好きなことを仕事にしたからこそ、楽しく続けられて進化もできる【CasaRela hairmake salon オーナー SEIKAさん】#2
ヘアやメイクに対して研究熱心で、忙しくも楽しそうに働く美容師の姿。それが、SEIKAさんがこの道に入ったきっかけでした。自身もトップスタイリストとして活躍し、今は「CasaRela hairmake salon(カサリラ ヘアメイクサロン)」を立ち上げて一人ひとりのお客様とじっくり向き合いながらサロンワークをしています。
後編では、現在のSEIKAさんの働き方や、喜びとやりがいを感じているブライダルヘアメイクのこと、サロンを長く続けていきたいという思いを語っていただきました。
お話を伺ったのは…
CasaRela hairmake salon オーナー SEIKAさん
サロンモデルを経験後、レセプションとして「hairsalon de Forever」に入社。働きながら3年間の通信教育を受けて美容師免許を取得し、アシスタント時代から雑誌の撮影やヘアショーなどに参加。24歳の時にスタイリストデビューを果たし、ヘアコンテストでの受賞やプロダクトの開発など多岐に渡り活躍。2024年2月にマンツーマンのプライベートサロン「CasaRela hairmake salon(カサリラ へアメイクサロン)」をオープン。現在はサロンワークの傍ら、ブライダルヘアメイクも行なっている。
一人美容室だからこそ養われたスキルもたくさん
――今はお一人でサロンワークをされていますが、それゆえの大変さや工夫があれば教えてください。
マンツーマンのプライベートサロンなので、やはり1日に対応できる人数は限られてしまいます。基本的にはなるべく予約を詰めて入れて、カラーの放置時間中に次の工程の準備を整えたり、合間に掃除をして常にきれいに保つようにしたり、時間を効率よく使うように意識しています。
次のお客様を待たせるわけにはいかないので、時間配分や仕事のスピード感は大切ですね。薬剤選定もパッと一発で決める…とか。
――時間の使い方が上手くなるし、判断力や決断力も上がりそうですね。
そうなんです。そういう点では、独立して一人美容室という形態になってから養われたものがたくさんあると思います。
シャンプーやトリートメントなど、今まではアシスタントに頼っていた部分も大きいなと実感しました。なので、もう一度シャンプーやヘッドスパを習い直したんですよ。講習をちゃんと受けて、技術や知識をアップデートしました。
――1日に何人くらい予約を受けているんですか。
どんなメニューをするかによってバラつきがあります。髪質改善ストレートやカラー、トリートメントなどを組み合わせたロングメニューのお客様が続くと合計3人くらいですが、多い日は8人くらいになることも。そんな日はなかなかハードです。
――ハードな日が続く時の、心と体の保ち方はありますか。
しっかり食べることですね!今日は大変な日だと思ったら、朝からカレーライスを食べたり(笑)。営業後も、いったんきちんと食事をとってから、経理やデータ管理などの締め作業をします。心身のリセットになるものが、私にとっては「食」なんです。
前サロンの時は、1日に15人とか20人とか受けていたのですが、それがもうすごいなって思います。今ではその半分の人数で疲れちゃうのに。
――今は最初から最後までお一人でやっていますから、人数では計れないですよ。
そうですね。緊張感というか、気持ちの引き締まり方が全然違うなと思います。ただ、すでに関係性ができているお客様だと、本当に私の家に遊びに来てくださっているという感覚でおもてなしできるという面もあります。
――前サロンから引き続きいらしてくださっている方以外の集客はどのように?
新規の方はやはり集客サイト経由が多いのですが、実は「通りすがりに店を見かけて」というきっかけの方がたくさんいらっしゃいます。このあたりは美容室が少ないので興味を持ってくださって、ネットで調べて予約という流れが多いようです。ママ友同士の紹介というのもよくありますね。
独立後にブライダルヘアメイクもスタート
――インスタグラムで、ブライダルヘアメイクの写真を拝見しました。いつ頃から始めたのですか。
今年(2024年)の5月からです。結婚する友人からヘアメイクを依頼されたのがきっかけでした。その時に一緒に仕事をしたカメラマンさんがその後に仕事を紹介してくださったり、私がSNSに投稿した写真を見た別の友人からも頼まれたり。そこからまた別のカメラマンさんとのつながりもできて…という感じです。
――サロンや雑誌の撮影で行なっていたヘアメイクと、ブライダルで違いを感じていることはありますか。
華やかさや可愛らしさを感じさせながら、実はスプレーでガッチリ固めているというところでしょうか。結婚式の前撮り(結婚式前にさまざまなシチュエーションでウェディング写真を撮影すること)はロケが大半なので、ヘアが崩れないことが大切なんです。
――ブライダルヘアメイクをしていて嬉しいことや魅力に感じることは?
結婚をされるお二人はすごくキラキラしていて、これから楽しいことが始まるという幸福感に溢れているので、近くで見ていると私まで心がほっこりと温かくなります。そして、撮った写真を見たお二人がすごく感動してくださるととても嬉しいですね。一生残るものですし、結婚式の招待状やウェルカムスペース、ムービーなどにも使われるので、それをお手伝いできるというのも嬉しいです。
――どれくらいのペースでやっているんですか。
月に2回くらいのペースです。朝早くからヘアメイクをして、いろいろな場所に移動して撮影して、夜景で撮ることもあるので一日がかりのお仕事ですね。
これからもブライダルヘアメイクを続けていきたいと思っていますが、あくまでサロンのお客様が第一なので、サロンワークに影響しない程度で調整しています。なので基本的には定休日の火曜か水曜にブライダルをお引き受けして、どうしても土日を希望される場合は要相談というスタンスです。
仕事=好きなこと。だから「働く」って楽しい!
――今後の夢や目標を教えてください。
サロンを作ったからには、ずっと続けていきたいと思っています。今のところスタッフの増員や店舗展開はまったく考えていなくて、お客様が「ずっと通いたい」と言ってくださるサロンであり続けることが目標です。自分の体調に気をつけて、ゆったりペースでも長くやっていきたいですね。
――すでにゆったりペースではなさそうですが…。
そうなんですよね(笑)。ここを始める時はゆったりやろうと決めたのに、なんだかんだで忙しくなっちゃって。これはもう性格なので仕方ないと、母にも言われました。楽しそうだなって興味が湧いたら、なんでも挑戦してみたくなるんです。人にやらされているわけではないから、絶対楽しめると思いますし。
――SEIKAさんにとって、「働く」ということは?
私の中ではもう「働いている」という概念がなくて、それよりも好きなことをしているという感覚です。だから仕事が辛いと思ったことはあまりなくて、「働くこと=楽しいこと」です。
正直に言うと、スタイリストデビューしたての頃は苦戦も挫折もして、「楽しいはずなのに楽しくない」と毎日が不完全燃焼な時期もありました。先輩たちの教えや仲間のおかげでそれを乗り越えてからは、ずっと楽しさを感じています。
――自分らしい働き方を実現して、新しい挑戦もあって、充実感が伝わります。そんな風に道を切り開いていける秘訣は何でしょうか。
失敗を認めること、続けること、進化を求めることの3つです。
失敗したことや自分に非があったことは、素直に認めてリカバーします。若い時は先輩などに指摘されたことをなかなか認められなかった時期がありましたが、少しずつ経験を積むと逆に自分の未熟さに気づけるようになり、だんだん素直になれたように思います。
お客様に対しても同じです。例えばお客様が髪型を気に入ってくださったとしても、もしくはお客様には見えないところだとしても、もし何か自分的に引っ掛かる部分があればごまかさず、少し時間をいただいてやり直したりとか。
――2つ目の「続けること」ですが、続けるために必要なことは何でしょう。
私の場合は、あまり頭でっかちになったり思い詰めたりしないことが大事かなと。ダメダメな日もあるので、そんな時はひとつのことに固執せずいったん頭を切り替えて、自分のメンタルを調整することで長続きさせるのがいいのかなと思います。
――なるほど。3つ目の「進化を求める」というのは?
自分自身を進化させたいですし、自分を取り巻く環境もよりよいものにしていきたいです。「現状維持は衰退のもと」という言葉を聞いたことがありますが、「今のままでいいや」とか「これでいいか」というマインドはよくないなと思っています。常にいろいろなことに目を向けて、やりたいことや新しいことを見つければ、そこからまた可能性や未来が広がっていくはず。
SEIKAさんの成功の秘訣
1.素直な気持ちで失敗を認めること
2.思い詰めすぎずに続けること
3.自分や環境に対して進化を求めること
撮影/高嶋佳代
取材・文/井上菜々子