メイクセラピストはどんな場所で活躍しているの?主な就職先や必要な資格を紹介!
化粧を施してお客様を美しくするメイクアップアーティストは、メイクサロンやブライダルサロン、エステサロン、美容室など、さまざまな場所で活躍しています。
そんなメイクアップアーティストのなかに、メイクをすることでメンタル面のケアもする「メイクセラピスト」という職業があるのはご存知でしょうか。今回はメイクセラピストに焦点を当て、メイクセラピストに必要な資格や、活躍できる場所について解説します。
メイクセラピストとは?
まずは、メイクセラピストとはどんな職業なのかについて見ていきましょう。
メイクセラピストとは、「メイク」と「セラピスト」の両面をあわせ持つ職業で、容姿を美しくするメイクアップの技法と、心や精神面にアプローチする心理カウンセリングの手法を合わせた「メイクセラピー」(化粧療法)をおこなう人のことです。
メイクでお客様を美しくする点では、メイクサロンなどのメイクアップアーティストと共通ですが、どちらかというと美容業界よりも看護や介護、リハビリといった業界で活躍する人が多い仕事です。
近年ではとくに、心のケアが重視される医療・福祉業界から注目が高まっています。
メイクセラピストに資格は必要?
メイクで福祉に貢献できるのが魅力のメイクセラピスト。そんなメイクセラピストになりたい、と思う人も多いのではないでしょうか。ここでは、メイクセラピストになるにはどんな資格が必要なのかを解説します。
「メイクセラピスト」という名前の公的な資格は、2023年9月時点では存在していません。しかし、他人にメイクをすることを仕事とするには美容師免許が必要なため、メイクセラピストも美容師免許を取得する必要があると考えられます。
美容師法において、
第二条 「美容」とは、パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすることをいう。
第六条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。
と定められています。メイクセラピストはメイクをすることで「容姿を美しく」し、利用者のケアをするため、「美容を業としている」と解釈できるのではないでしょうか。
お客様にメイクをする職業は、メイクアップアーティストやメイクセラピストのほかに、たとえば美容部員(化粧品の販売)があります。
美容部員もお客様にメイクをすることがありますが、この場合はメイクをして効果を実感してもらい、化粧品を販売することが最終的な目的になります。「メイクをすること」を仕事としているわけではないため、美容部員は美容師免許を必要としていません。
このように、メイクセラピストを目指すのであれば、まず美容師免許の取得が必要であるといえるでしょう。
さらに、美容師法では
第七条 美容所以外の場所において、美容の業をしてはならない。ただし、政令で定める特別の事情がある場合には、この限りでない。
と定められています。
メイクセラピストは、医療機関や福祉施設などで業務をおこなうことも考えられますよね。これは美容所登録されていない施設にはなりますが、特例として認められるケースです。
ただし、これらの判断は都道府県など各自治体がしているため、住んでいる地域の自治体に問い合わせる必要があることも覚えておきましょう。
引用元
e-Gov法令検索:美容師法
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET)):メイクアップアーティスト – 職業詳細
メイクセラピー検定
メイクセラピストに関係する公的な資格はありませんが、民間の検定として「メイクセラピー検定」があります。
メイクセラピー検定は一般社団法人メイクセラピストジャパンが認定する資格で、メンタルのアプローチに関わるメイクセラピー的心理学・コミュニケーション・化粧心理学、メイクのスキルに関わるメイク理論・色彩学など、さまざまな分野の知識を問われます。
美容業界や学生だけでなく、医療・福祉業界の受験者も多く、化粧品メーカーやサービス業、医療機関など、幅広い業界で社内認定スキルとしても採用されています。
引用元
一般社団法人メイクセラピストジャパン:メイクセラピー検定とは
その他メイクに関する資格
メイクセラピストは人にメイクをするため、メイクに関する資格も所持しておくとよいでしょう。
メイクの代表的な資格には、JMA日本メイクアップ技術検定試験、IBF国際メイクアップアーティスト認定試験、日本化粧品検定などがあります。
JMA日本メイクアップ技術検定試験とIBF国際メイクアップアーティスト認定試験は実試験をともなう資格で、メイクアップに関する知識や技術の基本を理解し、人に正しくメイクをする技術を持っているかを審査されます。どちらも、メイクアップを仕事とする人、志す人が持っておきたい資格です。
日本化粧品検定は文部科学省後援の検定試験で、化粧品に関する幅広い知識を学び、成分や効果を正しく知ることでスキンケアやメイクアップに最適な化粧品を選ぶことができるようになる資格です。
こういったメイクの資格を持っていることで高いメイク技術や専門的な知識を持っているという証明になり、お客様からの信頼を得やすくなります。
引用元
一般社団法人 JMA:日本メイクアップ技術検定試験
一般社団法人IBF国際美容連盟:IBF国際メイクアップアーティスト認定試験
一般社団法人日本化粧品検定協会:日本化粧品検定
その他カウンセリングに関する資格
メイクセラピストはメンタル面のアプローチも求められるため、心理カウンセリングに関する資格も取得しておくのがおすすめです。
心理カウンセリングやメンタルケアに関わる資格には実に多くの種類があり、なかには精神保健福祉士や公認心理師のような国家資格もあります。民間資格には、メンタルケアカウンセラーや、こころ検定などがあります。
メンタルケアカウンセラーは、心理学の基礎知識とコミュニケーションの基礎能力を有していることを証明する資格で、講座でカウンセリングの基礎知識やこころの病気について学び、通信添削の課題を一定以上の成績で修了することで認定されます。
こころ検定は文部科学省後援の検定で、こころの仕組みや科学的根拠にもとづいた心理学を学び、級に応じた難易度で出題されます。練習問題や公式テキストも用意されているので、活用しましょう。
引用元
ヒューマンアカデミー:資格概要|メンタルケアカウンセラー®資格取得講座
一般財団法人こころ財団:こころ検定
メイクセラピストの主な就職先
メイクを通してメンタルケアをおこなうメイクセラピストは、活躍の場も幅広くさまざまな就職先があります。ここからは、メイクセラピストの主な就職先について見ていきましょう。
介護・福祉施設
介護・福祉施設はメイクセラピストの代表的な就職先です。高齢者を対象にしたメイクセラピーをおこなうことが多いです。
病気やケガ、加齢などで体を思うように動かせなくなったり、外見が衰えたと思ってしまったりすると外出が億劫になりがちですが、メイクをしてキレイになることで気分が上向きになり、認知症の予防効果も期待できると言われています。
エステサロンなどの美容業界
メイクセラピストは高いメイク技術をもっているので、エステサロンやブライダルサロンなどの美容業界でも活躍できます。メイクのスキルにプラスして心理に関する専門知識があることで、お客様とのコミュニケーションに役立つでしょう。
皮ふ科・形成外科などの医療機関
皮ふ科・形成外科などの、医療機関で働くメイクセラピストもいます。ケガや病気による皮ふの治療痕や変色、アザなどを隠す目的で、患者のコンプレックス解消に助力します。診療科目に関わらず、長期的な病気の治療による、心理的な落ち込みを解消する目的として取り入れている医療機関もあります。
就活支援・キャリアカウンセラー
就活支援・キャリアカウンセラーや、学校の就職相談などでもメイクセラピストは活躍しています。就活・転職時における面談時に、印象や雰囲気を管理するためにメイクセラピーをおこなうことがあります。
美容部員(化粧品販売)
メイクとコミュニケーションの両方の技術を活かせるのが、化粧品を専門に販売する美容部員です。会話のなかでお客様の悩みやコンプレックスを汲み取り、似合うメイクを提案して化粧品を販売します。また、化粧品メーカーで美容部員の教育に関わることもあります。
専門学校やスクールの講師
メイクセラピーの注目が高まるにつれ、専門学校やスクールの講座などが増え、講師の需要も高まっています。後進を育成するため、メイクセラピーの知識と技術を教える専門学校や講座の講師としての道もあります。
独立・開業
メイクセラピストとしてのスキルを活かし、独立して自分のサロンを開業することも可能です。エステサロン、リラクサロン、メイクサロンといった、メイクに関わるさまざまなサロンとして独立可能で、どんな施術をメインにおこなうかは自分次第です。
別記事で、実際にメイクセラピストとして東京・吉祥寺にサロンを開業している小林友子様に伺ったお話をまとめていますので、あわせてご覧ください。
外見はもちろん、内面もサポートする「メイクセラピスト」のお仕事とは?【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事Vol.75/メイクセラピスト・小林友子さん】#1
メイクだけじゃない、メンタルにもアプローチしてお客様の幸せを手助けする仕事
メイクセラピストは、メイクと心理カウセリングの手法をあわせ、メイクを通して精神面にもアプローチするメイクセラピスト。美容業界はもちろん、メイクを通したメンタルケアで介護・福祉施設や医療機関といった、幅広い業界で活躍できる可能性があります。
メイクが好きで、メイクで誰かの役に立ちたい!という人にぴったりの仕事だといえるのではないでしょうか。