兄・高木琢也の言葉を信じOCEAN TOKYOへ。葛藤の末に身につけた「二刀流」で勝負する【OCEAN TOKYO Sunny代表 陽介さん】#1

美容師とお客様の関係性をこえ、「人生という名の航海をともに乗り越えていく仲間でありたい」という企業理念のもと、日本の第一線を走り続けているヘアサロン「OCEAN TOKYO」。今回は、社長である高木琢也さんの実弟、OCEAN TOKYO Sunny代表の陽介さんにインタビュー。

実は美容師になることを家族から反対されていたとのことで、反対を押し切り、どのような道のりを辿ってきたのでしょうか。日本で名の知れた美容師を兄に持つ劣等感や葛藤を抱えながらも、店長、代表、さらには役員にも就任。着実に階段を上がってきた陽介さんにひとりの美容師として地位を確立してきた経緯についてお聞きします。

前編では、メンズのカット技術を一から学ぶことになった経緯について、「二刀流」という陽介さんならではの持ち味を習得するまでのお話を伺います。

TAKAGI’S PROFILE

お名前

陽介

出身地

千葉県

年齢

33歳

出身学校

日本美容専門学校

経歴

20歳 FLOWERS入社23歳 FLOWERS退社24歳 OCEANTOKYO入社スタイリストデビュー26歳 OCEANTOKYOHarajuku店長就任全店舗において売上1位達成28歳 OCEANTOKYOSunny代表就任29歳〜32歳 4年連続HOTPEPPERBEAUTYAWARD全国TOP10(29歳)2019年レディース部門全国7位(30歳)2020年レディース部門全国6位(31歳)2021年メンズ部門全国2位(32歳)2022年メンズ部門全国5位32歳 OCEANTOKYO役員就任※その他雑誌、TV等多数メディア出演

憧れの人

三浦知良選手

プライベートの過ごし方

サーフィン、ゴルフ

最近ハマっていること

自然の中で遊ぶこと

仕事へこめる気持ち

お客様に対してどれだけ本気で向き合えるか。常に上手くなりたい。


家族から猛反対を受けた「美容師」になることを決意

気さくで笑顔がとても素敵な陽介さん



――ご家族から、美容師になることを反対されていたと伺いました。

そうなんです。家族全員から止められていました(笑)。そもそも、人と話すことが得意ではない僕にできるわけがないと。

兄が美容師というのは周知のことかと思いますが、母親も美容師をしていました。最初は父親が公務員で同じ道を勧められていたので、自然と自分もそうなるのかなーと。だけど、高校3年生の時自分の将来を真剣に考えて、「僕は本当に公務員になりたいのか?」って疑問が生まれたんです。

当時はSNSが発達しておらず、情報の発信源の大半を占めていたのが雑誌でした。地方に住んでいたこともあって、雑誌の中に出てくる人たちに憧れがあったんです。しかもその人たちは大体美容師で…徐々に「美容師いいな」って思うようになりました。あとは少なからず母親の影響で、美容師という職業に対して無意識のうちに憧れを抱いていたんだと思います。

――家族の反対を押し切って、進まれたのですね。

はじめての反抗でしたよ。僕ってそれまで反抗とか全くしなかったので、してみたい気持ちもあったのかもしれないですね。

兄には美容専門学校を受験したことは合格発表まで黙っていました。どうせ怒られるって思って。案の定、進学のことを聞かれた時に「美容専門学校に受かった」と話したら、めちゃくちゃ怒られましたね(笑)。あえて大変な道を選びやがって、みたいな。

でも、最終的にはみんなが応援してくれることになり、卒業後は先に美容師をしていた兄に相談して就職先をフラワーズに決めました。

――決め手はなんだったのでしょう?

今まで母親に散髪してもらっていたので、サロンを利用したことがなかったんです。当時僕がイメージしていたサロンって、「スタイリッシュな印象のサロンでスマートな人が施術をする」感じ。通い慣れていない僕からしたらそれはもう緊張して勇気を出さないといけない場所という認識だったんです。予約のために電話することさえ、緊張で手が震える…みたいな(笑)。

そんな僕が初めて行ったサロンであり、しかも抱いていたサロン像とは全くかけ離れていて、イメージが覆されたことが決め手だったと感じます。アンティーク調で温かみが感じられる内装、しかもスタッフの方達はゆるくて優しそうで威圧感もない。緊張して行く僕でも入店しやすかったことが印象的でした。もう、「ここだ」って思いましたね。

スタイリストデビュー前日に退職!
兄の言葉を信じたくてOCEANTOKYOに電撃入社



――では、念願のサロンでスタイリストデビューを?

いや、それが違うんです。アシスタントを3年経験し、異例の早さでデビューすると決まっていたのですが…。そのデビュー前日に退職することになりまして

というのも、ちょうど同じ時期に兄がメンズ専門店サロンとしてOCEANを立ち上げるということで誘われたんです、「お前もくるか?」と。来いと言われたわけではありませんでしたが、かなり悩みました。なにしろ「でかい景色をみせてやるよ」なんて言われたので…その言葉を信じたいと思い、ついていくことにしたんです。

――まるでドラマのような展開…。しかし、思い切りましたね!

本当に(笑)。しかも、僕が今までやってきたジャンルはレディース。兄が立ち上げようとしていたのは、メンズをターゲットにしたサロンだったんです。だからこそ、「今まで積み上げてきた技術を捨てるのか」と悩んでいました。でも、メンズを打ち出しているOCEANであえてレディースに取り組むことがフラワーズの仲間への恩返しにもなる。そう考えたら、やるしかないじゃんって。

まさに人生のターニングポイントだったと感じます

挫折から這い上がり習得した「二刀流」という自分だけの武器

「同期の七五三掛(しめかけ)よりも、後輩が活躍する可能性に焦りを感じましたね」と語る陽介さん



――実際、今まで経験していないメンズに取り組むというのは大変だったのでは?

もう、大変でしたよ(笑)。初めは「二刀流が取得できる!」と思って入社したものの、レディースで結果を出そうと意地をはっていたのでメンズに注力したのはデビューから1年半後くらい。

着手するまでもずっと葛藤していて、当時はメンズ技術が身についていないという問題以前に、OCEAN自体の知名度がまだなかった時期。他のスタッフが満足に集客ができていないのに、ましてや僕にレディースの指名が入ることもなく…何度もこの道でよかったのかなって悩みましたね

――そんな状況から抜け出せたきっかけは?

本気でメンズに取り組もうと思ったきっかけは、後輩が入社してきたタイミング。自分より年下の子と競った経験がなく、負けるという経験が今までありませんでしたが、「このままでは追い越される」という怖さを身近に感じました。経験がないからこそ恐怖を覚え、このタイミングでメンズにとりかかるべきか悩み、一度友人に相談することにしました。

――ご友人はなんと?

友人からは、「どっちもやりたいならまずはやってみて、結果を出すのが先決でしょ。出す前にあれこれ言うのは違うと思う」と言われて。確かにメンズ専門店でレディースを打ち出すには、まずメンズで売上を出さないと始まらないと改めて思い直しましたね

友人からの言葉に背中を押され、次の日にはそれまでロングだった髪を兄にばっさりと切ってもらいました。決意表明として。

――その際、お兄さんに相談されなかったのですか?

しなかったですね。しかも、僕だけ他のスタッフとは違う経緯で入社しているじゃないですか。そこをひいきしているように伝わると会社全体で良くないから兄もそこを気にしていましたから。人一倍厳しくされましたよ、そんなに言う!?って思うくらい(笑)。

その後すぐメンズを学ぶために、当時所属していた原宿店の代表・三科に頭を下げにいきました。売上を立てたら好きにさせてもらえますかっていう、条件付きで(笑)。それからは早かったです。もともとカットはレディースでデビューしていますし、基礎はわかっていましたから、2回ほど切ってすぐに合格が出ました。

――二刀流は自然な経緯で習得されたのですね。

左がメンズスタイル、右がレディーススタイル。どちらもナチュラルなニュアンスが伝わる素敵なスタイリングです



そうですね。メンズを学んでみてから気づいたんですが、メンズしかカットしていない人たちと僕のカットを比べて、自分の強みは「柔らかさ」だと気づいたんです。これって、フラワーズで学んだレディースのカットが昇華された、僕にしかできない強み。今までのことが無駄じゃなかったということがわかって嬉しかったですね。

――ようやく目標まで歩き出せた時期だったと感じます。反対に意識したポイントはありますか?

OCEANの強みである、「骨格矯正」をレディースカットにも落とし込んでいます。僕がレディースカットで得意な手技はショートヘア。メンズって髪の毛がもともと短いので、骨格矯正がマストになるから必ず入社時に学ぶんです。そのメンズカットの技法を学んだことで、メンズ・レディース双方に必要なエッセンスが自然と提供できるようになりました。

そういった技術面を駆使してお客様のベストを更新すれば、自然に口コミも広まるし、リピーターも増えていきます。SNSなんて僕からしたら飛び道具のようなもの。一番大事なのは、目の前のお客様をどれだけ笑顔にするか、なんです。先を見据えて毎回アップデートされた提案ができると、この人に任せたら大丈夫、新しい自分がみられるって、思ってもらえるんですよ。

この頃には、好きにさせてもらえる条件だった売上も目標の月500万円以上を達成し、結果を出したことで原宿店の店長に就任しました。ただ、店長時代もなかなか悩みが尽きませんでしたよ。




悩み、考え、挫折を経験しながらも、着実に自分が描いた目標に向かって歩みを止めなかったことで現在の陽介さんが確立されたんだとわかりました。後編では、店長となった陽介さんがどのようにスタッフと向き合ったのか、代表になるまでの道のりと当時の心境をお伺いします。

お話を伺ったのは…
OCEAN TOKYO Sunny代表 陽介さん


高校卒業後に美容師を志す。専門学校卒業後にFLOWERSで3年アシスタントを務めていたが、デビュー目前で退社し、兄が設立したOCEAN TOKYOに入社。3ヶ月間のアシスタント期間を経て、スタイリストデビューを果たす。店長職を経験後、「OCEAN TOKYO Sunny」代表に就任。現在は、OCEAN全店舗でリピート率No.1を獲得するメンズ・レディースともに人気のサロンへと成長させた実力の持ち主。

陽介さんのInstagram:@yosuke_takagi

取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄

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OCEAN TOKYO Sunny
住所:東京都渋谷区神宮前1-10-23 ル・シャトーデ・フォンテーヌビル1F-2号
電話:03-6447-5032

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