仕事も家庭もどちらも大事。「ママは仕事が好き」だと分かっているから、迷いなく働ける!【六本木美容室 白金店 ゼネラルディレクター 林 真理子さん】#2
仕事と育児をいかに両立させるのかを、前編に続いて六本木美容室 白金店にゼネラルディレクターとして勤務する林 真理子さんに伺います。
前編では8歳年下のパートナーと39歳で結婚し、41歳で出産したいきさつ、産休・育休を取ることの不安をいかに乗り越えたのかなどをお届けしました。後編では復職してからのお客さまの反応や、子育ての難しさなどについてご紹介します。
お話を伺ったのは…
六本木美容室 白金店 ゼネラルディレクター
林 真理子さん
日本美容専門学校を卒業後、平成4年4月に六本木美容室入社。白金店、西麻布店でアシスタント修行を積んだ後、創業者の小松比奈恵さんのアシスタントを務める。22歳で白金店でスタイリストデビューし、30歳で白金店店長、36歳でゼネラルディレクターに就任する。
朝ご飯を食べる間とベッドに入るひとときは娘と一緒に過ごせる大切な時間
――お子さんとの時間は、どのタイミングでつくっていますか?
朝、娘が朝食を摂っている間と夕食が終わって眠るまでの時間ですね。学校でどんなことがあったのか、お友だちとどんなことを話しているのかなど、私はほとんど聞き役に徹しておしゃべりを楽しんでいます。
――小学校に上がると帰宅時間が早くなるので、時間のやりくりが大変ではないですか?
保育園に通っていたときは、私が迎えに行くまで預かってもらえますが、小学校に上がるとそうはいきません。学校の授業が終わったら、学童保育に通わせていました。でも、学童に通っているのは小学校の低学年が多いんですよね。嫌がって通わなくなりました。
――学童の代わりに何を?
英会話の教室と学習塾、それからバレエを習わせています。学校から帰ってくると家には誰もいませんが、習い事から帰ってくると私が帰宅して食事の支度をしていて、2人で一緒に食事をします。
――疲れているときや18時までに仕事が終わらないときはどうしていますか?
お惣菜やお弁当を買って食べたり、娘の帰りを待って外食したりします。タイミングが合えば、サロンのスタッフも合流することがあるんですよ。(創業者の)小松を含め、サロンのスタッフとは家族ぐるみで仲がいいので、一緒に食事できるのを娘も喜んでいます。
私が出勤してサロンにいるとき、なぜか主人と娘が小松の家へ遊びに出かけていくこともあるんですよ。
――パートナーとの時間はどのタイミングでつくっていますか?
私がお休みの日に主人の仕事がなければ、一緒にランチしたり、買い物に行ったりします。私の休日が火曜日なので、娘とも主人ともなかなかゆっくり過ごす時間がありません。夏休みや年末年始に長期休暇が取れたときは旅行へ行って、なるべく思い出を増やすようにしています。
「どんなときもママの味方」と言ってくれるから頑張れる!
――産休・育休を取るとお客さまが減ってしまう不安があるとおっしゃっていました。復職していかがでしたか?
復職した直後は、半分くらい戻ってきてくださいました。「この方は絶対に大丈夫」と思っていた方が戻ってこなかったり、毎月サロンへいらしていたのに私が復職するまでずっと待っていていてくださったり、いろいろなケースがありました。
休んでいる間、私が紹介したスタイリストで満足してくださっているのか心配していましたが、大丈夫だったようです。
――復職なさっても、時短勤務なので完全復帰ではありません。葛藤はありますか?
お客さまにご不便をおかけすることが心苦しいです。申し訳ない気持ちでいっぱいですね。
――お子さんとの時間も限られてしまいますよね。
娘と一緒に過ごしたくても、仕事があって休めないのが辛いですね。急に熱が出たときも仕事があれば対応できません。そんなときは主人が休んでくれるので助かりました。
小学校に上がって娘のお休みが土曜と日曜になると、私が休めないんですよね。そんなときも主人に任せています。子どもたちの保護者が開くパパ会やママ会というのがあって、ほとんど土日に開催されるんです。娘は行きたがっているんですが、ガマンしてもらっています。
――お子さんが生まれる前と後とで、仕事観は変わりましたか?
変わっていません。仕事はとても大事。家庭も大事。どちらも私に欠かせないものなので、「どちらか一方」ではなく、両方とも大切にしています。
――家庭と仕事の両立で、ストレスが溜まることがありませんか?
家庭のことでストレスはそんなに感じません。仕事で満足のいく技術やサービスを提供できなかったときには落ち込みます。そんなときは家族やスタッフたちと食事をしながらおしゃべりして、発散するのがいちばん。仕事の後にみんなで外食することもあれば、家に招いてみんなで食事することもあるんですよ。
最近は娘が仕事のグチを聞いてくれるようになりました(笑)。「仕事をしているママが好き」って言われると、どんなに辛いことがあっても「がんばろう!」って気持ちになりますよね。
――パートナーとはどんな家庭、夫婦でありたいと思っていますか?
主人は家事が苦手で、私はIT系が苦手。お互いの弱点をフォローし合って、娘が成人して独立して夫婦2人だけになってもずっと仲よくしていたいですね。私個人では、いちばんに主人や娘のことを考えられる家族でありたいと思っています。
――お子さんをどんな風に育てたいですか?
私も主人も自分の好きなことを仕事にしています。娘にもやりたいことを見つけて、それを仕事にして欲しいです。
――将来のワーキングママとパパにアドバイスをお願いします。
どんなに疲れていても、どんなにショックなことがあっても、家族の励ましがあれば力がわいてくるものです。家族と一緒に過ごしていると、毎日のように幸せが感じられる瞬間があります。この幸せがあるから仕事にも生きがいが感じられるんだと思います。仕事と家庭の両立は大変な分、幸せは倍ありますよ。
林さん流! 仕事と家庭の両立でストレスを溜めない3つの工夫
1.サロンのスタッフと家族ぐるみで付き合って状況を理解し合う
2.家事も育児も1人で抱え込まず、パートナーと協力し合う
3.働く姿を子どもに見せて、働くことへの理解を深める
仕事も家庭もどちらも大切にしている林さん。サロンのスタッフたちと家族ぐるみで食事をしたり、遊びに行ったりしているとか。お互いの事情をよく分かっているからこそ、仕事でも家庭でも何か問題が起こったときは、すぐ対処できるのでしょう。お子さんから「仕事をしているママが好き」と言われるのも、イキイキと働く姿をしっかり見せているから。お子さんの応援があれば、どんなに辛いことでも乗り越えられること間違いありません。
撮影/森 浩司