接客を上手にこなしたいというお悩みの方へ朗報！接客に必要なコミュニケーション術を公開
おシゴトをしていると避けられないさまざまな試練。新人には新人の、トップにはトップの困難があるかと思います。そこで「迷える美容業界相談室」と題して、いろんな人たちの悩みに「フルーツルーツ」の榎戸さんがお答えします。
業界を引っ張るリーダーの言葉は重くて鋭い！ ４回目は前回の続きで、接客のコツについての後編をお送りします。
「接客とは、結局は人と人とのコミュニケーションです。もともとその能力が高い子もいますけども、訓練で身につけていくことも大事なんですよね。弊社のエステティックサロンは毎回お客様にアンケートを取るんですよ。週1回来るお客様からも取ります。雰囲気、接客、技術、総合力の４項目で評価をいただくんですね。そして終礼のときに毎回、全お客様のアンケートの振り返りをするんです。一番良い評価をもらえなかった場合は、なぜそうなったのか、次回どうすればいいのか、というのをスタッフに考えてもらい発表させています。
自分で考えて、自分で答えを出していくということをしないと、スタッフってなかなか考えないので成長が遅いんですよね。考えさせることと、自分で解決させること。その努力は常にやらせています。お客様ってすべて正直に言って帰るわけではないので、施術が良かったのか悪かったのか、こちら側としてもよく分からないところがあるんです。なので、しっかりアンケートを取って振り返り、毎日改善していくことをやっています。悩んでいるこの方は、お店でアンケートを取るようなシステムを導入するといいのではないでしょうか。すでに導入されているなら、アンケートをもとに徹底的に考えてみることをオススメします。
あとは、僕みたいに他の店へ行って実際に技術を受けてみるとか。こうされて良かった、嫌だった、こうしてほしかったとか、明確に分かると思うんですよ。すごく参考になると思います。さらにもうひとつ重要なことがあって、人に対して興味を持つというところで差がつくと思うんですよね。人が好きかどうかって、大きいと思うんです。
人が好きな子は他人を喜ばせるのも好きなので、ものすごく気づかいができます。言われなくても最初からできますし、人に対して苦手意識の強い子はなかなか……ですね。もちろん、引っ込み思案だから接客は無理なんてことはなくて、どんなに優れたスタッフでもお客様全員が『良い』と答えるとは限らないんです。相性というのがすごくあるなとは感じています。だから、ひとりのお客様とダメだったからといって、他のお客様もダメとも限らなくて、良い場合もありますからね。
それをお店側の視点からいうと、同じキャラのスタッフを揃えても、店としての広がりがないということになるんです。明るく元気な子、寡黙だけども技術的な子、柔らかいタイプの子、いろんな性格のスタッフを置いたほうがお客様の層が広がるんですよ。社内の雰囲気も良くなります。例えばリーダータイプの子ばかりいるとぶつかります。不思議なのですが、リーダータイプってだいたい柔らかいタイプの子と仲良くなるんですよ。柔らかいタイプの子って、お客様にもかわいがられる傾向にありますね。
結論をいうと、お店には多様性が必要なので、誰がいても良いんです。接客で最も大切なのは、お客様の空気を読むことです。それにはアンケートを取って課題を見つけ、改善していくことに尽きると思います」
悪いサービスとは……
良いサービスとして、「最善のサービス」と「マニュアルにないサービス」などを上げましたが、それに対して、悪いサービスとはどんなサービスになるのか。
サービスの良し悪しは、サービスをする側の対応もありますが、サービスを受ける側の『気持ち』にもよります。こちらが「良し」と思っておこなったことも、相手の気持ちによっては、「良くない」という受けにもなる。だからと言って、いつものようにサービスをおこなわないと、それを「良くない」と思わないこともあります。
では、悪いサービスをしないためにはどうするべきか。その一つとして、お客様への気遣いを忘れないことにあります。サロンやショップに入店されたお客様がどのような気持ちでいるのか。それに対して、どう対応すべきか。と、ほんの少しの気遣いをすることでも、「悪いサービス」であったことが、お客様にとっては「良いサービス」として受け入れられるようになります。そんな気遣いのサービスを心がけてください。
Profile
榎戸淳一さん
（株）ES-ROOTS代表取締役社長
船井総合研究所時代に社内にエステ業界のコンサルティングを立ち上げ、実績を残す。退社後、（株）ES-ROOTSを設立し、オーガニックコスメエステティックサロン「フルーツルーツ」をオープン。２年後に第２回エステティックグランンプリ、モデルサロン部門、フェイシャル技術部門で全国１位受賞。著書に「サロンはスタッフ育成で99％決まる」「愛されるエステティシャンの秘密！」などがあり、業界を牽引する役割を果たしている。
