ハミルカットとはどんなヘアスタイルなの? なぜ流行ったの?|ハミルカットを今取り入れるなら
今、ファッション界を席巻しているのが1970年代のファッションです。70年代に流行した昭和レトロ感がある花柄やプリントなどが人気となっています。70年代リバイバルはヘアスタイルにも影響を及ぼしており、この時代に一世を風靡した「ハミルカット」が令和になった今、ふたたび注目を集めているのです。
今回はハミルカットの誕生由来、そして現代風にアレンジした最新ヘアスタイル、ヘアアレンジをご紹介します。
ハミルカットとは? なぜ流行ったの?
ファッション界でいま注目されているのが1970年代のテイストで、昭和レトロなファッションが若い世代には新鮮で注目をあびています。それにともない、ヘアスタイルも70年代がリバイバルブームとなり、かつて一世を風靡した「ハミルカット」が再注目されるようになりました。
「ハミルカット」は、1976年のオーストラリア・インスブルック冬季オリンピックで金メダルをとったフィギュアスケーター、ドロシー・ハミルが由来とされています。氷上で舞うハミルの美しさを引き立てたのが、美しいヘアスタイルだったのです。彼女は現代でいうところの、浅田真央さんや羽生結弦さんと同じくらい、世界的に人気で注目を集めたフィギュアスケーターでした。
フィギュアスケート選手ドロシー・ハミルの髪型
今でこそ、フィギュアスケートといえば男女ともに活躍するスポーツとなりましたが、かつては日本人選手の活躍より、海外の選手のほうが注目を集めていました。なかでもひと際人気だったのが、アメリカのドロシー・ハミル選手です。
1976年に開催されたインスブルック・オリンピックで金メダルを獲得し、同年開催された世界選手権で優勝したのち、現役を引退しました。
19歳という若さで金メダルを取ったドロシー・ハミルは、その美しい容姿で世界的に人気となります。彼女のヘアスタイルは、リンクのうえで彼女が舞うとフワっと髪がなびき、着氷したときにヘアは乱れることなくおさまっていました。オリンピックのときのドロシー・ハミルの髪型が美しいと評判になったことから「ハミルカット」と名づけられ、日本でも大流行したのです。
考案したのは日本人美容師|須賀勇介
この「ハミルカット」を考案したのは、なんと日本人だったのです。1970年代に活躍した伝説のカリスマ美容師であった須賀勇介さんが、「ハミルカット」をつくりあげました。
須賀さんは日本のみならず、海外でも活躍した世界的ヘアスタイリストのひとり。黒柳徹子さんの「タマネギヘア」を考案したのも、須賀さんだったのです。
ハリウッドで活躍する女優を何人も手がけた須賀勇介さんが、ニューヨーク57丁目にオープンした「スガサロン」は大人気店となりました。須賀さんの顧客には、ケネディ元大統領夫人のジャクリーン・ケネディ・オナシスやフェイ・ダナウェイ、ダイアナ・ロスなど一流のセレブが名を連ねます。
残念ながら須賀さんは、1990年、48歳の若さでこの世を去りました。しかし、須賀さんの影響を受けたヘアスタイリストたちは、いまも世界中で活躍しています。
ハミルカットを現代風にアレンジ! 今取り入れるならグラデーションボブ
1970年代に伝説のヘアデザイナー・須賀勇介さんが生み出した「ハミルカット」を現代風にアレンジすると、どのようなヘアスタイルになるのでしょうか。現在の流行を加味して「ハミルカット」をアレンジするには、グラデーションボブがおすすめです。グラデーションボブとは頭の下側の髪より、上の髪を長くする「グラデーションカット」をほどこしたボブスタイルのこと。
キュートにも、フェミニンにも、そしてクールな雰囲気にもアレンジできる人気のヘアスタイルです。ここでは最新版「ハミルカット」のカットの仕方、レイヤーの入れ方、女性らしい雰囲気づくりについて、さらにグラデーションボブが似合う髪型・髪質についてご紹介します。
昭和レトロなハミルカットのベースは?
昭和に流行った「ハミルカット」は髪に対して垂直にハサミを入れてカットする「ブラントカット」が主流でした。これは「ヴィダルサスーン」が考案したといわれており、かなり高度な技術を要するカットです。
一方、グラデーションボブはこのハミルカットをベースにしたヘアスタイルだといわれています。当時のハミルカットを見るとあまりレイヤー感がないので、全体的に重みを感じるヘアスタイルです。それを現代風にアレンジすると、軽さが加わって女性らしいナチュラルな仕上がりになります。ドロシー・ハミルのような、女性らしい丸みのあるシルエットが似合う方におすすめのヘアスタイルです。
グラデーションボブとは?
グラデーションボブとは、通称「グラボブ」と呼ばれ、裾の部分に幅の狭い範囲で、外側の髪が短くなるよう段差(レイヤー)を入れたボブカットのことです。
ここではグラデーションボブについて、レイヤーボブ(ウルフカット)との違いやグラボブでどのような女性らしさを演出できるか、グラボブはどんなタイプの女性に似合うかなどを説明します。
グラデーションボブはお手入れも簡単で、ドライヤーで根元を持ち上げるように、ハンドブローするだけでふんわりさせることが可能です。時短でスタイリングできるので、朝、忙しい人にもおすすめのヘアスタイルといえます。
レイヤーボブ(ウルフカット)とはどこが違うの?
レイヤーカット(ウルフカット)とは、髪の上の部分は丸みをつけたマッシュルームカットで、下部にはレイヤーを入れます。レイヤーを入れることで、襟足が軽い印象になり、髪に動きが生まれるのです。この襟足部分のレイヤーが、狼の毛先に似ていることからレイヤーボブのことを「ウルフカット」とも呼ばれます。
このヘアスタイルは、ショートでもロングでもアレンジができるバリエーションに広がりがある髪型です。
頭部のマッシュルーム部分を軽く仕上げる「エアリーウルフボブ」は、スタイリングがしやすいので初心者の方にもおすすめ。しかし、襟足が軽くなるので、髪の量が多い方、広がりやすい方は、スタイリングに工夫を要するでしょう。
意外とわかりにくいのがレイヤーボブとグラデーションボブの違いです。簡単にいうと、グラデーションボブのほうがレイヤーボブより段差が小さいという特徴があります。
グラデーションボブは髪上部に丸みがあり、髪下部にレイヤーを入れるのが特徴である一方、レイヤーボブはレイヤーカットを用いたボブスタイルです。グラボブとは違って、髪上部より下部のほうが長くなります。
女性らしい雰囲気や印象を演出できる
グラデーションボブは、全体的に丸みがあるのが特徴です。女性らしい雰囲気や印象を演出するできます。カラーリングした髪も、黒髪でもグラデーションボブなら重みを感じることがありません。
グラデーションボブにグラデーションカラーを加えると、よりいっそう立体感、軽さが引き立つため、フェミニンにもガーリーにも、そして大人っぽいクールさも演出することができます。
グラデーションボブなら、スーツやジーンズスタイル、ガーリーなワンピースでも似合うので、自分好みにアレンジしやすいヘアスタイルです。
グラデーションボブはどんな顔型・髪質の方におすすめ?
昨今、ヘアスタイルの定番となったグラデーションボブは、ファッション雑誌の記事やヘアカタログでもよく見るようになりました。丸みのあるシルエットが特徴のグラデーションボブは、顔の輪郭をカバーするので面長さんにも小顔効果が期待できます。
頭部の髪が長いのでまとまりやすく、広がりやすいくせ毛の方にもおすすめです。前下がりボブや、ぱっつん前髪ショートボブにしても、グラデーションボブは映えます。幅広い年齢層に好まれる、定番ヘアスタイルだといえるでしょう。
ハミルカットは日本人美容師考案のヘアスタイル!
いつの世もファッションの流行は移り変わりが激しいものです。1970年代に流行したハミルカットは、フィギュアスケーターのドロシー・ハミルというオリンピックメダリストから人気の火がつきました。
そのヘアスタイルを生み出したのが、日本人・須賀勇介さんだったのです。いまでは世界で活躍するヘアスタイリストはたくさんいますが、当時、日本人がハリウッドで活躍するというのは夢のまた夢でした。
日本人独自の感覚に須賀勇介さんのファッションセンスが融合して生まれたハミルカットは、令和になってグラデーションボブとして再び流行するようになったのです。現代風に、多彩なアレンジが叶うグラデーションボブを取り入れ、自分に合う髪型を見つけてみてくださいね。