鈴木 拓也 interview #1:技術を教えに行って、逆に教えられて帰ってくる

シャンプーやカラー剤など、ヘアサロンで使う商品を製造・販売する美容ブランド、シュワルツコフ プロフェッショナル。“サステナビリティ”という理念を掲げて2008年に始まった社会貢献事業『未来をつなぐ夢はさみ』は、今年で10年となりました。そこで、この事業の過去、現在、そして未来について『未来をつなぐ夢はさみ』担当者の具体的な仕事内容や体験談をお送りします。

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熱心な子はトレーニング開始30分前に自主トレをしています

――カンボジアの方たちにカット技術を教えるのは美容師さんですが、鈴木さんの仕事はどのようなものになるのでしょうか?
「まずはトレーナーとしてカンボジアに行ってもらう美容師さんを選考します。実は対面での面接はしていません。希望者には履歴書と応募動機についての作文、さらにはサロンのオーナーさんの推薦文を提出していただいています。なぜ推薦文が必要かというと、応募される方の中には選考を通過してからオーナーさんに伝える方がいます。事後報告になると、行かれては困るオーナーさんが出てくる可能性があるわけです。我々としては、勤めているヘアサロンが快く送り出していただける環境の方とともに活動したいと思っています。このような形で書類選考をして、3名程度を選考しています。他にも宿泊施設や通訳の手配、スケジュール管理も私の仕事ですし、現場で美容師さんたちに『こうすると伝わりやすいですよ』とアドバイスをするのも大切な役割です」

未来をつなぐ夢はさみ

――現地でトレーニングに参加される人は、何歳くらいが対象になりますか?
「17歳から20歳前半くらいが対象になりますが、ときおり30歳を超えた方もいます。そこに年齢制限の厳密な条件はありません」

――実際にこういうところが大変だった、というのはありますか?
「毎回、大なり小なり、ハプニングはあります。美容師さんがパスポートや現金を盗まれるとか、受講生が急に友達をつれてきて、人数が増えてしまうとか……。急に参加できなくなったとか……」

――勝手に友達をつれてくるんですか?
「そうですね(笑)。決してダメとは言わないんですが、途中参加の方にはディプロマ(修了証明書)の発行はできないよとは伝えます。最初からトレーニングに参加されている方への配慮ですね」

鈴木拓也さん

――来なくなる人はイヤになってしまうんですか?
「というよりは、田植えなど、家の事情が多いようですね。カンボジアは二毛作なので、田植えの時期が日本よりも多いんです。どうしてもそれに駆り出されてしまうそうです」

――日本とは違う暮らしぶりをしているということですよね。
「確かに違いますが、時間についてはしっかり守ってくれます。熱心な子になると、始まる30分前に来て、自主トレをしているんです」

未来をつなぐ夢はさみ

――行く前には、予防注射を受けていくんですよね。
「美容師さんたちには破傷風とA型肝炎の予防接種だけは必ず受けてほしいというふうにお願いしています。もちろん私もそうしています」

――参加された美容師さんの反応はどうですか?
「だいたいおっしゃることが3つありまして、1つ目は『美容師ってすごいな』ということ。ハサミ1本で人に仕事を教えられて、どこの国に行っても髪を切ってあげることができる。切ってもらったら、誰もが喜んでくれる。美容師の仕事はすばらしいんだと改めて感じるようですね。2つ目は環境面の部分で日本にあるものがないとか、これくらいあるだろうと思っていたものが、これっぽっちしかないとか。自分たちは恵まれているということを実感するそうです。3つ目は、受講生の方々は真剣に情熱的に取り組んでくれます。その姿勢を見て、『教えに行ったけど、逆に教えられて帰ってくる』と言いますね」

――鈴木さんは行ってみて、得たものとはどのようなものでしょう。
「何かを学ぼうとする姿勢にはすごいものがありますよね。何かを得ようと必死なんです。感動すらしてしまいます」

未来をつなぐ夢はさみ

――今年いっぱいで次の担当者へとバトンタッチされるということですが、最後に、今後この取り組みはどのように進んでいってほしいですか?
「2008年から今までのこの10年間は、この世の中には美容師という仕事があるということを知ってもらえるきっかけ作りだったように思います。ここで学んだ中には実際に美容師となり、独立した人もいます。だけど『未来をつなぐ夢はさみ』の次のステージとして、もっとたくさんの人が就職して、ハサミでご飯が食べられるようになり、一人前のスタイリストとして活躍できるところにまで発展していってほしいと思います。現地には美容室もたくさんあるので、そことの連係も強固に作ってほしいとも思います」

Profile

鈴木拓也さん

鈴木拓也さん

プロフェッショナル パートナーサービス部
ASKアドバイザー

座右の銘:百聞は一見にしかず、百見は一行にしかず

東京美容専門学校を卒業後、都内のニューヨークドライカットサロン(大峰氏に師事)に勤務。2008年にシュワルツコフに入社し、ヘアケアブランド「BC KUR」の技術/教育セクションを担当。その後、複数のブランド開発を担当し、2012年より「未来をつなぐ夢はさみ」を担当。現在は、フィールド活動をメインに年間120回以上の講師活動で業界を活性化している。

ヘンケルジャパン株式会社
シュワルツコフ プロフェッショナル事業本部

シュワルツコフは100年以上続く、ドイツで生まれたブランド。ヘアサロンで使用する様々な商材やプロダクトを生産するだけでなく、美容師のためにセミナーやコンテストも開催しています。10年前から社会貢献活動として、恵まれないカンボジアの青少年を対象に『未来をつなぐ夢はさみ』を実施。2008年の開始以来、サロンオーナーをはじめ、経験豊富な美容師40名がトレーナーとして参加。130名の生徒たちに修了証書が授与されました。そのうち3名が美容サロンを開業、40名が美容関係に就業するなど、夢への一歩を着実に歩んでいます。

http://www.schwarzkopf-professional.jp/skp/jp/jp/home.html

鈴木 拓也 interview #2:ハサミ1本からできるカンボジアの子どもたちへの自立支援>>

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