事務職から「床屋」へ勤務。そして女性専門シェービングサロンを開業【レディースシェービングサロン フレハ 自由が丘 オーナー ゆうこりんさん】#1

美容業界で働く上で「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな方に向けて、独立して成功されている先輩オーナーの方々の経験談をお届けする本企画。

今回お話を伺ったのは、数少ない女性専門のシェービングサロン「レディースシェービングサロン フレハ 自由が丘」オーナーのゆうこりんさん。「自分はこのままで良いのか…?」と事務職から理容師に転身後、「レディースシェービング」一本でどのように独立を果たしたのか。

前編では、理容師へ転身したきっかけから独立に至った経緯、オープン準備の苦労などをお聞きしました。

「このままで良いのか…?」と事務職から理容師に

一般事務の経験後、理容の道へ。
専門学校で一から学び、卒業後に理容室に就職。
シェービングの技術を習得したのちに、
女性専門のシェービングサロンをつくるために独立。
現在は自由が丘でプライベートサロンという形で
多くの女性に愛されています。

――独立前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

以前は事務の仕事をしていました。でも、シングルマザーになったことを機に、女手一つで育てていく覚悟でこの先を見据え、「今の仕事で良いのかな?」と思うようになったんです。

定時できっちりと退社させてもらっていましたし、子どもの体調不良による急な早退やお休みもいただけたり、わりと融通をきかせてくれる会社だったのですが、「本当にこのままで良いのかな…?」という想いが強くなって。事務の仕事は私じゃなくても代わりがきく仕事だと思っていましたし、私は自分にしかできない仕事をしたかったんです。

そんなある日、用事で区役所へ行ったときに、たまたま置いてある理容学校のパンフレットが目に留まって、「これだ!」と。それが理容師を目指すことになったきっかけです。それから専門学校に2年間通うことになりました。

――美容師ではなくあえて理容師を選んだのですね。

理容師は剃刀が使えるということが大きかったですね。美容師よりもできる範囲が広いことに魅力を感じて。でも、市役所にネイル学校のパンフレットが置いてあれば、もしかするとネイリストの道を選んでいたかもしれません(笑)。

――専門学校での生活はいかがでしたか?

生徒は高校を卒業したばかりの18歳の子が半数でしたが、30〜50代の大人の方もいましたよ。実をいうと、高校を卒業して社会人を数年経験したあとだったので、久しぶりの学業についていけるかという不安もありました。

でも、年齢層が広いことでお互いに学ぶことが多かったですし、30人ぐらいのクラスだったのですが、みんな仲良しで今でもご飯に行ったり、SNSを通じて情報交換などしています。

――卒業後は理容室に就職されたんですよね。実際にサロン勤務はいかがでしたか?

最初は洗濯や掃除、アシスタント業務がメインでしたが、朝から夕方までずーっと立ちっぱなし。足がキツかったという思い出が一番ですかね(笑)。

就職した床屋さんの厳しさや教育にもよりますが、1人前の理容師になるのに10年ぐらい掛かると言われています。技術職はやっぱり「経験」と「練習」が大事なんです。専門学校で学んだ知識は基礎として大切ですが、国家資格を取得したからといって就職後すぐにお客様に施術できるわけではありません。

なので、私もシャンプーを任せてもらえるようになったのは入社3ヵ月後ぐらいから。先輩に練習台になっていただいてシャンプーや顔剃りの練習をして、男性のお客様のお顔剃りに入らせてもらえるようになったのは6ヶ月後ぐらいでした。さらに、男性のお顔剃りと女性のお顔剃りは技術がまた違うので、女性のお顔剃りを一任されるのに1年掛かりました。

友人の一言がきっかけで女性専門サロンをつくることに

――なぜ独立を?

私の父も自営業をしていて、自宅の1階が事務所になっていたので、働く父の背中をずっと見てきました。母方の祖父も個人で小売業をしていて、聞けば父方の祖父も自営業だったそうで、もしかすると血筋なのかもしれません。ネイルやエステに関わらず、アパレルや販売業など何かで「自分でお店をやりたい!」「独立したい!」という気持ちをずっと持っていました。

大きなきっかけになったのは、友人から「ブライダルシェービングをしたいのだけど…」と相談を受けたこと。男性のスタッフやお客様がいるところでスッピンになるのはもちろん、背中やデコルテなどの上半身を施術をするのは、いくらカーテンなどで仕切られているとはいえ、やっぱり抵抗があると言われて…。

そう思っている花嫁さんは少なくないのでは? と思い、独立を決意したんです。

実は、その友達が当サロンのホームページなどでモデルさんを引き受けてくれてるんですよ。

――独立準備にあたって、まず何から着手されたのでしょうか。

勢いで独立してしまったこともあって、色々なことを同時進行でやっていました。とりわけ苦労したのが物件探し。やっぱり物件が決まっていないことには銀行から融資を受けるのは難しいので、「この場所でこういう事業をしたいです」とある程度固めておく必要がありました。

シェービングサロンは「理容所」扱いになるので、自治体によって異なりますが、保健所の登録が必要なんです。水道が2つないといけない、換気扇がないといけない、規定の広さがないといけない…などなど条件が多く、不動産屋さんにはかなりわがままを言いましたね。今の物件に決まるまで半年以上はかかりました。

「可愛い」とお客さんに好評な店内は、
ゆうこりんさんの好きなハワイアン風

――なぜ自由が丘を選んだのですか?

私、目黒区(武蔵小山)出身で自由が丘も地元から近いんです。

利便性が良いので、埼玉県や調布などの遠方から来てくださる方も多いのですが、お近くにお住まいの方とは「え! あのお店…」という会話で盛り上がることもよくあって。そんな会話ができるお店が良いなと思って、あえて地元に近くて土地勘のある場所を選びました。お客様とは近い距離感で接したかったんです。

あとは、やっぱり「オシャレの街・自由が丘」というブランド力も魅力的でしたね。「午前中にブライダルシェービング、そのあとにまつエク、夕方はネイルサロンに行く」という方がいました。自由が丘はそういうことができちゃう場所ですからね。

――「女性のシェービング」の認知度がそこまで高くなかったとのことですが、集客に苦労されたことはありますか?

お客様に来ていただけるようになるまでに半年くらいかかりましたね。オープンしたばかりの頃は誰も来ない日もありました。予約は入っていないけど営業時間中はサロンで待機している、という状況が寂しくもあり、虚しくもあり…。正直キツかったですね。

オープンしたのが11月末だったんですが、冬の寒空の下、駅前でチラシを配ったこともあります。もちろん警察にきちんと道路使用許可を取りましたよ。あとは、近隣にチラシをポスティングしたり…意外と地味にやってきました。

女性が来やすいシェービングサロンにするために

ゆうこりんさん曰く「まだまだ周知が足りない」というレディースシェービング。恐る恐る訪れるお客さんも多いとのことですが、相手に安心感を持ってもらうために、ゆうこりんさんが工夫してきたことを教えていただきました。

1. 女性が来やすい街を選ぶ

2. ご近所トークで親近感を

3. フランクな距離感で接する

ゆうこりんさん流の「親しみやすいお客様付き合い」について後編で詳しくお聞きします!

▽後編はこちら▽
楽しい=ラクちんじゃない。苦労&リスクを背負う覚悟を持って【レディースシェービングサロン フレハ 自由が丘 オーナー ゆうこりんさん】#2>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/石原麻里絵(fort)

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Salon Data

レディースシェービングサロン フレハ 自由が丘

住所:東京都世田谷区奥沢5-9-13 102
TEL:070-3605-2924

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