【美容師のカット技術】FILMS 田町.芝浦 榎本大樹さん流『骨格診断で似合わせるマッシュショート』#2

「ショートが得意です」とうたっているサロンや美容師は数多し。そんな中、FILMSが注目されているのは、高いカット技術はもとより、お客様一人一人により似合うスタイルを提供するために行っている「骨格診断」に秘密あり。

後編では、骨格診断を取り入れたスタイル作りの一連を、榎本大樹さんに教えていただきました。

榎本大樹さんが提案『骨格診断で似合わせるマッシュショート』

カット前は全体的に角が残るボーイッシュな質感。骨格診断により頭の形や生えグセなどを考慮しながら、丸みを作って女性らしい柔らかさのあるマッシュショートに。さらに求心的で幼な顔に見られがちな印象を、大人っぽい雰囲気へシフトさせた。

『骨格診断で似合わせるマッシュショート』の施術ポイント

1.バイアスで作るシルエット

バイアスでカットすることで、その人の骨格にフィットするような、よりなじみの良い仕上がりになる。

2.セニングは縦に入れて質感調整

横に入れるとラインがぼけにくいため、セニングは縦に入れながら細かい質感調整をしていく。アウトラインでキレイに切って、セニングで崩すような感覚。

3.骨格に対していのスライス・パネルにこだわる

サイド、バック、前髪の幅など、骨格を見極めながらスライスを取ることが大事。

BEFORE
トップにレイヤーが入っており、ややメンズっぽい質感。全体的に角が残っている。毛量は普通、毛質はやや細め、少しだけクセが出やすい。

1 骨格診断を行う(カウンセリング時)
頭を触り、手の感触で骨格を確認。後頭部の丸みやハチの張り具合、左右差がないかも見る。見た目だけでは分かりにくい、手で触ってみて初めて分かる骨格の特徴もある。
後ろから、生えグセや毛流れ、襟足の特徴、ボリュームの左右差などをチェック。
【このモデルさんの場合】
・つむじが右寄りのため、左側にボリュームが出やすい。
・襟足に角が残っている。
・襟足が少しハネやすい。
サイドは両側から確認。顔型、頭の形に加え、首とのバランス、もみあげの生えグセなども分かる。
【このモデルさんの場合】
・後頭部の丸み自体は小さめだが、やや絶壁。
・もみあげが後ろに流れがち。反動で毛先だけ前にきてしまう。
・頭頂部からフロントまでの距離が短く、トップに高さが出にくい。
正面から見た顔のパーツバランスから、「遠心タイプ」or「求心タイプ」をチェック。見た目の印象や、顔型に関連する悩みもここから分かってくる。
【このモデルさんの場合】
・顔のパーツが中心に集まる「求心タイプ」。
・目元から口元までの距離が短い。
・幼い印象、子供っぽい印象になりがち。

2 サイドをカット
骨格診断の後、シャンプーをしてウェットでスタート。濡れた状態だとより頭の形が出るので、ここでも骨格やクセの状況を見ておく。サイドはやや耳後ろで取り分け、さらに上下に分けブロッキング。骨格を触り、頭の丸みがどのあたりで切り変わるのかを見極めるのが大切。
サイドは耳たぶが少し出るくらいの長さでカット。顔周りの角を削り、なじみが良くなるとともに締まりも出る。
ブロッキングを外し、動きやすい部分を柔らかくコーミングしてから、指1本分リフトしてカット。切り上がり(右)を見ると、カットラインがなじみやすくなった。

3 襟足周りをカット
まずは襟足のライン設定。襟足の長さと、耳裏〜襟足のラインを同時に作っていく。コームでやや前にオーバーダイレクションをかけながら、オンザスキンでカットしていく。
後頭部の丸みを出したい部分を、斜めにスライスを取る。その斜めスライスに対し、やや縦寄りのスライスをさらに取って、前にダイレクションをかけながらカット。これでなじみが良くなるのと、前上がりのグラデーションがつけられる。

4 表面をカット、襟足を整える
表面は、つむじに逆らわないよう、落ちる位置で縦スライスで切っていく。
襟足は落ちる位置で、ノンテンションでカット。ぼんのくぼから下に締まりが欲しいので、グラデーションでつないでいく。

5 前髪をカット
前髪は、頭の丸みが出始める位置を確認し、三角ベースで取り分ける。
眉より少し上まで長さをカット。前髪のエンドラインとサイドの髪をつなげる。この時点ではベースだけ作っておき、ドライ後にまた調整する。

6 質感・量感調整
全体のボリュームを見ながら、重たい部分・軽い部分を整えていく。サイドは毛先2cmに縦でセニングカット。サイドは角にもセニングを入れる。
ミドルセクションも縦にセニングを入れる。表面部分は、落ちる位置で毛先から質感調整していく。
続いてトップセクション。縦に引き出し、縦にセニングを入れる。こうするとキレイな丸みが出やすくなる。
バックのミドルセクション。こちらも同じように縦にセニングを入れていく。
さらに一段上も同様に。左側はボリュームが出やすい傾向にあったため、レイヤーセニングをプラス。オンベースに引き出して、内側を抜いていくようなイメージで量感を取っていく。
手で触って量感チェック。左右の違いを見ながら最終調整を。
トップは質感をより出したいので、深めのチョップカットを加える。襟足は、セニングをやや深めに縦に入れるのがポイント。狙っている質感が出るまで、フリーハンドで入れていく。
最後は前髪。先にカットした時と同じように三角ベースで分け取り、深めのチョップカットで量感調整。その後、前髪の長さ幅の半分くらいの位置で分け、前髪が濃い部分・薄い部分を確認。
濃い部分は量感をオフ。サイドバングは深めのチョップカットで量感調整して終了。

カット後

スタイリング

ストレートアイロンを根元付近から毛先にかけて通し、少し丸みを出す。表面のみ一周ぐるっとかけ、前髪も同じようにする。
スタイリング剤は、N.のオイルを使用。手のひらになじませ、まずは後ろからつける。さらにもみあげ部分にもなじませる。
ショートの場合、スタイリング剤が均一についていないとムラが出やすいので、全体にしっかりなじませるのがポイント。
前髪は指を通す感じで。最後にオイルをワンプッシュ加え、全体を整えたら完成。

仕上がり

襟足とサイドをすっきりさせ、角が残っていた部分は丸みを作ってなじみ良く仕上げた。前髪はオン眉にカットし、肌が見える面積を少しだけ広めに。質感、印象ともにボーイッシュだったカット前から、大人っぽい女性らしい雰囲気にチェンジ。

ショートブームが定着しつつある今、どこで切ろう? 自分に似合うショートとは? を、お客様自身もより深く追求するように。骨格診断ありきのカットはそうしたこだわりにも対応でき、満足度の高い仕上がりを約束。FILMSのショート指名が絶えない理由はそんなところにありそうです。

▽前編はこちら▽
【美容師のカット技術】FILMS 田町.芝浦 榎本大樹さん流『骨格診断で似合わせるマッシュショート』#1>>

取材・文:青木麻理(tokiwa)
撮影:高嶋佳代
ヘア:榎本大樹(FILMS 田町.芝浦)
メイク:影山夏美(FILMS 田町.芝浦)
モデル:グダルジ サミラ

教えてくれたのはこの人!

FILMS 統括マネージャー 榎本大樹さん

茨城県出身。都内2店舗を経験後、FILMSへ。サロン独自の骨格診断を武器に、繊細なカット技術で最高の似合わせヘアを提供。特にショート、ボブのスタイルには定評があり、榎本さんのカットを求めて長年のリピーターも多い。現在は、統括マネージャーとして全店舗の統括・管理および、スタッフへの指導、教育などを行う。
Instagram:@eno_hair

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Salon Data

FILMS 田町.芝浦(フィルムス タマチ.シバウラ)

住所:東京都港区芝浦3-14-17 ホワイトビル1F/2F
TEL:03-6275-1556

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