さらなる成長を目指し、一目置く同世代美容師とともに新たなステージへ【美容師 細田真吾さん】#2
COA GINZAには、インフルエンサー美容師が集結。SNSの総フォロワー数は100万人を超え、幅広い世代の女性や美容業界から注目されています。そんなサロンの代表のひとりであり、プレーヤーでもある細田真吾さんは、自身の売上記録を今も更新中だといいます。
後編では、すでに他店で人気や実績を確立していた細田さんがCOAに参加することになったいきさつ、SNS発信に対する考えの変化、集客や売上にまつわる信念についてお話いただきました。
【お話を伺ったのは…】
COA GINZA 代表 細田真吾さん
資生堂美容技術専門学校を卒業後、都内有名店に入社。25歳でスタイリストデビューし、ヘアカタログやファッション誌のヘア企画の撮影などで指名を受ける人気美容師に。2021年10月より、COA GINZAの代表に就任。
自分をもっと高めるため、コロナ禍を機にステージチェンジ
――COA GINZAに参加することになった経緯を教えてください。
青木(代表の青木大地さん)と小西(代表の小西恭平さん)は、僕と同い年なんです。同世代の美容師の会のような場で、27歳くらいのときに知り合いました。たまに食事をする仲になり、ふたりがいずれ一緒にサロンをやりたいと思っているという話も聞いていました。
COAへの参加を考えた直接のきっかけは、コロナ禍です。大変な状況下でも多くのお客様が来てくださり、何か還元したいと思うようになりました。そのためにはもっとうまくならないといけないし、もっと勉強しないといけない。
そのとき、自分よりももっとお客様の信頼を得て、売上を上げている青木や小西と一緒に仕事をすることで、自分を高めていきたいと思ったんです。
コロナ禍のなかでも一緒に頑張ってくれたアシスタントも一緒に高めたい。自分も成長できて、下の子も成長できる環境をつくりたいと思いました。
――コロナ禍は、多くの人にとって何らかの転機になった気がします。
働き方を変えた美容師も多かったと思います。フリーランスになったり、実家近くのサロンに移ったり。プライベートも大切にしながら仕事をしたいとか、親を安心させたいとか、さまざまな考えがあったでしょう。それはそれで、いい形だと思います。でも、僕としては物足りなかった。自分ができるところまで頑張りたいという気持ちが強かったですね。
――ステージチェンジで、COA GINZAの代表になられたのですね。
実際は青木と小西が代表取締役、僕と髙橋(髙橋英昇さん)が役員という立場です。同世代なので本当に仲がよくて、序列をつけるほうが面倒だから一列にしてしまおうということで4人とも「代表」としています。
現在は、会社のことを一緒に考える幹部役職がふたり増えて、6人体制に。とてもチームワークがいいメンバーなんですよ。
――COA GINZAにはインフルエンサー美容師が集結していますが、そのなかに身を置いて感じたことは?
それぞれが自分のブランディングを考え、お客様に向けて発信しているのを見て、とても勉強になりました。ちょっとした文章の書き方、写真や動画の見せ方、伝え方を参考にさせてもらうこともあります。
社内に対するSNSの使い方でも、なるほどと思ったことが。例えばスケジュールに「ミーティング」と入れるだけなく、「ミーティングしています」とインスタのストーリーズに上げる。そのほうが、会社の上層部が何をしているかとか、社内で何かが動いているとか、若いスタッフにもわかりやすいんです。
仲間から学びを得て、自身の売上記録を更新中
――売上に関しては、どのような変化がありましたか。
青木が開発に携わった「COA酸熱トリートメント」というメニューがあるのですが、髪が固くならずニオイもきつくなく、時間も従来よりかからないんです。施術を受けたお客様が「また次もやりたい」と言ってくださったり、今までカットのみだった方が、毎月カット&トリートメントで来店されたり。僕の提案するヘアデザインと、サロンとして提供するヘアケア、その両方に価値を感じてくださる方が増えて、自然と客単価が上がりました。
――ご自身の進化や成長を感じる部分はありますか。
今は同じ時間枠で4人のお客様を同時進行なのですが、いい意味で、ひとりあたりにかける時間が少なくなりました。
もともとカウンセリングにしっかり時間をかけるのですが、事前に必ず聞くべきこととカット中に聞けることの仕分けができて、効率がよくなっています。また、小西のカット技術を学ばせてもらったことでカットスピードが上がり、無駄な時間の短縮につながったというのも大きい。より多くのお客様を幸せにできるようになったと感じています。
青木や小西をはじめ、すごいなと思っていた美容師の技や知恵を自分なりに取り入れることで、パワーアップしていると思います。
――お客様をつかんで売上につなげるには、何が重要だと考えていますか。
お客様の「信頼」。この美容師にならまかせられるという信頼です。信頼を得るために大切なのが「カウンセリング」で、それに基づく「提案」があり、納得のいく「仕上がり」があり、その先にリピートがあるのだと思います。
特に重要なステップがカウンセリングです。お客様が自宅でできること、どんなイメージになりたいか、悩みをどう改善したいかをしっかり聞きます。そして、できることをすべて提案していく。インスタには「柔らかな雰囲気で扱いやすいヘアスタイルをご提案させていただきます」と書いてあります。その言葉通り、僕には提案する責任があるんです。
お客様に「次はカットしなくていい」って言うこともあるんですよ。今回切って1ヶ月半後もそんなに崩れないから、前髪カットとカラーだけで大丈夫とか。お金をいただくのは、本当に必要なことだけ。そうすると、何かを提案したときに「本当に必要なんだな」と感じてもらえます。
SNS時代だからこそ、本来の目的を見失わないように
――SNSでのアピールがあたりまえになった今、気をつけていることはありますか。
情報があふれているので、受け取り手はどれが本当なのかわかりにくいし、どれが自分に向いている内容なのか迷ってしまいますよね。だから、事細かくお客様像を思い描いて発信していかないと、誰にも届かないと思います。
「誰に発信するか」「何を届けるか」というのは、社内の勉強会でもよくする話です。例えばマッチングアプリだったら、「好きな食べ物が一緒」くらいでは会おうとは思わない。「好きな食べ物が一緒で、職場も近くて、撮っている写真が素敵で、文章に好感が持てる」…そんな風にマッチング度合いがどんどん高くならないとダメですよね。
サロンとお客様、美容師とお客様も同じで、マッチング度合いが低ければ来店スイッチは入らない。そこまで考えて発信しないと、今は集客につながらないだろうと思います。
――最後に、先輩美容師として若い世代へアドバイスをお願いします。
SNSを駆使するなかで、いわゆる「バズる」ことが目的になってしまっている人も少なくありません。バズるのが目的ではなく、SNSはあくまでお客様に知ってもらうきっかけづくりとしての手段。
自分が経験したからこそ思うのですが、バズってお客様が来店しても、お客様の「なりたい」を叶えられなくて、失客して…ということになったら、売上にも成長にもつながらない。フォロワーは多いのにお客様は全然いないということも起こり得る。僕たち美容師の本来の目的は、ヘアスタイルを通じてお客様を幸せにすること。そこがぶれないようにするのが大切だと思います。
細田さん流!リピート率や売上を伸ばす秘訣
1.お客様の信頼を得る
2.お客様の幸せという真の目的を忘れない
3.自分を成長させる環境をつくる
取材・文/井上菜々子
撮影/喜多二三雄