清水秀文 interview:リラクゼーション業界の将来のために動き出した!
「ハートフルリラクゼーション」をキーワードに、500店舗を展開するラフィネ。その原点は、15年ほど前に清水秀文さんが3店舗のサロンを引き受けたことにありました。サラリーマンからエステ・接骨院の経営者に転身し、さらにリラクゼーション業界へと道を切り拓いてきた清水さんに、これまでの道のりや今後のリラクゼーション業界のあり方を伺いました。
自分自身で商売をしたかった
「大学卒業後はサラリーマンをしていましたが、会社勤めよりも自分自身で商売をしたいと思いました。とはいえ、どうしたら『商売ができる』のか分からないし、その時の自分には何も特別な能力はありません。それなら資格を取ろうと考えた時、鍼灸マッサージなら自分の手の届く範囲でもあるし、開業権が取得できるので、自分でもできるだろう思ったんです。1年でサラリーマンを辞めて、マッサージの専門学校に通いながらエステサロンに勤め、現場での経験を積ませていただきました。それから3年ぐらいして、同級生と一緒にエステサロンを開業しました。最初はこの仕事を続けるつもりだったんです。でも、売上げが月々で安定性がなく、安定させるにはどうしたらいいのか……と考え、柔道整復専門学校に通い、保険が使える接骨院を開業しました。結局、20代はほとんど学生をしていたということになりますね。
結果が目では見えない仕事は少なからずあると思います。例えば事務は、一生懸命に働いてもどう評価されているのかなかなか分かりません。でも私たちは一対一でお客様と接しているので、満足したかどうかはお客様の態度に出ます。だから自分のしていることの価値が分かるんです」
温浴施設という、もう一つの商売の場
「接骨院を経営していた時に、会津若松の健康ランドにあるボディケアのリラクゼーションルームを請け負ってもらえないかという話が舞い込んできました。1988年のことです。最初は学校の後輩に来た話で、でも後輩自身ではやりきれないから、私に話を回してくれました。『面白い、やってみよう』と引き受けることにしました。エステや接骨院ではなく、健康ランド内にある店舗を請け負うというこれまでと違う形での経営は、私にとってとても良い経験になりました。しかし今から25年ほど前に、母体である健康ランドが閉店してしまいました。しかし、ちょうどそのタイミングで会津若松の駅の近くに別の温浴施設が出来て、そこも請け負うことができたのです。健康ランドで働いてくれていた5人のスタッフ全員がそちらに移ることができて、本当に安心しました。
最初の健康ランド以来、およそ25年前、温浴施設での請け負い業務を引き受けてきましたが、バブルが崩壊してからはスーパー銭湯の時代になり、そこでの請け負いというふうに、波にうまく乗れました。その経験があったから、『ラクーア』(東京都文京区)や『庭の湯』(東京都練馬区)の業務の請け負いにつながったのです」
ラフィネが教えてくれたもの
「『ラフィネ』との出会いは15年ほど前。ある会社からラフィネ3店舖を買ってくれないかと打診されました。その会社はメインが他の事業で、ラフィネの業績が悪かったわけではないものの、売れる時に売った方がいいと判断したんでしょう。私たちに『ラフィネ3店舗を買ってくれませんか』と打診が来ました。実は私たちは、ラフィネがなぜうまくいっているのかを知りたかったんです。まさに渡りに船の提案でした。実際にラフィネで目にしたのは、自分たちには考えもつかないものでした。『ファッション性』というものです。私たちはもとが技術者ですから、技術しか頭にありませんでした。でも、ラフィネの店内はきれいな内装で演出され、女性が気楽に入れるように造られていました。他にも、タオルにロゴが入っているとか。そんなのはもったいないじゃないか、どうでもいいじゃないか、技術さえ良ければいいじゃないかと、私たちは思ってしまいます。発想がまったく違っていたと分かり、自分の考え方を大きく変えようと決めました。
これまでの温浴施設には、努力しなくてもお客様は来ました。でも路面店には絶対にお客様が来るとは限りません。来ていただいて、リピートしていただく手がかりが、ラフィネにあったんです。また、人気のあるセラピストから話を聞いてマニュアル化し、そのマニュアルがある程度できてきた時点でお店を広げていくという方向性でやって来ました。その結果、全国に500店舗を展開できるまでになったのだと思います」
「人に任せる」という経営ノウハウ
「最初に立ち上げたエステサロンと接骨院も10年以上、経営を続けていましたが、どの業態が将来的に一番広げられるかを考えると温浴施設に集中した方がいいと判断し、ラフィネを買い取る前の一時期は温浴施設の請け負いだけに専念していました。ラフィネは最初から、店舗を増やしていくことが念頭にあり、そこで温浴施設での請け負いのノウハウが役立ったんです。最初に引き受けた会津若松の健康ランドでは、求人も面接も教育も私自身が行い、技術者としても店舗に入りました。小規模だったからできたことです。請け負う店舗が増えてくると、経理は他の人に、事務は他の人に任せた方が効率がいいと考えるようになり、それぞれ専門の人を採用していきました。
ラフィネを買い取った時点で、請け負っている温浴施設は全国にあったので、各店舗のセラピストの求人から採用後のケアまで、その地域にいる営業マンにすべて任せていました。だからこそ、ラフィネもその営業マンたちに抵抗なく任せることができました」
協会を設立したのはこの業界を守るため
「10年ほど前に、同業者同士で日本リラクゼーション業協会をスタートさせました。それまで、あん摩、マッサージ、指圧の業界では、資格の有無や治療行為の線引きが不鮮明な部分がありました。私たちは業界一位の企業であり、もし問題を起こせば業界自体もおかしくなってしまう。守るべきところは守らなければならないと考えました。そこで、協会として弁護士を交えて問題点をチェックし、自分たちはこうあるべきだという自主基準を作りました。協会の一番大きな活動は、自主基準を守っているかを会員同士でチェックすることです。また、お客様に対する事故検証と再発防止にも努めています。事故は確率的には少ないものの、ゼロにはならないのが事実。それをなるべくゼロに近づけるような勉強会も行っています。
協会の考え方に賛同しない会社はたぶんないと思うんです。ただ、協会の加盟者はすべて同業他社であり、ライバルです。ライバルと話をしなければいけないし、多少なりともお金もかかる。それが面倒だという会社もあります。そのような会社と話をして、理解してもらえるよう努力を重ねていきたいと思います」
職場を選ぶ時は会社をきちんと見極める
「まず、ちゃんとした経営者の元で働くこと。やはり、日本リラクゼーション業協会加盟の会社がいいんじゃないでしょうか。そして、その会社が教育に力を入れているか、その収入で生きていけるのか。それを確認してから決めるといいでしょう。もちろん、会社と自分、自分と客層の相性もありますので、そのお店ではお客様が付かなくても、他の店ではお客様が付くことがあります。一旦技術を学んだら、他の会社に移るのも手です。もし会社への不満があるなら、まずそれが何かをはっきりすべきです。今の状態が嫌だから転職するというのでは、また同じ状態に陥ります。この業界は向上心のある人が多いですから、もっと色んなことを勉強したいと思ったり、この会社での勉強は終わったと感じたら、違う環境に自分を置いてみてはどうでしょうか。
私の座右の銘は、『念ずれば花開く』です。でも、念じるだけでは本当はダメなんです。本気でやりたいと思えば、体が自然と動くもの。これは仕事に関しても、人生にしても同じです。苦労することもあるでしょう。それを乗り越えるには、どうすれば自分がステップアップできるか考えることが必要です。学ぶことで技術が向上し、自分への評価が高まったら、その次はどんなステージがあるのか、何を勉強できるのかを表現できている会社をぜひ見つけてください。「上司が認めたらステップアップ」というあいまいな基準ではなく、はっきりとした目標が示されていること。自分が努力するだけではなく、会社も一緒に努力してくれるような職場が理想ですね」
Profile
清水 秀文(しみず ひでふみ)さん
株式会社ボディワーク 代表取締役
日本リラクゼーション業協会 理事長
東京都出身。大学を卒業して1年間、サラリーマンとして働いた後に、東京鍼灸マッサージ専門学校と東京柔道整復専門学校へ。エステサロンと接骨院の開業・経営、温浴施設の業務請負などを精力的に行う。
現在、全国に「ラフィネ」ブランド500店舗を持つボディワークの代表取締役であり、グループ会社のボディワークホールディングス代表取締役も務める。2008年に日本リラクゼーション業協会の理事長に就任。
Company
Raffine(ラフィネ)
ほっとひと息ついてくつ3げる空間で、日々の生活で疲れをためてしまった心と体を解放し、ゆったりとした時間を過ごしていただくのがラフィネの願いです。
ボディケア、フェイスセラピー、リフレクソロジーなど、すべてオールハンドで行う上質なリラクゼーションメニューを揃えています。 〒107-0052 東京都港区赤坂1-1-14 NOF溜池ビル1階
TEL 03-5114-6131
全国に500店舗展開中です。
Raffine(ラフィネ)http://www.bodywork.co.jp/
日本リラクゼーション業協会
リラクゼーション業界の社会的な認知度の向上のため、2007年に設立されました。お客様が安心して利用できるサービスの提供や浸透を図りつつ、さらなる健全な発展を目指しています。同時に、サービスを提供する従事者側の発展・向上にも取り組んで参ります。
〒104-0061 東京都中央区銀座7-16-14 銀座イーストビル3階
TEL 03-5550-2020
日本リラクゼーション業協会http://www.relaxation-net.jp/