職場の同僚からLGBTであることを告げられたら…どう対応する?
職場は男性も女性も様々な個性を持った人たちが共に働く場であり、それぞれに尊重し合いながら仕事も人としても成長していく場であるといえます。そんな職場の同僚から、自分は性的マイノリティーの「LGBT」であると告げられたら、あまりにも突然のことに驚いてしまうかもしれません。
日本ではLGBTに対する環境整備は世界的に見ても遅れているといわれ、そうした閉鎖的な職場環境がLGBTであることを公表しづらい雰囲気になっており、誰にも打ち明けられずに悩んでいる方も多いのが実情です。
もしもある日、職場の同僚からLGBTであることを告げられたら…平常心で冷静に受け入れることができるよう、気をつけるべき点について考えてみます。
■LGBT(性的マイノリティー)とは?
ここ近年になって日本でも注目されるようになったLGBT(性的マイノリティー)ですが、具体的にはどういった人の事をいうのでしょうか。
LGBTはレズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシャル(両性愛者)、トランスジェンダー(出生時に診断された性と自分が認識している性の不一致)のそれぞれの頭文字をとった総称で、これら以外の性的少数者は含まないと定義づけられています。
世界的にLGBTへの差別撤廃を求めた活動が行なわれるようになったのは1970年代に入ってからで、多くの人たちが参加してパレードなどを行ない訴えかけてきました。
日本では近年になって各都市で大規模なパレードが行なわれるようになり、LGBTに対する差別や偏見を取り除き、理解を深めてもらうための活動も広がりつつあります。2015年に行なわれたLGBT調査では、日本国内では13人に1人以上がLGBTという結果がでており、自分が努めている職場にもLGBTの人がいてもなんらおかしくはないということになります。
自分の職場にはLGBTにはいないと思い込むのではなく、ごく身近な存在として日頃から意識することが、性的マイノリティーな人々を自分でも気付かないうちに傷付けてしまうということは避けることができるはずです。
■LGBTを受け入れるために気をつけたいこと
私たちは普段、外見から「男性」「女性」を区別して接していますが、LGBTの中には外見と心の中が逆になっている人たちもいるため、固定観念で接しているうちにいつの間にか傷つけ追いこんでしまっている場合もあります。
特に何気ない言葉にも敏感なことが多く、自分がLGBTであることを打ち明けることができずにいる人の中には、会話の流れでの一言も差別やいじめとして捉えてしまう傾向も強いようです。
「男らしくしろ・女らしくしろ」といった発言や、言葉遣いやしぐさに対して「おかまじゃないのか」といった発言もLGBTからすれば精神的ダメージは大きくなりますので、何気ない会話での冗談で言ったつもりの一言が、LGBTを深く傷つけてしまうことのないように、男女を分け隔てるような発言はしないように意識することも大切です。
また、男女の異性に対する好みのタイプを聞いてみたり、結婚について触れた会話などもLGBTからすれば対応に困る場合もありますし、こうした質問などはLGBTでなくても職場内ではセクシャル・ハラスメントとして捉えられてしまう場合もあります。
LGBTなど性的なマイノリティーでなくても、自分もいつどのような理由でマイノリティー側になるのかは誰にも予想がつきません。
多数派の考えや意見が絶対的に正しい、ごく当たり前のことだと思い込むのではなく、職場には様々な個性や事情を持った人たちが共に働いているということを意識して、普段の自分の言動から見直していく必要があるといえます。
■LGBTをカミングアウトされた瞬間の対応について
日本でもLGBTへの理解が深まりを始めている中、実際に職場の同僚にLGBTであることをカミングアウトされた瞬間、どのような対応をすればいいのでしょうか。
実際に自分がLGBTだと職場の同僚にカミングアウトした人の場合、周りの同僚は案外冷静に受け止めてくれて「そうだったのか」といったあっさりとした反応で、逆に拍子抜けしたという人もいるようです。職場の同僚にLGBTであることをカミングアウトすることは、ノーマルな人からは想像もできないほどの勇気が必要となります。
普段から人それぞれに個性があり、性に関することにも多様な存在がいるということを意識していれば、同僚からの突然のカミングアウトにも動揺することなく、ありのままを受け止めて接することができるはずです。
職場で自分がLGBTであることをカミングアウトする人たちも増え、これまでその人に対して抱いていた不自然さや疑問なども解消することができ、返って職場の雰囲気が良くなったという報告も挙がっているようです。
LGBTへの理解や職場の環境整備は、世界的にみるとまだまだ遅れている日本ですが、LGBTである本人たちが勇気を出してカミングアウトしていくことで、どんな人たちでも働きやすい職場環境を整えるきっかけとなり、LGBTに対する差別や偏見といったことも次第に解消されていくことでしょう。
文/sapuri