藤村 岳 interview#2:美容意識の格差を認識しないと男性のスキンケアは道を迷う

男性美容の需要が高くなれば、当然ながら各メーカーやブランドからプロダクトが発売されます。商品が増えれば、消費者は何を選んでいいのか分からなくなってしまう……。そんなときこそ、商品の特徴を分析してパーソナライズできる男性美容研究家が必要なのだと藤村岳さん。アドバイザー的役割がいてこそ、男性美容はもっと活性化すると言えそうです。

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清潔はスタートライン。汚いのはもちろんのこと、やりすぎてもNG!

――今、男性美容について、希望なり不満なりというのはお持ちですか?
「男性の美容をひとくくりにして語るのはナンセンスだと思っています。美容意識には格差があるんですね。若いのか年齢を重ねているのか、どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのかによって、全然ゴールが違うし、そもそものスタート地点が異なるんです。女性の場合は、『こんな女性用化粧水があるんですけど、どうですか?』と漠然とした聞き方はしません。なぜなら、ターゲット層がきちんと分かれており、女性というだけでひとくくりにしていないから。それは男性も同じなはずなんです」

――具体的に一番大きな格差はなんでしょうか?
「一番の格差は、気づいている人と気づいていない人の格差です。グルーミングをして、身だしなみを整えることによって得るメリットって、実はそんなには大きくない。しかし、しないことによるデメリットは非常に大きいんです。男性は清潔感が大事だと、僕もよく書いていたんですけど、今では清潔感があって当たり前なんですね。それがない人は、『汚い』『クサイ』と言われて嫌われ、孤立化していくんです。日本人は面と向かってそこを指摘しないので、陰で『クサイ』『汚い』と言われるようになっていきます。そこに格差が生まれるわけです。それに気づいている人はスキンケアをやります。清潔というのはスタートラインであって、清潔が普通。まあ、度が過ぎて、キレイでいる必要ないんですけども」

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――ということは、気づいてない人はターゲットにはならない?
「そこは違うんです。気づいていない人たちにはいかに気づいてもらうか。気づいている人にはどうやってさらなる差別化を図れるか。その提案をすることが僕の役割だと思っています。日本では思いっ切り差をつけることが悪くなることもあります。出る杭は打たれるので。やりすぎる場合は逆にブレーキをかけてあげることも必要です」

――初心者、上級者みたいに使い分けて、アプローチするわけですね。
「サービスってどんどんパーソナライズされていくべきだと思っているんです。服と同じで、スーツをお店に展示されているまま着る人はいないじゃないですか。ちゃんとフィティングして足の長さにスソを合わせたり、場合によってはウエストも直しますよね。そのときに最初からキメキメのデザインを選んでしまうとやり過ぎ感がでるので、もっと『シンプルにしたほうがいいですよ』とアドバイスをする。何も気にしないでズルズル引きずっている人に対しては『それはまずいですよ』と言って、スソ上げをしてあげる。そういうイメージですよね」

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――となると、日頃からの商品情報の収集と分類が大切になってくるかと思います。
「おかげさまでいろんな商品情報や新しいサービスが優先的に入ってくるようになりました。それをどう精査し、どういう人に向けて打ち出していくかという方向性はとても重要です。僕は何度か肩書きを変えていますが、初期の頃のライター&エディターと名乗っていたときは、入ってきた情報を中継役となって読者に提供していれば良かった。インプットとアウトプットがほぼイコールだったんです。しかし男性美容研究家と名乗ってからは、山ほどある情報をよりパーソナライズするにはどうすればいいのかっていうのを考える仕事に変わってきています。つまり、情報に必ず付加価値をつけて出していくというやり方ですよね」

――付加価値といいますと?
「その人にとって必要なのか必要じゃないのか、削ってそぎ落として提案をするということでしょうか」

――コンサルタントみたいですね。
「実際、コンサルティングもしています。最近では、商社から『海外からこういう商品を入れようと思うんだけどどうだろう?』と相談されるケースもあります。メーカーさんからは『こういう商品はどうかな?』など聞かれます。そういうときも、前提として男性をひとくくりにしてはいけませんよという話はしています」

Profile

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藤村 岳(ふじむら がく)さん

男性美容研究家

出身地・東京都

大学卒業後、植物関連の雑誌・書籍の編集を行い、ハーブやアロマテラピーの知識を得る。その後、『オレンジページ』に転職し、料理、健康などの生活情報誌に携わる。そんな中、男性が読む美容記事を、ヒゲを剃らない女性美容ライターが書くことに違和感を覚えて、男性美容の道に進む。シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。総合情報サイト『All About』にて「メンズコスメ」のガイドも務めている。『Safari』『UOMO』『GOETHE』などの雑誌でも連載し、数々のテレビ番組やラジオなどの出演のほか、講演・イベントなども行う。
また、コンサルタントとしてコスメの開発にも携わる。その他、男性用コスメのマーケティングも行っている。国内外のスパを訪れ、男性が楽しめるスパ・エステについても造詣が深い。

HP http://danbiken.net/

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