「美容師らしくない」を大切に。むしろ美容師目線になったら終わり【JE SUIS HEUREUSE VILLE SHIHOさん】#1
絵本の世界のような可愛らしい姿で佇む完全個室のマンツーマンサロン「JE SUIS HEUREUSE VILLE」。そこで活動するSHIHOさんはサロン勤めやフリーランスなど様々な働き方を経験したのち、フリーランスが集まるクリエイティブチーム「JE SUIS HEUREUSE」に所属。「ハッピーに働きたい」という想いで歩んできたユニークな経歴は、フォロワー数10万人超えのInstagramにもつながっているのかもしれません。
前編では、まずSHIHOさんがどんな美容師人生を送ってきたのか、「女の子を100倍楽しむための豆知識」というコンセプトに込めた想いについてお話ししてくださいました。
教えてくれたのは…
JE SUIS HEUREUSE VILLE SHIHOさん
新卒入社したサロンをわずか2週間で辞め、一ヶ月ほどヘアメイクの仕事をこなし、地元サロンに再就職。その後、都内サロンに勤めたのち、フリーランスデビュー。約1年間のフリーランス経験を経て、クリエイティブチーム「JE SUIS HEUREUSE」に所属。フリーランスという形態はそのままに、2021年4月に「JE SUIS HEUREUSE VILLE」を立ち上げる。現在、Instagramのフォロワー数は10万人を超える。
SHIHOさんInstagram
様々な働き方をしたからこそJE SUIS HEUREUSEの魅力に気づけた
――専門学校卒業後、どのような道を歩んできたのでしょうか?
新卒で大手サロンに入社したのですが、2週間でクビに。都内で働く自信がなくなり、地元の神奈川に戻って地域密着型のサロンで働いていました。半年後、都内の友達に「地元で静かに美容師をやってるのはもったいない。都内に出てきなよ」と声をかけてもらい、その友達がオープンしたサロンに呼んでもらえたんです。そこで1年ほど勤めたあと、フリーランスに転向しました。
――紆余曲折だったんですね。JE SUIS HEUREUSEにはどういった経緯で加入したのですか?
大手サロンをクビになったあと、実は1ヶ月間ほど、ヘアセットでフリーランスもどきをしていたことがあるんです。そこでJE SUIS HEUREUSEのメンバーと現場が一緒になることがあって。
数年後、またJE SUIS HEUREUSEのメンバーとご飯に行く機会があって、「SHIHOちゃんには僕らの環境の方が合っているだろうから、来てみる?」と声をかけてもらったんです。
――JE SUIS HEUREUSEはどんなチームなんですか?
今のところは美容師とヘアメイクがメインではありますが、特に職種に縛りはありません。自分の好きなことを突き詰めるチームですね。
新卒で「最初からフリーランスとして働きたい」と、JE SUIS HEUREUSEのマンツーマンサロンでスタートする子もいます。
私も早くにデビューしたこともあり、今も学んでいる最中です。3人の師匠にマンツーマンで指導していただいていますし、結構自分から「教えてください!」とぐいぐい行ってますね(笑)。
講習は毎月、レッスンは毎週ありますが、強制ではなく「自分にとって必要な技術を学びにおいで」というスタンスです。自分が欲しているものだけを吸収できる環境なんです。
――無駄なく、効率的に学べるシステムなんですね。
フリーランスと会社員の良いとこ取りという感じですね。私は吸収したいタイミングじゃないと吸収できないタイプで、「カット練習するから来てください」と言われても「え〜今⁉︎」ってなっちゃう(笑)。ちょっとわがままな部分もあるんですけど、そこを理解してくれるチームなんです。
――SHIHOさんに合っていたのですね。
私の場合は、フリーランスを一年経験したことで、自分一人ではどうにもできないことがたくさんあるのだと気づき、だからこそJE SUIS HEUREUSEというチームの魅力に気づけたんです。
2021年4月に「JE SUIS HEUREUSE VILLE」を立ち上げさせていただきました。私が大事にしている自分の世界観や、お客様との空気感を崩されてしまう人とは働けないタイプなので、より自分に合った働き方を見つけたと思っています。
美容が好きな女の子として発信したかった
――人気店となり、現在は新規予約が困難な状況のようですね。
実は今まで2年間ほど新規予約をストップしていたんです。というのも、顧客様が「イメチェンしたい!」と思ったタイミングで予約しやすい環境にしたかったから。新規予約を入れると2〜3週間先まですぐに埋まってしまいますよね。私は一週間前でも駆け込み予約ができる状態にしておきたくて、新規予約をストップさせていただいたんです。顧客様ファーストにしたいがための決断です。
ありがたいことに顧客様のご予約ですぐにいっぱいになるので、お休みはなかなか取れない状況なのですが、「忙しい」「辛い」という感覚はほぼゼロ。100%楽しいです!
――「楽しい」という気持ちがInstagramの投稿からも伝わってきます。ところで、JE SUIS HEUREUSEに加入する前からInstagramで集客をされていたのですか?
していましたね。友達が開いたサロンに勤めていたとき、1年間Instagramを頑張って、なんとかフォロワー数を2万人まで増やすことができました。そのくらいになると私にやってもらいたいというお客様が来店してくださるようになったんです。
フリーランスとしてやっていけると決意できたのは、Instagramで集客ができるという自信を持てたからでもあります。
――以前はどんな投稿を?
毎日の巻き方ですね。おそらく、美容師自身がモデルになり、セルフで撮影する巻き動画の先駆けになれたと思います。
「美容師がモデルさんの髪の毛を巻く」という動画が主流だった中、私は自分の髪の毛で巻く「1分スタイリング動画」をはじめたんです。そのスタイルが珍しかったのか、一気にバズりました。
――ご自分の髪の毛を巻くことにこだわったのはなぜですか?
毎日動画を投稿すると決めたはいいけれど、モデルさんを毎日呼ぶのは無理だなと思ったんです。だったら自分で良いじゃんって。自分が早起きさえすれば動画1本を投稿できる。謝礼もかからないし、手っ取り早いなと。別に顔出しをしたかったわけではないんです(笑)。
――素人さんにとってもその方が分かりやすいですよね。スタンリング動画を軸にすることにしたのでしょうか?
そうですね。「わかりやすいアレンジ」という部分ではとにかく第一線にいたいと思って。
良い意味で「美容師っぽくない」を大事にしていて、むしろ美容師目線で発信したら終わりだなと思っています。あくまで私がやりたかったのは「美容が好きな女の子」としての発信であって、「美容師が教える」という投稿にはしたくなかったんです。
小学生でもわかる表現で、小学生でもわかる構成に。スタイリング剤を紹介するときも美容師としての説明にならないように気をつけてきました。
――「女の子を100倍楽しむための豆知識」というコンセプトを掲げていますが、そこに込められた想いとは?
私、高校生のときから毎日髪型を変えなきゃ気が済まないような子だったんです。容姿のコンプレックスを少しでもマシにしたかったからでもあるのですが、髪型を変えるだけでテンションが全然違ったんです。朝、髪型がキマると、学校に行くまでも気分が上がったし、一日中ご機嫌で過ごせる。それを仕事中にふと思い出したんです。
「美容室に行かないとイメチェンできない」と思っている人に向けて「おうちでもイメチェンを楽しめるんだよ」ということを伝えたかったんです。かれこれ3年ほどこのコンセプトでやってきました。
美容を楽しんでもらえる投稿にする秘訣
1.自分が一番ハッピーになれる働き方をする
2.「美容が好きな女の子」として発信をする
3.小学生でもわかる表現・構成をする
純粋に「みんなに美容を楽しんでほしい」という気持ちだけが溢れ出ていたSHIHOさん。見映えに気を使ったり、お洒落に見せるというインスタグラマーらしさは感じられませんでした。後編では、SHIHOさんのInstagramにかける想いをさらに深掘りするとともに、女の子たちに共感してもらえるヒントを探ります。
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三