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学び・キャリア 2020-02-09

独立を目指すあなたへ vol.7【i.山内大成さん】#2

独立経験者の体験から、オーナーになるための心構えを学ぶ本企画。前編につづき、「i.」の山内大成さんにお話を伺います。日本一の美容師を目指し、地方のヘアサロンから都内トップクラスのヘアスタイリストにまで上り詰めた山内さん。現在の美容業界の在り方に疑問を持ったものの、若さ故に大サロンを動かすことができず、独立することになりました。後編では、開業後のお話と今後の展望についてお伺いします。

選んだのは個人経営の小さなサロン

2019年5月、外苑前の完全個室型サロンスペース「THE SALONS」内に「i.」をオープン。

――2019年5月に「i.」をオープンされました。とても小さなサロンですね。

この「THE SALONS」は、完全個室型のサロンを提供している、個人オーナーが集まる新しい体系です。この体系がなかったら、僕は独立しなかったと思います。

できるだけローリスクで開業したかったので、初期費用が少なく必要な設備がそろって、月の定額賃料だけでOKな「THE SALONS」はぴったりでした。

――今はおひとりで?

はい。前のサロンのスタッフをつれて出るとかはしたくなくて。

独立するときって、前サロンと喧嘩別れになることも多いじゃないですか。それって、お金をかけて育てたスタッフも、お客さんや売り上げも引き抜いて、同じようなエリアで、同じような形態でやっているからだと思うんです。だから僕は、前サロンが展開していない外苑前で、ひとりで始めることにしました。

――ひとりでサロン業務をするのは大変じゃないですか?

以前は一日30人くらい切っていましたからね。そのままだったら無理ですけど、今は人数を制限していて、多くても一日8人くらいなので。施術するお客さんの数は半分以下になりましたけど、使えるお金や時間は倍以上になりましたよ。

こういう働き方に興味がある人も多いようで、セミナーやトークイベントにもよく呼んでもらっています。ある程度の集客と売り上げがあるスタイリストなら、シェアサロンや面貸しサロンより、手元に残るお金は多くなりますから。

でも今後は、人を育てることもしていこうと思っています。一緒に働きたいと言ってくれる子もけっこういるんです。先輩に押さえつけられて行動できない若い子っていると思うので、そこを導いてあげられるようにしたいなという気持ちもあって。

だけど、人を育てるなら、ちゃんと勉強してからと思っています。だから、教育面も今めちゃくちゃ勉強してますよ。

山内さんの多角的な考え方は若手スタイリストからも注目され、さまざまなセミナーやトークショーに登壇している。

――今後、お店を大きくする予定などは?

独立から半年経ったところで、経営の次の勉強がしたいなと思って、違う業態を試してみるというのと、従業員を雇うということをやってみようと、12月に小顔サロンをオープンしました。僕のお客さんからニーズがあったというのと、美容業界の利益の分母を増やしたいというところで、あえて美容室を増やすのではないかたちに挑戦しています。

あとは、母体が大きくなったら、10席くらいの美容室はやってみたいかな。それも、周りの美容師同士で、協力してできるといいなと思っています。戦うんじゃなくて、仲間になるというか。

例えば、サロン同士が仲間になれば、混み具合によってアシスタントの貸し借りとかもできます。そうすると、アシスタント側も他サロンでの経験ができて勉強になるし。そうやって、技術面、経営面でお店の質を高めあえるような仕組みが作れたらいいなと思っています。

そうしたら、若い子が他サロンに流れてしまうという問題も解消できるんじゃないかな。

僕の仲のいい人たちが、幹部として権限を持ったときとかでいいので、実現できたらいいですよね。

――すごくハッピーなかたちですね。

僕は、美容師っていうのは、協力しあうべきだと思っているんです。美容室同士が戦いあっているのがおかしいなと思う。他サロン同士で一緒に何かをするのを、NGにする老舗サロンもあるじゃないですか。僕はそれを変えたいし、そのために会社を作ったりしようとしているところです。

やりたいことは、他にもいっぱいあります!

今、名古屋、大阪、東京の有名店の仲間たちや、僕らに興味を持ってくれた人たちを集めて、スタイリング剤やシャンプーなどのプロダクトを作っているところです。お客さんの悩みを聞いて、何十万人の髪を見てきた僕らだからできるプロダクト。これも、美容師の利益の分母を増やすことのひとつですよね。

あとは、メディアをつくったり、広告代理店事業とか、ディーラー業、オンラインサロン、映像事業とか…

「美容業界の新しいかたちを作っていきたいんです」(山内さん)

――幅広く美容業界を盛り上げていこうとされているんですね。

はい。今できることから順に実現していけたらいいなと思っています。

でも、主軸はやっぱりヘアサロンですね。もう趣味なので(笑)。

カメラをしている人で、趣味なのにめちゃめちゃ上手な人っているじゃないですか。趣味だから、お金がかけられるし、そこにセンスが加われば誰も叶わないですよね! そんな感じでやっていけたらいいなと思っています。

――最後に、独立したいと思っている若者にアドバイスをお願いします。

実はけっこう相談を受けることも多いんです。そういうとき、僕は「独立しないでほしい」と言っています。若いうちは、今いる会社を盛り上げてほしいなと。売り上げが出てきたからといって、実力がある人が抜けてしまうと、美容師がやっているサロンの力が、今以上に縮小していってしまう。それは、美容業界的にマイナスだと思うんです。

あと、やっぱり大きいサロンであれば教育がしっかりしていますし、辞めてひとりになったら教育を受けられません。自分の成長のためにも、そこにいるメリットはまだあるんじゃないかと。もう一度、考えてみてもいいんじゃないかなと伝えたいです。

独立を目指すあなたへ

「応援するとすれば、めちゃめちゃ自信があるなら、独立してもいいと思います。でも、月の売り上げは300~400万以上持っているほうがいい。そこがスタートライン。あとは、集客につながる自己ブランディングをすること、助けになるつながりをつくること。そして大きい借金をするときや、従業員を雇う前には、きちんと経営の勉強をすることです。知識がないまま独立したら、すぐにつぶれてしまうと思います」(i.代表 山内大成さん)

▽前編はこちら▽
独立を目指すあなたへ vol.7【i.山内大成さん】#1>>

取材・文:山本二季
撮影:高嶋佳代

Salon Data

i.(アイドット)

住所:東京都渋谷区神宮前3-42-2 VORTIII 2F The salons C
URL:http://hairsaloni.com/

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