永谷知也さん

トレンドを創る人Final カメラマン・永谷知也さんの“美容師の愛し方” #1

2017年6月からリポートしてきた『トレンドを創る人』もいよいよファイナル。記念すべきラストランナーは、フォトグラファーの永谷知也さんです。
ご存知のように、著名なサロンを中心に結成されたユニット『TOKYO BLEND』(東京ブレンド)の発起人の一人で、カリスマ美容師世代からその次の世代、そして現在までと、ファインダーの内と外から美容界と美容師を見つめてきた一人。
彼の提案で、それまでの定点観察的だったヘアスタイル撮影が劇的に変わったとも言われています。永谷さんのカメラマン人生を変えたとも言うべき、美容師たちとの出会いをクローズアップします。

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雑誌界一、美容師に近いカメラマン

――カメラマンの中でも永谷さんほど美容師と身近に接している人はいないですよね?
「そうですね(笑)ちょうど僕がカメラマンとしてデビューした頃、女性誌でのヘアカタ撮影がピークで、自分の撮ったヘアスタイルが月に300体とか雑誌に掲載されていましたからね。
もともと僕の師匠(will creative山川 勉氏)が美容を中心に撮っていたこともあって、デビュー当初から、いわゆるカリスマ美容師と呼ばれる宮村(浩気)さんや小松(利幸)さん、森内(雅樹)さんやCHIKAさんたちとたくさんお仕事をさせていただく機会があって。そのうち、その下の世代(カリスマJr.)の人たちとも自然に仕事をするようになったんです。
当時は赤文字4誌(Can Cam、JJなど)やar(アール)、Saita、Myベストヘアやヘア&ビューティなど、ヘアスタイルが主流の雑誌やヘアカタログ誌で本当に毎日のように撮影があって、僕と同世代の美容師と一緒に撮影をしていました。
徐々に仲良くなって、中でも(現U-REALMの)高木裕介さんとか(GARDENの)河野悌己さんと、月曜・火曜など彼らの定休日には、撮影が終わった後、昼間から一緒に飲んだりして(笑)本当にいろんなことを話しました。
当時はみんな20代だったので、これからのこととか、後輩をどう育てるかとか、どうやったら有名になれるかとか(笑)話し込みすぎて、朝になっていることもしばしばでした」

永谷知也さん
それまでのヘアスタイル撮影では誰も思いつかなかった“座らせて撮る”を先駆けて実行した永谷さん。セミナーを始め、イベントの舞台上での“ライブ”撮影はすっかり名物企画に。

カリスマからJr.世代へ「下剋上」が起こった!?

――いわゆるカリスマ美容師ブーム「後」、ヘアカタの世界が一変しましたよね。
「それまではヘアカタの扉ページはカリスマの先生方の作品が載るのが当たり前でした。これからはキャリアに関わらず、純粋に可愛いスタイルを大きく1ページ大で載せようと、ヘアのライター達が変え始めたんです。
ちょうど2004~2005年くらいだったと思います。撮影前にライターがつくるコンテ(ページ構成の設計図的なもの)がヘアカタに限ってはなくなり、撮影するまで誰がトップページに来るかわからない“出たとこ勝負”方式に変わっていったんです」

――時代がカリスマ美容師Jr.世代に移行して、一種の下剋上が起こったというわけですね。
「僕がデビューしたときは正面、サイド、バックと“定点観察的”なバストアップ撮影が当たり前だったんですが、ファッション誌なのにファッションとヘアがかけ離れている撮り方って何か違和感あるよね、と、僕と美容師、ライターとで話し合って、撮り方も見直しました。
モデルが微動だにしないので、どれも同じ雰囲気に見えたし、写真のうまさでなかなか勝負ができない(苦笑)。ライティングを組んでピントを合わせてシャッターを押すだけの毎日が嫌で、何とかもっといい写真を撮りたいと、寄ったり引いたり、座らせたり振り向かせたり、モデルのポーズを工夫しました。ファッション×ヘアというのは今ではもう当たり前ですが、そのときはまだ走りでした」

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美容の世界へどっぷりとのめり込む

「そのうち新雑誌でヘア特集をするときに、どの美容師に仕事を頼めばいいか、キャスティングの相談をされるまでになっていきました。あらゆる雑誌で毎日のように、そのとき勢いのある美容師と仕事をしてきましたからね。
ボブテーマならこの人、アレンジならこの人など、誰がどのジャンルが得意かわかっていましたから。同時期にカリスマの先生方が、美容業界誌の撮影にも推薦してくださるようになって、作品はもちろん、カットのプロセス(テクニックのコマ撮り)もたくさん撮らせてもらいました。
最初はその速さにまったくついて行けなくて、いちいち手を止めてもらっていたんですが、今は止めてもらわずに撮れるようになりました。宮村(浩気)さんとか、全然止まってくれないですからね。それだけ信用されているんだと勝手に思っていますが(笑)今ではライターさんが写真だけ見ても書けるくらい、流して撮れるようになりました」

こうしてどっぷりと、美容の世界にハマっていった永谷さん。次回、第二弾では美容師とのディープな交流から始まった、新たな世界についてお送りします。お楽しみに!

永谷知也さん
インスタグラム『月刊永谷』からの1コマ。昭和レトロたっぷりなコインランドリーでの撮影。ヘア=榊原章哲 メイク=MAO(Garland)モデル=鈴木凪沙

取材・文/山岸敦子
撮影/永谷知也(作品画像提供) 内田龍(ステージ)

Personal Data

永谷知也(ながたに・ともや)

日本の雑誌・広告界で長年にわたり、数多くのフォトグラファーを輩出してきたwill creativeに所属。15年にわたって主にファッション誌のビューティ特集に携わり、2012年には美容師とともに『TOKYO BREND』を立ち上げるほど、美容師と身近なカメラマンの筆頭に。
SNSも評判で、インスタグラムのフォロワー数は、1万6000人を超える。(※取材当時)
https://www.instagram.com/t.nagatani/

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