おとな塾・子どもとの会話を盛りあげるコツ【子育てが楽になる処方箋 #3】
ビューティ業界で働くママやパパは毎日忙しいので、「子どもと過ごす時間が少なくて…」「子どもの気持ちがわからない」など、子育てが辛いなと思うことも少なくないはずです。
また、サロンにお子様連れのお客様がいらしたときに「どのように対応したらいいの?」と、そんな疑問も起こりますね。
そこで、フリーアナウンサーでNPO法人「親子コミュニケーションラボ」を主宰している、天野ひかりさんにお話を伺いました。
ご本人も、現在中学2年生の女の子のママ。5月末に著書『子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ』(サンクチュアリ出版)を出版されたばかり。とっても参考になる貴重なアドバイスです。
この#3では、子どもと話すときのコツが満載です。
子どもへの質問は目的をハッキリさせる
子どもがなかなか話してくれない、子どもとの会話が盛りあがらない場合は、質問の仕方を変えてみましょう。大人同士で話していても「この人何を質問したいんだろう?」、仕事の会話でも「結局、私にどうして欲しいのだろう?」と、疑問に思うことがあります。それは、会話の目的がハッキリしていないからです。子どもとの会話でも同じです。
「『今日、学校でどうだった?』では、質問が曖昧で、子どもはどのように答えていいのかわかりません。「学校で友達を仲良くできたかな?」「先生に怒られなかった?」など、会話の目的を意識すると、具体的な質問ができます。子どもが答えやすくなり、親の欲しい答えを聞けるようになります。
目的と話題は別と考えて、質問を工夫する
「学校で友達を仲良く遊べた?」というような楽しい話題なら、目的と話題を一致させて、そのまま質問してもいいでしょう。
だた、「友達にいじめられなかった?」とか「先生に怒られなかった?」というような、子どもが答えづらいものは、そのまま聞いても答えてくれないことがあります。このときは、目的と話題は別と考えて、直接的はそのまま聞かずに周辺のことを聞いていきます。でも、目的は忘れずに。
「友達にいじめられなかった?」の場合なら、「今日は誰と遊んだの?」「何をして遊んだの?」など、周りから聞いていきます。
これは大人同士でも同じですね。聞きたいことを直接聞けないとき、周りから聞いていくことがあるはず。それを思い出して、子どもにも応用してみて下さい。
子どもが騒いだときはどう言葉がけする?
日頃は冷静に子どもの話を聞いているママやパパでも、外で子どもが騒いでしまったときは、つい怒ってしまうこともあります。
「もちろん、周囲に騒いで迷惑をかけるので、早く収拾しようとする気持ちもわかります。でも、親が少し余裕をもって、対応できたらいいですね。例えば、レストランで走り回ってしまったら、『走り回るのは、元気が良いくていいことだけど、ここはご飯を食べるところだから静かにしようね』と言います。子どもが広い所で走り回るのは元気の良い証拠だから、それ自体は悪いことではないはず。まずは、そのことを認めてあげて、その後、ここでのルールを教えます。そして、周囲の人には『うちの子が騒いで、すみません』とママが謝ります。
ママやパパが子どもに「騒いだんだから、皆に謝りなさい!」と怒ってしまうと、子どもがますます騒いでしまうことがあります。この場合は、子どもに謝らせるのはなく、親が周囲に謝ります。子どもは、自分が騒いだのに親が謝ると、「親が謝るようないけないことをしてしまった」と心に残り、これからは気をつけようと思うはずです。
さらに、騒いだことだけに捉われず、その理由を考えてあげる癖をつけられるといいですね。子どもは困らせようと騒いでいるわけでなく、うれしくて駆け出したくなった、飽きてしまってじっとしていられなかったなどの、理由があるはずです。
「子どもはうまく説明できないかもしれないので、ママやパパは『広くてうれしかったの?』『飽きて、家に帰りたくなったの?』など、子どもの気持ちを言葉に置き換えましょう。子ども自身もそうだったんだと気がつくし、ママやパパも子どもの気持ちを知るチャンスになります」と天野さん。
ついキツく叱ってしまったと思ったときは?
でも、ママやパパに余裕がなくて、ついキツく叱ってしまうこともあるかもしれません。そして、叱りすぎたと落ち込むことがあります。
「人間はイライラすると怒るものなのだと、子どもに伝えることも必要なのだと思って、落ちこまなくてもいいでしょう。でも、怒ってしまって悪かったなと思うときは、『あのときママはイライラして大声を出しちゃった。大声を出してごめんね。あなたが騒いだので、我慢ができなかったの。でも、そのあと、静かにしてくれたので、ママは助かったよ』と、素直に伝えましょう。子どもは、「ママは素直に自分の気持ちを言ってくれた。僕もこれからは騒がないようにしよう」と思うようになります。叱ったとしても、その後、きちんと言葉がけをすれば、その子の器を大きくする(=自己肯定感を育む)ことにつながります」。
お店に来てくれた子どもと仲良くするコツQ&A part1
Q子どもが黙っているときは話かけないほうがいい?
Aこちらから積極的に話しかけて大丈夫
「こんにちは」と話かけたのに、子どもが黙っていると「話して欲しくないのかな」「ここにいるのが嫌なのかな」などと、マイナスに思うことがあります。でも、子どものは大人が思っている以上に緊張しているので、言葉や態度をそのまま受け取らないようにします。自分の気持ちをうまく表現できないのです。
だから、こちらから積極的に話しかけてみましょう。だんだん緊張が溶けて、おしゃべりをしてくれるはずです。「学校で流行っていることは何?」「好きな科目は何?」「好きなアイドルは誰?」「本は何を読むの?」など、子どもが答えやすいことを具体的に聞きます。次の4W1Hを参考に、質問をしてみましょう。
何を(What)
どこで(When)
だれが(Who)
いつ(when)
どのように(How)
なぜ(Why)は、子どもはそこまで答えられないので、ここでは外しましょう。話しかける大人が興味を持っている話題の質問のほうが、そのあとの会話がスムーズです。
第4回目はパパが子育てに参加しやすくなるアイデアです。コラム・お店に来てくれた子どもと仲良くするコツQ&Apart2も必見です。
取材・文/大橋史子(ペンギン企画室)
Profile
天野ひかりさん
フリーアナウンサー、「NPO法人親子コミュニケーションラボ」主宰。自身の子育てと仕事の両立の経験や、アナウンサーとして多くの専門家に取材した知識や情報を、やさしくかみくだいいてママたちに伝えたいと、NPO法人「親子コミュニケーションラボ」を立ち上げる。子どものコミュニケーションを育む講座やイベントなどの企画・運営をしている。また、全国各地で講演や講座を行っている。たくさんの父母から「育児に関する考え方が変わりました」と、うれしい声が寄せられている。
天野ひかり公式サイト http://www.amanohikari.com
NPO法人親子コミュニケーションラボ http://www.oyakom.com
Information
子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ¥1,200/サンクチュアリ出版
5月に出版した天野ひかりさんの最新著書。子どもの自己肯定感を育てることの大切さを中心に、子どもとの会話がスムーズになるような具体的な例がたくさん掲載されています。外で騒ぐとき(飲食店や電車の中など)、宿題をやって欲しいとき、兄弟姉妹のけんかが始まったときなど、シーン別の具体的な会話のコツなど、参考になることがきっと見つかります。
おとな塾・パパも子育てに参加しよう【子育てが楽しくなる処方箋 #4】