漢方薬剤師に資格は必要?おすすめ資格とキャリアパスを紹介

漢方薬や生薬に関する知識を活かし、体質や症状に合わせた提案を行う「漢方薬剤師」。西洋医学とは異なる視点で患者に向き合えることから、専門性を高めたい薬剤師にとって魅力的なキャリアの一つです。

一方で、漢方薬剤師になるには資格が必要なのか、どのようなキャリアパスがあるのかと疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、漢方薬剤師の概要や仕事内容を紹介したうえで、おすすめの資格や取得方法、将来のキャリアパスについて詳しく解説します。

漢方薬剤師とは?

漢方薬剤師とは、漢方薬や生薬に関する専門的な知識を有し、患者一人ひとりの体質や症状、生活習慣などを踏まえて適切な漢方薬を提案できる薬剤師のことを指します。

西洋薬を中心とした治療とは異なり、「証(しょう)」と呼ばれる体質や状態を総合的に捉えながら、自然由来の生薬を組み合わせて体のバランスを整えていくのが特徴です。

漢方薬剤師は、調剤薬局や漢方専門薬局、病院などさまざまな現場で活躍しており、近年はセルフメディケーション意識の高まりから、一般用漢方薬の相談ニーズも増えています。

漢方薬剤師になるためには薬剤師以外の資格は必須ではありませんが、専門資格を取得することで、知識の体系的な習得や信頼性の向上に役立つというメリットがあります。

以下では、漢方薬剤師の仕事内容について見ていきましょう。

引用元
公益財団法人 日本薬剤師研修センター|漢方薬・生薬認定薬剤師

漢方薬剤師の仕事内容

漢方薬剤師のおもな仕事内容は、患者へのカウンセリングを通じて体質や症状、生活背景を把握し、それに適した漢方薬を提案することです。冷えや疲労感、胃腸の不調など、検査数値に表れにくい悩みに対応するケースも多く、丁寧にヒアリングする必要があります。

一般的な薬剤師は、医師が発行した処方箋に基づいて調剤や服薬指導を行うことが中心です。一方、漢方薬剤師は一般用医薬品としての漢方薬を扱う場面では、自身の判断で処方内容を組み立てることもあります。

そのため、漢方理論や生薬の特性に関する深い知識に加え、患者との信頼関係を築くコミュニケーション力が欠かせません。

漢方薬剤師を目指す方におすすめの資格とは?

漢方薬剤師として働くうえで、資格は必須条件ではありません。しかし、資格を取得することで漢方薬や生薬に関する専門知識を体系的に学べるほか、就職・転職時のアピール材料としても役立ちます。

とくに、漢方を専門的に扱う薬局や病院では、資格保有者が評価されるケースもあります。ここでは、漢方薬剤師を目指す方におすすめの資格と取得方法について紹介します。

漢方薬・生薬認定薬剤師|公益財団法人 日本薬剤師研修センター

漢方薬・生薬認定薬剤師は、漢方分野における代表的な資格の一つで、公益財団法人日本薬剤師研修センターが実施しています。漢方薬や生薬に関する専門的な知識と、それを実務で適切に活用できる能力・適性を備えた薬剤師であることを証明できるのが特徴です。

漢方医学の基礎理論から、生薬の鑑別、配合意義、安全性、臨床での活用方法までを体系的に身につけられ、一定水準以上の専門性を有することができます。

漢方を専門的に扱う薬局や医療機関だけでなく、調剤薬局やドラッグストアなど、幅広い現場で評価されやすく、患者一人ひとりの体質や症状を考慮した服薬指導を行いたい薬剤師にとって有用です。

専門業務分野において十分な知識と実践力を持つことが試問等によって確認され、その能力が認められたことを示せる点も、大きな信頼につながるでしょう。

引用元
公益財団法人 日本薬剤師研修センター|漢方薬・生薬認定薬剤師

漢方薬・生薬認定薬剤師の資格取得方法

漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を取得するには、日本薬剤師研修センターが実施する所定の研修プログラムを修了し、試問に合格する必要があります。研修は合計9回に分かれており、全44講義で構成されています。

研修内容は、漢方医学の基本概念、生薬の基礎知識、処方の考え方、臨床での応用、安全性管理など、実務に直結するテーマが中心です。加えて、薬用植物園での実習が必修となっており、実際の薬用植物を観察しながら、生薬の原植物や特徴を学びます。

座学だけでなく、現物に触れながら理解を深められる点は、この資格の大きな特徴といえるでしょう。

研修修了後に試問が行われ、一定の知識水準と理解度が確認されます。計画的に研修を受講し、日々の業務と並行して学習を進めることで、資格取得を目指せるでしょう。

受講料はテキスト代と試問料込みで、60,500円(税込)です。年度をまたいで薬用植物園実習を受講したり、試問を受けたりする場合は、別途費用が必要になります。詳しくは公式サイトを確認してください。

引用元
公益財団法人 日本薬剤師研修センター|漢方薬・生薬認定薬剤師 研修受講案内
公益財団法人 日本薬剤師研修センター|漢方薬・生薬研修プログラム

漢方アドバイザー|一般社団法人日本技能開発協会

漢方アドバイザーは、一般社団法人日本技能開発協会が認定する資格で、漢方の基礎知識から実生活での活用方法までを幅広く学べる点が特徴です。

薬剤師に限らず、医療・健康分野に関心のある一般の方も受講できるため、漢方を基礎から体系的に学びたい方に向いています。

漢方薬の考え方や体質別のアプローチ、服用時の注意点など、実践的な内容が中心で、患者や相談者への説明力を高めたい薬剤師にとっても役立つ資格といえるでしょう。

引用元
一般社団法人 日本技能開発協会|漢方アドバイザー

漢方アドバイザーの資格取得方法

漢方アドバイザーの資格を取得するには、択一式の試験に合格する必要があります。通信講座を受講してから受験するのが一般的で、自分のペースで学べる点が特徴です。

教材を用いて漢方の基礎理論、体質別の考え方、代表的な漢方薬の知識、日常生活での活用方法などを学び、理解を深めていきます。

学習修了後は、認定試験を在宅で受験し、一定の基準を満たすことで資格が取得できます。

受講から資格取得までの流れが明確で、医療現場で働きながらでも取り組みやすい点がメリットです。漢方に関する基礎的な知識を身につけたい方や、専門資格取得前のステップとしても活用されています。

テキスト教材(問題集)、添削課題、試験、認定証(ディプロマ)発行を含めて49,500円です。試験と認定証発行のみの場合は、16,500円となっています。

引用元
一般社団法人 日本技能開発協会|漢方アドバイザー 資格取得の流れ

漢方薬剤師のキャリアパスとは?

漢方薬剤師としてのキャリアは、最初から専門職として働くケースばかりではありません。一般薬剤師として基礎を身につけたうえで、段階的に漢方分野の知識と経験を深めていくのが一般的です。

勤務先の方針や本人の志向によって、相談業務に特化した道や、指導・教育、さらには経営に関わるキャリアを選択することもできます。ここでは、漢方薬剤師として歩める代表的なキャリアパスを紹介します。

一般薬剤師として基礎を固める

漢方薬剤師を目指す場合でも、まずは一般薬剤師としての基礎をしっかり固めることが重要です。調剤業務や服薬指導、患者対応などを通じて、薬剤師として必要な知識やコミュニケーション能力を身につけていきます。

その過程で、漢方薬に関する研修や勉強会に参加したり、専門書を用いて自主的に学習を進めたりすることで、少しずつ漢方分野への理解を深めていけるでしょう。

基礎力を養う時期は、その後の専門性を支える重要な土台となるため、新人のあいだは一つひとつの仕事をしっかりとこなし、スキルを身につけることが大切です。

漢方相談を担当する

一般薬剤師としての実務経験を積み、漢方に関する知識や理解が深まってくると、漢方相談を任されるようになります。漢方相談では、患者の主訴だけでなく、体質や生活習慣、食事内容、睡眠状況などを丁寧にヒアリングし、総合的に状態を判断する力が必要です。

西洋薬中心の業務とは異なり、時間をかけたカウンセリングが重要になるため、コミュニケーション力や観察力も求められます。

はじめは苦労することもあるかもしれませんが、こうした実務経験を重ねていくことで、漢方薬剤師としての専門性と実践力を高めていけるでしょう。

指導役や研修担当になる

漢方薬剤師として十分な経験を積むと、後輩薬剤師や新人スタッフの指導役を担う立場になることがあります。漢方薬の基本的な考え方や処方の組み立て方、相談時のポイントなどを伝えることで、職場全体のスキル向上に貢献できるのが特徴です。

また、院内研修や勉強会を企画・運営する役割を任されることもあり、自身の知識を整理しながら伝える力が求められます。指導を行う過程で理解がより深まり、漢方薬剤師としての信頼性も高まっていくことでしょう。

薬局の店長になる

漢方に関する専門知識と現場経験を積み重ねていくと、漢方薬局や漢方に注力している薬局で店長として活躍する道も開けてきます。

店長になると、漢方相談や調剤業務だけでなく、スタッフの教育・指導、シフト管理、業務フローの改善など、薬局全体の運営を担う立場になります。

とくに漢方を扱う薬局では、接客の質やカウンセリング力が店舗の評価に直結するため、スタッフを育成する役割は重要です。

さらに、売上管理や地域医療との連携など経営的な視点も求められるため、専門性とマネジメント力の両方を活かせるキャリアといえるでしょう。

漢方メーカーへの転職も

経験を積む中で漢方への知識を活かし、漢方メーカーへ転職して研究を行う道もあります。メーカーでは、漢方薬や生薬に関する研究開発、品質管理、学術担当としての情報提供など、さまざまな業務に携わることができるのが特徴です。

現場で患者対応や漢方相談を行ってきた経験は、製品の改良や医療従事者に向けた説明において大きな強みとなります。調剤や服薬指導とは異なる立場から漢方医療に関わることで、より広い視点で専門性を発揮できるでしょう。

漢方薬剤師の資格で専門性を高めよう!

漢方薬剤師は、漢方薬や生薬に関する専門知識を活かし、患者一人ひとりの体質や症状に寄り添った医療を提供できる点が大きな魅力です。資格は必須ではないものの、漢方薬・生薬認定薬剤師や漢方アドバイザーなどの資格を取得することで、専門性の証明につながり、就職や転職、キャリアアップの場面で評価されやすくなります。

また、一般薬剤師として基礎を固めたうえで、漢方相談、指導役、店長、さらには漢方メーカーへの転職など、多様なキャリアパスを描けるのも特徴です。

漢方薬剤師としてのスキルや資格を活かせる職場を探したい方には、リジョブと提携しているファーマキャリアの活用がおすすめです。ファーマキャリアでは、希望条件や将来像に合わせたオーダーメイド求人を紹介してもらえるため、専門性を発揮できる環境に出会いやすくなります。

資格取得とあわせて、理想の働き方を実現できる職場探しも進めていくとよいでしょう。


監修者

この記事の監修者

森正弘
薬剤師専任キャリアアドバイザー
社内MVP受賞

【経歴・実績】
・北海道大学大学院(修士)修了 / 元大手インフラ企業 研究職
・社内受注金額MVP / 成約率41%の実績

【プロフィール】
理系院卒の深い理解と論理的交渉で、週休3日や高年収など他社が敬遠する難条件も実現。
深層心理まで掘り下げ、客観的な利点と欠点を提示します。意見を押し付けず、最終的にはご本人の意思決定を最優先に尊重します。

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