フランチャイズで独立するメリットとデメリットとは【ALICe by afloat 代表 ムッシュ豊田さん】#1

美容業界で働く上で「独立」という目標を持つ人は多いはず。そんな方へ成功している先輩オーナーの経験談を全2回でお届けする本企画。

今回お話をうかがったのは、人気ヘアサロンAFLOATからフランチャイズというかたちで独立したALICe by afloatの代表 ムッシュ豊田さん。現在では6店舗を展開しています。

前編となる今回は、豊田さんが独立した経緯とフランチャイズ契約を選んだ理由、そのメリットデメリットをお聞きします。

お話をうかがったのは…

ALICe by afloat 代表 ムッシュ豊田さん


「アフロートf」で歴代最短でトップスタイリストに昇進し3年連続売上1位。ディレクターを経て2011年フランチャイズにて自由が丘にアリスバイアフロートを設立。『女性を必ず綺麗にする』をテーマに美容室を運営し、現在は計6店舗を経営。オリジナルヘアーコスメ「Lila’efu」の運営の他、雑誌撮影TV出演多数。クアンクヘアを日本ではじめて考案。
Instagram:@monsieurtoyoda

自分が積み重ねた10年を5年で伝える教育を

AFLOATで10年の経験を積み、35歳で独立したムッシュ豊田さん

――まずは独立時のお話をお伺いします。豊田さんが独立を考えたきっかけは?

僕の場合、若いころはあまり独立について考えていませんでした。独立というものは、自分が成長していく過程であるステージに立ったときの、その次のステージとしてあるものだと思っています。だから独立を考えたのも、自分の次のステージについて意識したからでした。

AFLOAT時代、お給料も待遇もとてもよく売上もそこそこありました。でも自分が美容師になったときに思い描いていた映像と、10年やってきた自分の現状が少し乖離しているなと感じる部分があったんです。そこで自分は次のステージにいくタイミングなのかなと考えました。

――独立を考えたとき、何か目標やしたいことなどは考えましたか?

「社長になりたい」という気持ちは根本的に持っていませんでした。それよりも、10年かけて積み重ねてきた経験や技術を噛み砕いて伝え、5年で美容師を育てる…ということがしたいと思い始めました。

僕すごくせっかちで(笑)、時間に対して執着が強いんですね。当時の美容業界では、スタイリストデビューまで5年かかるのが当たり前でした。でも、その5年って誰が決めたんだろう?と感じていたんです。

だって美容学校を卒業したばかりの子が、面接に持ってくる作品の中には「これ僕でも難しいんじゃないかな」と思うものもたくさんあるんです。それに、技術が追い付いていないにしても、クリエイティブ感というのはやはり卒業したての若い子の方がある。それをいったんフラットにして教え直すというのに違和感がありました。

だから開業当初から掲げているのは、とにかく早くデビューさせること。「僕の10年を5年で伝える」ということを決め、ずっと続けてきました

ブランドをつくる時間をお金で買う「フランチャイズ独立」

1店舗目のALICe by afloat。当時ではめずらしいビル上階でオープン

――独立の際、フランチャイズにした理由を教えてください。

AFLOATという名前は、おそらく流行に敏感な女の子なら一度は聞いたことがあると思います。そのくらい大きなブランド力というのは、美容室を経営するうえですごく強い武器になるんです。

でも1からサロンを始めたとして、そのサロンがブランドになっていくには3~5年はかかります。どんなに売り上げがある人でも、独立して新しい名前でサロンを始めたら、そこからがスタート。

それなら僕は、毎月お金を払うかたちで「by afloat」という名前をしっかり使わせてもらおうというのを最初に考えました。簡単に言うと「時間を買った」ということですね。

――具体的に、どんなメリットがあるのでしょうか?

まず物件が借りやすいです。AFLOATというブランドがあることで、「ビル全体の価値が上がりますよ」と不動産屋さんがオーナーに推してくれることもありましたし、オーナーが名前を知ってくれていて安くしてくれたこともあります。また、ひとつのグループとして材料を仕入れられる分、コスト面が抑えられるというメリットも大きいですね。

なかでも僕が一番メリットを感じているのは、いいスタッフが集まりやすいという点です。うちにいるスタッフはほぼ全員、AFLOATという名前がついているから応募してくれたと思います。なかなか新卒が集まりにくい今、美容学生にも名前が浸透しているというのは大きな強みだと感じます。

これらは開業当初だけでなく、10年経った今でもずっと感じ続けているメリットです。

サロン作りに合わせてフランチャイズではない別ブランドも展開

フランチャイズ契約サロンには「by afloat」がつく

――逆にフランチャイズにデメリットを感じたことはありますか?

AFLOATが持つブランドイメージが強いことで、まったく違うブランドを出しづらいというのはありました。AFLOATと言えば赤文字系のスタイルというイメージもありますし、価格帯を変えることでブランドイメージを損ねてしまう可能性もあります。

今は別ブランドも何店舗か展開しているので、もう昔の話ですが、最初のころは悩みましたね。

――どういうかたちで別ブランドを出されたんですか?

僕がずっとしたかったことのひとつに、「価格帯を下げたOJTのためのサロンを作る」というものがありました。でもそれをするには、AFLOATというブランド名を入れることが、あまりメリットにならない。「AFLOATでこの値段なの?」と思われるのも嫌だし、「なんで1店舗だけ安いの?」という疑問も持たれてしまいます。

だからその店舗はAFLOATという名前は外して、別ブランドとして出すことにしました。それが「riko」。入社して1年以内には「riko」でOJTをスタートし、売り上げの規定をクリアすると別店舗に行く。そういうスクーリングの場として活用しつつ、価格もカット・カラー・クイックトリートメントで6000円という価格帯で展開しています。


フランチャイズというかたちで独立し、店舗展開にあわせてフランチャイズ契約を使い分けている豊田さん。デメリットと感じた面も臨機応変に対応することで、フランチャイズのメリット面を大きく感じているようでした。次回後編では、独立を目指す人へのアドバイスをお聞きします。

取材・文:山本二季
撮影:米玉利朋子(G.P.FLAG)

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Salon Data

ALICe by afloat
住所:東京都目黒区自由が丘1-26-4ステラビル4F
TEL:03-5731-3838

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