「おもてなし力」を向上させるため、理想の身だしなみをマスターしましょう!
技術面は自信があるけれど、接客は苦手という方も多いのでは?お客さまに喜んでいただくためには、接客もマストです!
今回は、おもてなしの基本である身だしなみについて、元国際線キャビンアテンダント(以下CA)で現在は医療コンシェルジュとして活躍されている永田潤子さんにレクチャーしていただきます。
身だしなみのルールは業種や職場によってさまざま。ヘアサロンなどでは個人の裁量に任されている部分が多いのが実情です。今回は、おもてなしという観点から、理想の身だしなみについてお話をうかがいました。
身だしなみはできて当たり前
「まず、接客というものは、例えばいい笑顔ができたらプラス1点、きちんとご案内ができたらプラス1点……というようにプラスしていくものだと思います。良くない印象を与えてしまったらマイナスする、という考え方です。その中で、身だしなみはきちんとしていて当たり前なので、プラス要因ではないと思います。でも、身だしなみが悪くてマイナスになることはあります」
「お客様の満足度というのは、そもそもどれくらいの期待をされているかということに関わってきますが、特に美容や医療の業界では身だしなみに対する期待はとても高いと思います。その期待に応えられないと、仕事自体への評価が下がってしまうことも。例えば制服が汚れていたり着方がだらしなかったりしたら、いくら高い技術を持っていても、笑顔が素敵であっても、きちんとした仕事ができないんじゃないかという印象を与えてしまいます。それはすごくもったいないことですよね」
その仕事にふさわしければOK
「理想の身だしなみは、その業種や仕事の内容によってさまざまだと思います。例えば、胸のポケットにペンを挿している方って多いですよね。そこにキャラクターのマスコットを付けたりすると、ちょっとふざけた印象を与えてしまう場合もあります。でも、それは実は、小児科の看護師が、子どもの不安な気持ちを紛らわせるためにしていることだったら、まったく意味が違って来ますよね。こんなふうに、その仕事にふさわしい身だしなみをすることが大切だと思います」
まとめ髪&眉見せで好印象に
「ヘアスタイルは清潔感が第一。まとめていたほうが、きちんとした印象になると思います。また、接客中に自分の髪の毛に触るのは、衛生的にも、お客様への印象としても良くありません。CAは食事を提供することもあり、垂れ下がってきたり、かきあげなければいけないような髪型はせず、きちんとまとめて後れ毛もスプレーで固めるのが基本でした」
「一般的に前髪は眉が見えるようにしたほうが印象がよいといわれています。接客は表情が大事ですよね。眉は表情を表す重要なパーツなので、表情が伝わりやすいという意味でも眉が見えた方がいいと思います」
メイクの感じ方は人それぞれ
「接客における美容の基準について病院の同僚たちと話し合ったときに、メイクの濃さに対する感じ方や顔のどのパーツを見ているかは、人によってかなり違うという意見がありました。確かに、ある人はファンデーションが濃すぎると感じても、別の人はまったく気にならなかったり、気になるパーツも目元という人もいれば口元という人もいて、かなりバラバラなんです」
「仕事によって求められるメイクも違いますよね。アパレルの販売員さんは華やかなメイクが求められるそうですが、CAの考え方ですと、接客にはお客様を立てるという面もあるので、お客様よりも派手になったり華やかになったりしないようにします。一方、美容業界の場合はスタッフが施術や商品のお手本になる場合もありますよね。メイクの基準も業種や仕事の内容によってさまざまだと思います」
病院での身だしなみ事情
「病院での身だしなみは、他の接客業とは事情が違う部分もあります。患者さんは顔色や爪の色などで健康状態をチェックされるので、メイクやマニキュアはしたくてもできません。病院で働く人は、そういった気持ちにも配慮しなければならないと思います。ですから私たち医療コンシェルジュも華美なメイクやマニキュアはしませんし、実際に医療行為をするわけではありませんが、患者さんに触れる機会もあるので、爪も伸ばしません。匂いによって気分が悪くなる方もいるので香水も禁止です。病院での身だしなみは、常に患者さんの気持ちになって考えることが大切だと思います」
メイクもおしゃれも影響を配慮して
「よかれと思ってしていることが、人に不快な思いをさせてしまうことがあります。例えば香水は、いい香りだと感じる人がいる一方で臭いと感じる人もいます。そういうことをふまえて、身だしなみが人にどう影響を与えるか、どう感じられるかを知っておくことが大事です。美容業界は航空業界や医療業界ほど厳しいルールがあるわけではなく、比較的自由度が高いと思います。ですから、メイクもおしゃれも、それがどんな影響を及ぼすかを知った上で、配慮をしつつ実践すると良いのではないでしょうか」
取材協力:CA Media Agency
1000人以上のCAネットワークから情報を発信!日本初のキャビンアテンダントによる総合情報発信サイト「CA Media」(http://ca-media.jp/)
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Profile
永田 潤子さん
津田塾大学学芸学部卒業後、日系航空会社に入社し国際線のCA(キャビンアテンダント)として乗務。在職中にソムリエの資格を取得し、フライトやプライベートを利用して、ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ等のワインセラーを巡るのが楽しみだった。産休中に英語通訳案内士の資格を取得、老後にボランティアをしたいと考えている。現在は医療コンシェルジュとして病院に勤務している。