インスタグラマーに見られるのは嫌。可愛くなりたい!と願う女の子たちと同じ目線に立ち続けたい【JE SUIS HEUREUSE VILLE SHIHOさん】#2
完全個室のマンツーマンサロン「JE SUIS HEUREUSE VILLE」で活動するSHIHOさんは、「自分の世界観や、お客様との空気感が崩されるような人とは働けない」という理由から現在のスタイルを選んだのだそう。ヘアアレンジが大好きというSHIHOさんのInstagramは「ヘアスタイルをおうちで楽しむ豆知識」が満載で、フォロワー数10万人を超えるほど大人気です。
後編では、どんな人に向けて発信をしているのか、実際にどんなお客様が来店しているのかなどについてお話しいただきます。この取材を通して、SHIHOさんご自身が美容師を楽しめているからこその結果なのだということがわかりました。
教えてくれたのは…
JE SUIS HEUREUSE VILLE SHIHOさん
新卒入社したサロンをわずか2週間で辞め、一ヶ月ほどヘアメイクの仕事をこなし、地元サロンに再就職。その後、都内サロンに勤めたのち、フリーランスデビュー。約1年間のフリーランス経験を経て、クリエイティブチーム「JE SUIS HEUREUSE」に所属。フリーランスという形態はそのままに、2021年4月に「JE SUIS HEUREUSE VILLE」を立ち上げる。現在、Instagramのフォロワー数は10万人を超える。
SHIHOさんInstagram
「髪を綺麗にしたい」が第一目的ではないお客様が集まってくる
――現在はあまり集客目的としてInstagramを活用しているわけではないのでしょうか?
集客目的でやっているわけではないのですが、Instagramで「普段のまんまの私」を見せているので、お客様に私の人柄がしっかり伝わっているんです。だから、スタイリング動画を見た人が「この人にだったら任せても良いかも」と思って来店してくれるみたいです。意図せず、今の発信方法で集客ができていますね。
――やっぱり「お任せで」というお客様が多いのでしょうか?
そうですね。スタイリング動画を得意としているだけに、私自身すごくイメチェンをするんですね。お客様からすると「これだけよくイメチェンをしている美容師さんだったら、お任せしても良い感じに仕上げてくれるだろう」「おうちでのスタイリング方法をたくさん知っているんだから、カットもめちゃくちゃなものにはしないだろう」と思えるみたいです。
Instagramで全部説明ができているから、安心して「お任せ」と言ってくれるのかなと。
――SHIHOさんのもとに通うお客様は、やはりSHIHOさんに似た感じの人が集まってきますか?
考え方が似ているという人は多いかもしれませんね。同じ人生観を持っているというか。私は単なる「仕事」として美容師をしているわけではありません。それはお客様も同じで、髪のことが第一じゃないんですよね。髪を綺麗にできれば良いというより、ここでの空間を楽しみたいと思って来てくれているんです。
接客スタイルにも型がありません。普通なら、来店したら「今日はどうしますか?」ではじまると思うのですが、私の場合はお喋りを楽しんでから「そういえば髪の毛どうする?」という感じ。何なら髪の毛の話なんてほぼしていないですね(笑)。
「今日はどうしますか?」ときちんとカウンセリングをしてからはじめるというスタイルは自分には向いていないかも。今流行りのカウンセリング動画を私が出してもあまりバズらないと思います(笑)。
――「前髪が短くても分けられる裏技」「取れにくい毛先の巻き方」など、気の利いた豆知識ネタばかりで、「そういうテクをずっと知りたかった!」という声も実際に多いかと思います。いつもどんな風にネタを考えているのですか?
ネタを探そうと思って探しているわけではなく、例えば、朝スタイリングするときに「伸びかけの前髪が気になる…あ、これをネタにしよう!」という感じです。私の髪型が今、肩前後の長さなんですが、この長さって意外に扱いにくいんですよ。じゃあこの長さを楽しむためには?という疑問を起点に、ここ最近の投稿ネタを考えているんです。投稿は自分の生活がベースですね。普段の生活の中でふと思ったことを忘れないようにして過ごしています。
「本当は可愛くなりたい」という子の背中を押してあげたい
――SHHOさんの普段の姿を見て憧れる人も多いはず。もともとインスタグラマーを目指していた部分もあったのでしょうか?
全然ないですね。むしろインスタグラマーと言われるのは絶対に嫌なんです。どちらかというとインスタグラマーに見られないように意識してきました。
インスタグラマーというと、見上げる存在というか、「キラキラした生活をしている人」というイメージを持たれがちですよね。でも、私は全くそういう人ではないので、お願いだから見上げるのはやめて!って感じ(笑)。フォロワーさんやお客様とはなるべく同じ目線で立っていたいんです。
――どちらかというと、美容慣れしている人よりも、少し不器用な人向けの投稿なのでしょうか?
そうなんです。「本当はもっと可愛くなりたいけど、恥ずかしくて誰にも聞けない…」と思っている人って実は多いと思うんです。「この髪型で可愛くなれます?」「写真撮るときどうやったら盛れます?」なんてなかなか人に言えないじゃないですか(笑)。
だから、「私の投稿を見て、さりげなくテクニックを身につけてね」という感じにしたくて。写真を撮るとき、盛れる撮り方が自然にできる、みたいな。
モットーは不器用さんたちに寄り添う投稿。「私を見て!」ではなく「背中を押す」というスタンスです。文章や構成を考えるときもいつもそのスタンスを心がけています。
――投稿でたまにズボラな一面も見られますよね。
はい、ズボラです(笑)。それを出すことによって共感してもらえるんですよ。「あ、良かった。SHIHOさんって人間なんだ」って。
美容の楽しさを伝えるためにも、自分自身が毎日楽しく過ごせるように
――SHIHOさんの投稿を見て「女の子って楽しい!」と改めて気づかされる人も多いのでしょうね。フォロワー数10万人超えという数字にもそれが現れていると思います。
SNSが発達したことで、周りと比べて「誰かより劣っている、可愛くない」と落ち込んでいる人が多いなと感じます。
私は、女の子たちが誰かと比べるのではなく、自分軸で楽しめるようにという想いで伝えてきました。いつも根底にあるのは「自分自身がハッピーになるためにはどうしたら良いんだろう?」という気持ち。サロンワークでも、お客様が本当に望んでいるものやお客様自身がより輝く方法を考えながら接しています。
――競争や比較からは楽しさは生まれないのですね。最後に、SHIHOさん流の美容師を楽しむ秘訣を教えてください。
マンツーマンサロンはお客様との距離感も近いですし、向き合う時間も長い。その分、私の感情や気分がお客様に伝わりやすいと思うんです。私自身が気分が落ちている状態だと、お客様も絶対に楽しくありません。私が毎日楽しくなかったら、美容師としてのアイディアも閃かないし、お客様へ提案する知識も減ります。
毎日を楽しむためにも、そして美容師という職業を楽しむためにも「美容師とはこうあるべきだ」という固定概念より、自分の気持ちを優先していきたいですね。その結果どうなるかはわからないけど、一人の女性として全国の女の子の味方でい続けられたらそれで良いんです。
フォロワー数10万人越えの理由とは?
1.普段の生活をベースに、ありのままの自分を見せている
2.インスタグラマーとしてではなく、フォロワーやお客様と同じ目線に立っている
3.自分軸で楽しむことを発信している
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄