上手くいったときこそ反省! オーナーが描く成長の方程式『〜ing』
地元高円寺で美容師を続けてきて23年目という畠山竜哉(はたけやまたつや)さんが経営する『~ing(カライング)』。27歳で独立して十数年、お店を始めたというきっかけや想いから、ご家族のことまで伺いました。
19歳からストイックに自分を作り続けて夢を実現
――独立されたきっかけはどんなことだったんですか?
「美容専門学校に入ったばかりの19歳くらいの時に、『30歳までには必ずお店を出す』『誰にも負けない、誰よりもうまくなりたい』っていうようなことを、毎日ノートに30ページくらい書いていました。そこには『30歳の時に“あの時あんな風に思ってたよな、ダセえよな”って思うなよ』とか、『30歳になった時は、20歳の自分の気持ちよりも“上にいけた”って思うような俺になろう』っていうことも書いてあったんです。それを毎日見続けた結果、27歳のときに店をオープンさせることができました」
――2店舗目を出されたきっかけは何だったんですか?
「1店舗目が手狭になってしまったからです。14年かかっての2店舗目です。最初の店舗で3人から初めて今は18人になりましたけど、うちの店はずっと新卒採用をしていて、イチから技術や接客、精神面なんかを教えていくので、個人としても店としても、成長に時間がかかるんです。もっとも、それがうちのスタイルなんですが、つい最近会った多店舗経営のオーナーの方がそれを3年くらいでやっちゃうのはすごいなあと感心しました」
成功したときこそ反省することで成長できる
――他店舗にして、何か変わったことはありますか?
「最近でも自分の成長は感じますよ。今は技術でも胸を張れます。去年の僕よりも今のほうがいいと感じられますし、スタッフにもそういう方程式を用いたマニュアルで根幹を指導しているので、そこからのほうが、より応用力が身につきやすいと思います。いてくれなければ仕事にならないスタッフは神様ですから、成長を見られることも大きな喜びです」
――お店の雰囲気も変わりました?
「最近は、ネットで先行して作品を発表することも増えたので、先に撮影したものがあって、それを見て来てくれるお客様も増えています。そうなると発信する作品にも気を使いますね。失敗した時って皆さん反省するじゃないですか。でもできた時ってほとんど反省しないんですね。僕は、必ずなぜできたかを説明したいので、できたと思うときほど反省するようにしています。だから人にも教えられるし、また同じようにできるんですね。僕、算数が得意なんですけど、方程式的な考え方でそれを証明したいんです」
自分の技術や経験を子どもたちにも伝えたい
――最後にご家庭のことを聞かせてください。
「以前は自分では仕事への愛情のほうが多いと思っていましたが、周りからは『家族大好きですよね』って言われていました。もちろん、家族も大好きなんですけどね。子どもたちも、もうわかる年頃なので、最近は僕の手の汚れを見て忙しかったかどうかを見ているようです。長男、次男と長女がいるのですが、できれば長男が美容師を継いでくれたらうれしいですね。その時にはカットの技術を教えたいと思っています。あんまり接する時間がないので嫌われたくなくて注意できなかったりするんですが、専業主婦をやってくれている奥さんは元同業者というわけでもないので、バンバン怒ってます(笑)。あとは毎朝、朝食を作っています。飲みに行ったりして夜が遅くなることもありますが、なるべく朝食の時に子どもたちと接する時間を作っていますね」
Salon data
~ing(カライング)本店
東京都杉並区高円寺北3-33-14 小笠原ビル1F
03-5356-8770
http://kouenji-ing.com/
1年半前からタバコをやめた分、お酒が進んでしまうという畠山さん。元々太りやすい体質なのでお昼を抜くこともあるそう。高円寺という土地柄おいしいお弁当屋さんやランチのお店も多いので、新しい試みとしてスタッフには50分の休憩をとって外へ食べに行くように言っているそうです。