美容師が知っておきたい失業保険の基礎知識|どこでもらうの? 申請する場所と手続き方法を解説
美容師として働いている方のなかには、開業や転職などの目的で現在の仕事からの退職を検討されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは美容師が離職をする際に給付を受けることが可能な失業保険について解説します。保険自体の詳細や支給を受けるための条件、手続きの方法などについて知りたいという方はぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
美容師が知っておきたい失業保険の基礎知識
美容師に限らず、失業保険の仕組みについてご存じでない方は意外にも多く、支給申し込みをせず、結果的に損をしてしまう方も少なくありません。ここではそんな失業保険自体の特徴や仕組みについて解説します。
そもそも失業保険(雇用保険の基本手当)とは? 退職金とどこが違うの?
失業保険は、基本的に雇用契約を結んでいるすべての人が強制加入となる保険です。そして、退職などにより失業した際に、この保険を利用することで受け取れるお金を「失業給付」と呼びます。この失業給付は退職金と混同されがちですが、退職金は雇用契約を結んでいた会社から支払われるお金であるため、根本的な違いがあるのが特徴です。
失業保険をもらえる条件とは?|受給資格
失業保険をもらえる条件としては、年齢や被保険者期間、離職理由にもとづいて決められる日数を満たしていることが定められています。この日数は条件によって大きく異なるため、詳細は厚生労働省が発表している取り決めを参考にするといいでしょう。
被保険者期間によっては支給されないこともある!
失業保険をもらえるかどうかは被保険者期間が大きく関係します。この期間が上述した日数を満たしていない場合は、支給を受けられない可能性もあるので、注意が必要です。
就職活動ができない妊娠や出産で離職する場合は?
退職理由には、妊娠や出産といったやむをえないものもあります。このような理由による退職は「特定理由退職」に分類されるのが特徴です。延長手続きをおこなえば被保険者期間が失業保険の受給条件を満たしていなくても、失業保険の給付を受け取れることがあります。
失業保険はいくらもらえるの?|給付額の決め方
失業保険の給付額は所定の方法で計算することで求められます。続いてはその決め方を見ていきましょう。
賃金日額の求め方
賃金日額とは1日あたりの賃金のことを意味しており、この金額は失業保険の給付額を決める際の基準のひとつです。基本的に賃金日額は「最新の6カ月間の賃金の合計」を180で割ると求めることができます。
基本手当日額の求め方|賃金日額と離職時の年齢にもとづく
基本手当日額は離職時の年齢にもとづいて決められます。年齢ごとの詳細な金額については後述する表をご参照ください。
基本手当日額|離職時の年齢が29歳以下
離職時の年齢が29歳以下の場合の基本手当日額は以下のとおりです。
基本手当日額|離職時の年齢が29歳以下
離職時の年齢が29歳以下の場合の基本手当日額は以下のとおりです。
基本手当日額|離職時の年齢が30~44歳
離職時の年齢が30~44歳以下の場合の基本手当日額は以下のとおりです。
基本手当日額|離職時の年齢が45~59歳
離職時の年齢が45~59歳以下の場合の基本手当日額は以下のとおりです。
基本手当日額|離職時の年齢が60~64歳
離職時の年齢が60~64歳以下の場合の基本手当日額は以下のとおりです。
失業保険は何日間もらえるの?|給付期間の決め方
失業保険をもらえる期間は退職理由などによって決められます。続いては、退職理由ごとの失業保険給付期間を確認しておきましょう。
自己都合による退職の場合
自己都合で退職した場合の失業保険の給付を受けられる期間は次のとおりです。
勤務先の都合による退職の場合
勤務先都合で離職した場合、失業保険の給付を受けられる期間は次のとおりです。
特定受給資格者とは?
解雇や倒産、妊娠、両親の介護などのやむをえない理由から退職する場合、特定受給資格者に分類されます。これに該当する方は受給条件を満たしていなくても、失業保険の給付を受けられるケースがあるのが特徴です。
失業保険はどこでもらうの? 手続きはどうすればいい?
失業保険の給付を受けるには、以下の方法で手続きをする必要があります。失業保険を申請する前に手続きについて確認しておきましょう。
ハローワークへ手続きに行こう!
失業保険の受給手続きはハローワークでおこないます。そのため、失業保険の給付を受ける際には、まずは最寄りのハローワークへ行きましょう。
申し込みに必要となるもの|印鑑・写真など
失業保険の給付を受けるためには、申し込み時に以下のものを持参する必要があります。
・印鑑
・顔写真2枚
・身分証明証
・本人名義の預金通帳
・雇用保険被保険者離職票
説明会に出席しよう
失業保険の給付を受けるには、初回説明会へ参加しなければなりません。この説明会はハローワークでおこなわれています。
失業の認定とは|求職活動を開始しよう
失業とは、「健康状態などは問題なく、就職できる状況にあるものの、本人やハローワークが再就職活動に尽力しても一時的に就業できない状態が一定期間続くことが見込まれること」と定義されています。したがって、失業保険の給付を受けるには就職活動をおこなうことで失業の定義を満たすことが必須です。
基本手当の支給を受けるためには求職活動が必須!
失業保険の給付を受けるためには失業認定を受けなければならず、そのためには上述した失業の定義を満たしている必要があります。したがって、失業保険の給付は求職活動をしていないと受けることができません。
サロンスタッフから美容室開業へ|ライフプラン変更にも使える再就職手当とは
美容業界で働いている方のなかには、ライフプランの変更にともなって美容院やサロンなどの個人開業をされる方も少なくありません。続いては、個人開業をする人も給付を受けられる「再就職手当」について解説します。
再就職手当とは?
再就職手当とは失業をしていた人が就職した際に受給できる手当です。この手当は就職だけでなく、開業をした際にも受け取ることができます。
再就職手当はどうすればもらえるの?
再就職手当をもらうには、離職票をハローワークへ提出していることや雇用保険の説明会へ参加していること、就職活動実績を報告する初回認定日にハローワークへ行くことなどの要件を満たさなければなりません。そのうえで税務署へ開業届を提出することで、初めて受給が可能となり、所定の支給を受けるための手続きをおこなうと給付が開始されます。
再就職手当はいくらもらえるの?
再就職手当の計算方法は、失業保険支給期間の残り日数によって異なるのが特徴です。そのため、詳細な支給金額を知るためには、「1日あたりの失業保険支給額」と「失業保険支給期間の残り日数」を調べ、計算する必要があります。
再就職手当の額
失業保険支給期間の残り日数の計算方法は次のとおりです。
開業することはいつハローワークへ伝えるの?
自分の都合で退職した場合、退職から1カ月間の就職活動期間をおいてから開業届をすることで再就職手当を受給できます。ただし、会社都合による退職の場合、1カ月の就職活動期間をおく必要はありません。
個人開業では事前準備も必要であることから、この1カ月間を準備にあてたうえでハローワークへ開業届を提出するのがおすすめです。
失業保険は雇用保険加入者の権利! やめる前にチェックしておこう
美容業界で美容室のスタッフとして働いている美容師のなかには、将来的なキャリアアップとして開業などを計画している方も多いでしょう。そして、その過程では一時的に失業状態に陥ることもあるかもしれません。
失業保険には職を失った人の生活を一時的に補助する目的があり、同じ職場で一定期間以上働いた方は基本的にその支給を受ける権利を持っています。うっかり損をしてしまわないためにも、受給方法は把握しておくようにしましょう。
出典元:
厚生労働省|雇用保険の基本手当(失業給付)
厚生労働省|50401-50600 第5 賃金日額の算定の基礎となる賃金の範囲
厚生労働省|受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準