業界が注目! 入社3ヶ月で店長になった竣士さんってどんな人?#2
業界初! 入社3ヶ月で店長になった人がいる。原宿で刻々と進化を続ける美容室GARTE。その2号店としてオープンしたSNOT by GARTE(スノットバイガルテ)の竣士さんがその人。前編では、竣士さんがどうやって入社3ヶ月で店長になったのかを伺いました。この後編では、GARTE代表のATSUTOSHIさんが、なぜ竣士さんを店長に抜擢したのか、おふたりの対談風景を公開します。
人を集められる力は美容師として重要
――竣士さんを店長に抜擢した理由を教えてください。
ATSUTOSHI:もともとアカデミー(GARTEの美容技術を学べるオンラインセミナー)のときから、いちばん上手かったんですよ。もしかしたらアシスタントよりも上手いレベルで。真面目に通っていたし、やればやるほど吸収して上手くなっていく。僕としては、ああ、この子が有名にならなかったら僕のせいだなと思ったんです。店を任せるのは、予定より早かったけれど、まあ、できるでしょって感じで。というのは、僕自身が23才のときにヴィダル サスーン サロンシップのモデルサロンの代表を任されているんです。それがあったからこそ、勉強になったこともあるし、経験も積めました。だから今回、竣士にやってみなよって。失敗したって、僕がお金払うだけだから(笑)。
竣士:いや、そう言われると逆に緊張します。
――まずは、技術面が優れていたということですね。元々人の上に立つような性格的なこともあるんですか?
ATSUTOSHI:上に立つのは慣れもあるし、下の子が入ってきていないので、まだそういうことはないですね。言われたことがすぐできるという面では、うちの店では竣士がズバ抜けていると思います。そこが、店長を任せる上でいちばんの突破ポイントだったかもしれません。言われたことができるって、当たり前のことのように思うかもしれないけど、意外とできない子が多いんです。一回言われてこなせるということは、上に立つことになったときにも大事なことだと思うんですよ。僕も、上から言われた仕事は、意地でも一回で終わらせるという信念で上がってきました。竣士もそういうところが似ているので、店長を任せても大丈夫だろうと思っています。
――それは、素直さ・理解力・スピード感、何でしょうか?
ATSUTOSHI:理解力と記憶力でしょうか。竣士も忘れることもあるので、伝えると同時に、グループラインのノートにあげるようにしています。タスクとしてあげて、それをこなしていく形です。
竣士:ATSUTOSHIさんに指導してもらうことが日々たくさんあります。今はただただ焦っている感じです。任せてくれた立場に自分が合わせていくというか、上っていかなければと思っています。
――竣士さんの魅力ってどんなところですか?
ATSUTOSHI:竣士には人を集める力があると思います。人を集められることは、美容師をやる上でかなり重要だと思っています。飲みに行こうよと言って友達が集まる、フットサルしようよと言って後輩が集まるとか。やっぱり美容師ってお客様が来ないとできない仕事なので、人を集められる力を持っているということは、かなり重要なんじゃないかなと思います。
うちでは「みんな遊びに行こうぜ」みたいな発信側、学校でリーダー的存在だった子たちが多いですね。そういう子たちのほうが、将来的にも売れやすい傾向があると思います。あとは、人をまとめる力、リーダーになれる力はあると思います。それも重要ですよね。
竣士:自分の口からは、リーダー的存在だったとは言いにくいですが(笑)。でも、友だちは多いほうだった気がします。美容学校でも、全員と深い友達というわけではありませんでしたが、全員と知り合いでした。誰とでもしゃべれるほうだと思います。
スタート地点を合わせられるのが若手採用のメリット
――若手を採用するメリットは何ですか?
ATSUTOSHI:まずは、やめ癖がついていないので教えやすいということです。中途の方は、なにか嫌なことがあるとやめるという選択をする人が多い気がします。3ヶ月以内だと売り上げがない状態で辞めていくので、単純にひとり当たり60~80万円の損失ですよね。すぐに辞めそうか、そうでないかは採用のいちばんの基準です。
それから、若くてもちょっと強く言うとツンとしたり、凹んじゃうとか、そういう子は成長しません。逆に、少しくらい言われてもその場ですぐ直して持ってくる子には、こちらも「また教えよう」っていう気持ちになります。教えてもらうのが当たり前みたいな感覚になってしまっているのか、教わり方が下手な子が増えている気がします。若手の中でも、教わり方がうまい子を採用する傾向がありますね。
竣士:僕は、言われてもあまり気にならなくて、メンタル強いほうだと思ってたんですけど、ATSUTOSHIさんに「お前、いちばんメンタル弱いよ」って言われて…。
ATSUTOSHI:竣士は、上手くいきすぎているんだよ、人生が(笑)。
あとは、スタート地点を合わせられるのも若手採用のメリットです。例えば、4人一緒に入ってきて、よ~いドンでスタート。4人がライバル関係になるわけじゃないですか。例えば「竣士が現在これくらいの売り上げを上げています。君たちとは圧倒的に差がついちゃいました。負けちゃいけないんだよ。何をすれば竣士に勝てるんだろうか」とかいう話もできたりします。比較をさせることができるんですよね。売り上げがすべてではないけれど、じゃあ竣士よりできることは何か、何だったら勝てるのか? とライバル関係にある子たちに考えさせることができます。若い子をいっぺんに集めることは、教育としてやりやすいと思います。
竣士:SNOTに来て、同期3人と離れてしまいましたが、同期がつくるスタイルを見て、負けていられないなって思うことはあります。アシスタントのときだったら、仕事とられて悔しいみたいな。やっぱり同期の存在ってモチベーションアップの上でも大事だと思います。
自分が幸せだと思える道で成功できればいい
――代表として、サロンの未来をどう考えていますか?
ATSUTOSHI:スタッフが増えてきているので、渋谷に1店舗は出そうかと思っています。竣士が先に出せるのか、僕ら本店が先に出せるのか勝負です。
――今後、竣士さんに期待することは?
ATSUTOSHI:こうやってメディアが取材してくれているので、僕の任務は一旦終わりです。彼を有名にする、彼が成功する道をつくるまでが僕の任務なので。この後は、竣士自身が、もっとメディアが取材したいと思える人間にならなきゃいけないと思う。
美容師として、セミナーをたくさん開催して知名度を上げるのが幸せなのか、売り上げを上げてお給料をたくさんもらえるのが幸せなのか、自分が幸せだと思える道で成功できたらいいんじゃないかなと思います。僕の場合は、セミナーとかヘアショーとか技術がメインでここまできましたが、何が幸せなのか分からなくなるときがあるんですよ。三浦春馬さんのときにも感じましたが、成功しているように見えても、その人が幸せかっていうのはまた別のものだと思う。
だから、自分が幸せになれるように、『無理をしないで突き進むこと』がいちばん重要なんじゃないかな。やりたいことをやれる環境は僕が作るから、あきらめず、突き進んでほしい。
そうは言っても、そこまで期待はしてないんです。楽しみに見てるくらいの感じですね。期待されると、そこまでで留まっちゃいそうじゃないですか。じゃあ、次は代表だねってスケジュールが決まっていたとしても、それを期待にしちゃうと、代表になったらもうそこで終わりですよね。本人がやりたいことに向かって突き進むような性格にならない限りは、それより上には行けない。だったら目標とか決めずにがむしゃらにやったほうがいい。僕はこうなりたいとかもなく、がむしゃらにやってきました。目標がないとがんばれない人は目標を見つけたほうがいいかもしれないけど、好きなことをできるんだったら、ただただがむしゃらにやっていれば、上に行けるから。
竣士:学生のころから、ATSUTOSHIさんには本当にお世話になりっぱなしで、恩しかありません。それをどう返せるか。やっぱり売り上げで返すのがいちばん目に見える返し方だと思います。自分の力で売り上げを上げて、GARTEもSNOTも知名度を上げて、結果的にATSUTOSHIさんに恩返しできるようにがんばります。
ATSUTOSHIさんが考える「若手でも店長になれる条件3ヶ条」
入社3ヶ月の竣士さんを店長に抜擢したATSUTOSHIさんは、若手でも店長になれる条件を以下のように考えています。
1.技術面が優れている
2.言われたことが一回でできる
3.人を集める力がある
竣士さんが店長から代表に、もう一店舗目をオープンなど、GARTEの次なる展開に目が離せません。若手パワーの今後の動きに要注目です。
▽前編はこちら▽
業界が注目! 入社3ヶ月で店長になった竣士さんってどんな人? #1>>
撮影/古谷利幸(F-REXon)
取材・文/永瀬紀子