BAは自分の人間性を活かせる仕事 イニスフリーBA 寺﨑弥生さん♯2
「人の人生を豊かにする仕事をしたい」という軸をブラすことなく、銀行員からイニスフリーのBAになった寺﨑弥生さん。前編では、OJT担当のシスターや売上の高い先輩の接客からよいものをどんどん取り入れたことを伺いました。
後編では、寺﨑さんが自信を持てるようになったきっかけにもなった、個人売上コンテストで1位を獲得したお話を伺います。負けず嫌いの寺﨑さんは、名刺を捨てられないようにするにはどうしたらいいか考え、名刺の表裏に手書きのメッセージを添えることを思いつきます。
お話を伺ったのは…
イニスフリーの2店舗目となるグローバルフラッグシップストア・表参道店
BA 寺﨑弥生さん
「人の人生を豊かにする仕事をしたい」というテーマを掲げ、大学卒業後、志望していた接客業の中から金融業界を選択し、銀行員となる。窓口や金融商品の販売業務を担当。4年勤めた後、接客業の中でも自分の好きなものに携われる仕事がしたくなり、以前から好きだった化粧品会社への転職を考え、イニスフリーに入社。表参道店配属、入社1年目にコンテストで1位を獲得したことが自信になり、3年目の現在も活躍中。
名刺に手書きメッセージで個人売上1位を獲得
――なにがきっかけでBAの仕事に自信を持てるようになったのですか。
お客様に渡した名刺のQRコードからオンライン購入してもらうとBAのポイントになるシステムがあるんですが、入社3~4ヶ月目ぐらいのときにその個人売上で1位を獲得したことが 自信につながりました。もうひとつ不定期で行われるコンテストがあって、ある商品の1ヶ月の売上を店舗ごとにランキング発表するんですが、これも入社半年のときに1位を獲得。すごい負けず嫌いなので、絶対に1位を取ろうと思ってがんばったら本当に実現しました。
――1位をとるためにどんな努力をしましたか。
早い時期に1位をとれたのでトレーナーにも聞かれたのですが、オンライン売上では名刺を簡単に捨てられない状態にしようと思ったんです。ただ名刺を渡すだけだとショップカードと同じですが、わたしは必ずメッセージを書くようにしています。韓国語で「カムサハムニダ(ありがとうございます)」とか、QRコードから入っていただくために「送料無料クーポンございます!」とか。裏面には季節ごとのオススメ商品を盛りこんだメッセージを手書きしていて、オンラインでその商品を購入していただくことも。
メッセージ入りだと名刺を渡したときに「かわいい」と喜んでくれる方も多いですし、捨てずに持っていてくれて、その名刺を持ってまたご来店される方もいらっしゃいます。そういうときは本当に嬉しくて、BAの仕事にやりがいを感じる瞬間ですね。
自分なりの販売スタイルの構築が圧倒的な自信に
――新人時代と現在のご自分とを比べるとどんな違いがありますか。
自分なりの販売スタイルが構築できたことで、圧倒的に自信がつきました。新人時代はコロナ禍で日本の方がメインでしたが、いまはインバウンドのお客様が多いので「外国の人が来たら寺﨑さん」とスタッフが頼ってくれるんです。ずっと勉強してきた英語を活かして接客できることは自分の強みになっていると思います。外国の人と接していると、これが自分の中ですごくやりたかったことだったんだなと実感しています。
――英語を活かした接客が寺﨑さんの販売スタイルになっているのですね。
わたしの販売スタイルのひとつに、本当にお客様が必要としているものを提供するというのもあります。売上をつくることはもちろん必要ですが、その人の人生を豊かにするためにその人が必要なものを売りたい。接客している時間がお客様にとって有意義なものであってほしいと思います。
新人時代はまだ自分に自信が持てなかったけど、いまはたぶん自分を磨けているんじゃないかな。だから、自分のスタイルを正直に出していいんだと思う。会社の方針と自分の軸とをうまく折り合いをつけられるようになって、いまは無意識にそれができているんだと思います。
――入社3年目にして素晴らしいですね。
金融と美容とで業界は違いますが、どちらもサービス業でお客様のために何かをするのは同じなので一貫してやってきた部分なんだと思います。
BAは自分の人間性を活かせる仕事
――寺﨑さんは、BAをどんな仕事だと感じていますか。
人間性を活かせる仕事だと思います。いまはネットで何でも買えてしまうので店舗に行く意味って、その人に会いに行くとか、その人から買いたいということだと思うんですよね。その人のそれまでの経験が、その人にしかない人間性をつくっていると思うので、自分に自信を持っていいと思います。
もちろんどのお客様がどのBAにフィットするかわからないですけど、わたしはわたしから買ってよかったと思ってもらいたい。もちろんその商品を使ってよかったと思ってほしいですけど、「また来ますね、あなたに会いに」という言葉がいちばん嬉しい。自分の内面を買ってもらえることがいちばん嬉しいんですよね。
――最後に美容業界を目指す方にアドバイスをお願いします。
とくに他の業種から転職される方は不安が大きいかもしれませんが、そんなに不安がらなくても大丈夫。自分が好きなものを自分の言葉で説明してあげるのがいちばん。わたしも自信も知識もない状態で美容業界に飛びこみましたが、3年でここまで来れました。
知識がなくても勉強したり、ノウハウは先輩に教えてもらえば大丈夫。それより自分にしかない個性を活かすことのほうが大事だと思います。
寺﨑さんが新人時代に行ったこと5つ
1.「人の人生を豊かにする仕事をしたい」という軸を貫いた
2.シスターに分からないことは何でも聞いた
3.売上の高い先輩の接客を見てよいところを盗んだ
4.名刺に手書きメッセージを書いてコンテストで1位獲得
5.自分の販売スタイルの基礎をつくった
銀行員からBAへ、一見まったく異なった業界への転向と思われますが、「人の人生を豊かにする仕事をしたい」というテーマの下、接客スキルを磨いてきた寺﨑さん。いますぐ真似したいことがたくさん散りばめられたインタビューとなりました。
撮影/大崎聡
取材・文/永瀬紀子