって、どんどんお腹が大きくなるさまを見て感じることをそのまま文章に残している。まさにログですよね。僕にとってブログはそれだけのことです。ツイッターにしてもログです。こうやって僕の足跡を、Googleの海に残している。それが勝手にSEO対策になっているだけなんです」
満たされたからこその「疲れ」
「美容師になってから、もちろん仕事は大変でしたけれど、あまり苦しいと思わないようにしていました。唯一、最初のサロンをクビになったときに、多少ダメージを受けました。僕の行動が後輩スタッフに悪影響だということを言われたんです。そのころは上に楯突いたりもしていましたね。それでも、過去に『美容師をやめよう』と思ったことはありません。でも実は、今はそう思うんです。さっきの『疲れたな』っていうのはそういうことです。
おそらく、仕事としてはもう満たされちゃったんしょう。今までは、うまくなる、有名になる、きちんとお金を稼ぐ、有名な人と仕事をする、業界誌に載る……。何かしら目標がありました。それが今、ひと通りできてしまった。
これまで、雑誌の仕事を失うのが恐い、お客様を失うのが恐い、手に入れたものを失うのが恐い、そんな思いを抱えて生きていたような気がしますが、結局、何がしたかったのかと考えたら、ただ飯が食えていればいい。家族を養うことができて、今年は子供を迎える。今はそういうステージにいるんだと思います」
新しいものはまず試してジャッジする
「僕がブログを始めた当時は、ブログは店の告知機能でした。例えば『明日休みです』『料金はいくらです』。そんな中で、自分は思ったことをそのまま書いていたので、読む側に刺さったんじゃないかと思っています。『ネットでいろんなことをして大変ですね』とよく言われますが、時間はそんなにかけてないんです。新しいものが出たら、まず使ってみて、自分に必要か必要ではないかをジャッジする。単にそういう感じ。なぜそれが大変なのかが逆に理解不能です。
新しいものに壁を作り、『やっぱり人と人は対面だよね』とか、過去を振り返って、『昔はこうだったよね』って言うのは、すごいかっこ悪いと思っちゃうんですよね。自分の感覚を他人に押し付けている。先を走っている人は、他人に物事を押し付けません。『それもいいよね』って言えちゃうんです。
エザキヨシタカくんと『マルチユニバース』のオンラインサロンを始めたのも、Synapseがオンラインサロンをリリースした時に、使ってみないとわからないから。そのタイミングでエザキくんと知り合って、どうせならここを拠点にして、ちゃんと収益というものが発生するビジネスモデルを作るのは面白いかもねということで始めました。
スマホに充電が残っているから起動してスライドする。ツールは使ってみないと分からない。ただそれだけのことです。ヘビーに使うものは必然的に、スマホのホーム画面の中心に集まってくる。その取捨選択の枠が、僕はただ単に広いだけなんです」
僕が「air」にいる意味
「ブログの内容に会社からNGを出されたら、店を辞めると思います。ハサミ1本とPC1台があれば、仕事はどこでもできます。東京じゃなきゃ嫌だとか、業界に対してこうじゃないと嫌だとかないですから。法令上問題がないところに行って、髪切っていればいいじゃないですか。反抗するとかそういうことではないんです。それは自分の生き方として違うというだけです。
投稿に対して、ものによっては会社から言われたことはあります。でも、僕は必ずオチをつけるし、書いちゃいけない固有名詞は使わない。業界に対して何か言う時も、ここの会社が悪いとか、ここのサロンさんが悪いという書き方はしないんです。こういう世論があって、僕の経歴をとおすとこういう風に思って、こう完結する。そういう書き方をします。でも多くの人が読み違いをする。だから指摘されたら、「きちんと読んでいただけました?」と聞きます。読み流していないですか、全部僕は書いているはずなんですと。そうすると、「確かに全部はきちんとは読んでいないかもしれない」となります。
そういうところですごく理解ある会社です。もし何かがあった時には守るという姿勢を持ってくれます。だから今の会社にいるし、がんばろうと思える。僕もここをしっかり盛り上げたいし、作っていきたいし、夢のある場所にしたいという思いでいます。尊敬する人もいます。その人の力になりたいから、ここにいるんです」
経営よりパフォーマンスに集中したい
「美容業界では『独立』がゴールって感じになっています。でも、僕は独立ではなくて、ここと手を組みながら物事を起こすという感覚が強いです。フランチャイズというのも、僕にはちょっと違うなと思うんです。
起業するとすれば、例えば『エアーエンターテイメント』内での企業内起業や、今の経営陣を顧問に据えた企業の設立。そういった組み方をします。美容業を本道として、いろんなビジネススタイルを持つ企業を作りたいです。だから、サロンを作るという感覚ではないかもしれないですね。
経営に理解はあるのですが、実質的に僕自身が動いていない理由は簡単なことで、自分のパフォーマンスが削がれるからです。今はパフォーマンスを発揮する方を重視しています。
早期独立をいそぐ人ってすごく多いんですが、なぜ早期じゃなきゃいけないのか。結局、組織を作るには時間がかかるから、自分の保身を考えての早期独立だと思うんです。僕は会社を残すとか、自分の財産を残すとか、そういうことをあまり考えていないので、起業するのは50代でもいい。だから、今はパフォーマンスをしっかり発揮して、自分の土台を作り、支持者を増やした上で、人生の終着点として起業をするというもありだと思うんです」
頭が固くなったら僕は終わり
「若い人たちには、『自由に生きればいいんじゃない』と言いたいですね(笑)。それで職場からクビだと言われたら転職すればいいと思いますよ。僕もそうします。僕は今、この会社が気に入ってここにいるんです。そういうことです。
いい会社がないと思ったら、自分で作ればいい。起業なんて簡単です。インターネット上でも言っていますけど、専門学校を卒業していきなりサロンをオープンする人がいても全然いい。キャリアのある人を雇えばいいんですから。これから、間違いなくそういう人は出てきますよ。YouTuberのもるさんのように、僕らよりはるかに影響力の高い美容学生がすでに出てきています。何十万人というファンがいたら、僕らのような爺が何を言っても、あちらが正義です。超面白いし、応援します。
ただネット上のリテラシーがなかったらバッサリ切りますよ。何人もそういう風に切ってきました。気持ちは分かるし、もちろん教えたりアドバイスはします。『こういう引用しちゃうと炎上しするよ』と。僕は炎上が楽しいから面白がりますが、自分が炎上したことはないんです。言ったようにもきちんと書いていますから。
これからどんどん新しい感覚の若い人たちが増えていったら、やっと面白くなるんじゃないですか。近い将来、そうなってほしいですね。そのころ、若者を否定するような老害にはなりたくない。応援して、そいつらと手を組み、もっと面白いものにしていこうという感覚になりたいです。頭が固くなっちゃったら終わりだと思っているんです」
美容師が自由な発想ができるような業界に
「美容業界は、もっと自由な発想が受け入れられるようになっていくといいですね。今の美容文化は作られたものだと思っています。
例えばヘアカラー。ヘアカラー理論というものがあって、それを美容師たちは勉強して、お客様に提供します。それって一体、誰が作った理論なのか。眼の色や肌の色に分けて、こういうタイプの人にはこの色が似合うというような理論に影響を受ける人の割合が、今は単に多いだけです。僕は全然そう思わないし、人が提供してきたものを『そうですか』と言わないタイプです。例えば金髪でビビッドな赤をやりたくなったらそうするでしょう。
お客様をリピートさせるセミナーも、すごくくだらないなと思います。ヘアカタログを見せる、お客様の心臓に近い左側に座る、お帰りになられたら手書きのDMを書く。やり方っていうのは人によりさまざまなのに、自分なりの発想が育たない現状が今あります。美容師が思ったものをそのまま表現して、それに対してお客様がファン化をするような環境になればいいですね。
僕は方法論を用いずに、このスタンスでやっていても、売上げは下がりません。むしろ増えちゃってる。僕は何にも巻かれないし、何も包まないし、隠さないし、こうやって発言をする。そういう人がどんどん増えていけば、美容の枠がもっと広くなると思うんです」
Profile
木村 直人(きむら なおと)さん
air LOVEST SN Div. Manager
air pro
出身地:岡山県
血液型:A型
座右の銘:「革新」
美容専門学校を卒業後、大手サロンに就職して5年間在籍。美容師としての技術を磨く。その後、青山の有名サロンを経て、air-AOYAMAの立ち上げに際し「air」に入社。サロンワークだけでなく雑誌撮影、セミナーや講演はもちろん、ブログやSNS、オンラインサロンなど活躍の場は多岐にわたる。現在、ツイッターのフォロワー数は1万7千人、ブログは2015年7月時点で3万ビューを超えた記事も。
ブログ:http://naotokimura.tokyo/
ツイッター:https://twitter.com/air_kimura
フェイスブック:https://www.facebook.com/naoto.kimura.167
http://aya-works.com
Company
ヘアサロンairとは
「air」8店舗(麻布十番・青山・銀座・新橋・大阪・京都・神戸・福岡)と「LOVEST(ラヴェスト)」3店舗(青山・二子玉川・銀座)そして、お母様とお子様だけの空間「mammy private salon by air」1店舗(麻布十番)の計12店舗を展開。
人気雑誌やテレビで活躍中のタレント、モデルのヘアメイクも手がける実力派スタイリストが多数在籍。また、厳選したヘアアイテムやairオリジナルヘアケアなど多数の商品を取りそろえ、髪質や状態に合わせた商品をアドバイス。
お客様一人ひとりに常に美しくいただくためのヘアサロンです。
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