シバタロウ interview #1:指名度ダントツ!人気ヘアメイクヒストリー「学生時代編」
蛯原友里さんを始め、多くの人気モデルやタレントのヘア&メイクを手がけ、ヘアサロン「P-cott(ピコット)」も経営する柴田洋一郎さんことシバタロウさん。そのぽっちゃり体型と人なつっこい笑顔を人気モデルたちのインスタグラムやブログで見たことがある「モアリジョブ」読者も多いでしょう。
そんなシバタロウさんですが、超理系の大学附属の高校に進学したにもかかわらず、美容学校に進路を変えた異色の経歴を持ちます。しかもヘアメイクになりたての頃は今、思い出すと笑っちゃうほど生意気だったとか。
今年50歳になったシバタロウさんに、今日までの“歩み”を語ってもらいました。その頑張りや自分への厳しさには、多くの学びが隠されていますよ。
内弁慶でコミュ障だった小学生時代
1967年4月24日埼玉県春日部市。秤(はかり)を作る工場や店舗を経営する父と専業主婦だった母の元、3人兄妹の長男としてシバタロウさんは生まれます。内弁慶で、外に出るととにかくおとなしかったといいます。
「自分でも小学1年生のときに、すでに人とちゃんとコミュニケーションが取れないことはわかっていました。とにかく外に対して、自分の殻が破れないんですね。でも、このままじゃ人生おもしろくないよなぁということもすごく自覚していた気がします」
そんなシバタロウ少年が5年生のとき、東京から転校生がやってきました。その転校生は、今まで回りにはいなかった元気で垢抜けた少年。クラスの空気も明るく華やかに変わったといいます。
「ぼくにとっても彼の登場は、衝撃的でした。あぁ、世の中にはこういう子がいるんだなぁ!と。だから自分も今、ここで振り切って変わらないと一生『人見知りでおとなしい柴田くん』で終わっちゃうだろうなと思ったんです」
推薦を蹴って、美容学校へ進学
そして変わったシバタロウ少年。中学では野球部に入り、活発な日々を過ごします。高校は理系大学附属校に進学。家業をいつか継いでくれるだろう、という父親の期待もあっての進学でした。ところが……。
「非常勤講師の先生で、ゲイをカミングアウトしているちょっと変わった先生がいたんです。その先生が授業の中で『世の中には大学に行く必要がある職業と行く必要がない職業がある。自分がつきたい職業があるならば、その仕事に大学が必要か、必要じゃないかをよく考えた方がいい』と言ったんですね。そのとき、まだぼくは将来の仕事を決めきれていなかったのですが、その話を聞いて『自分がつきたい職業って何なんだろう?』と考えたとき、なぜか迷いもなく直感的に“美容師”と決めたんです。理由なんてなかったですね」
ずっと野球部・丸坊主で過ごしたシバタロウ少年は、部活を引退して“髪の毛”に興味を持ち始めます。そして美容師になる!と決めて初めて“美容室”なるものに足を踏み入れました。ところがこの決断に、「家業を継いでくれる」と思っていたお父さんは、相当渋ったといいます。
「母親は、家業を継いだところで将来はないと思っていたらしく大賛成してくれましたが(笑)。だから父に納得してもらうためにも、大学進学の推薦をしてもらえる以上の成績をとったうえで美容学校に行く約束をしました」
「人と違うことがカッコイイ!」そう思っていた
美容学校時代、「目立つことしか考えていなかった」と笑うシバタロウさん。そして美容室も春日部ではなく、東京のサロンに通うように。
「髪型は常に最新。服も人と絶対にかぶらず、人と違うものを着る。この2つは当時のぼくにとっては絶対でした。“人と違うこと”が垢抜けてかっこいいことだと信じていたので、リュックサックにもハンドメイドのオリジナルアクセサリーをつけたりなんかして……電車の中で、『それいいですね!』なんて声をかけられたりしたもんなら、もう鼻の穴がふくらむほどうれしかったです(笑)」
とはいえ、授業態度は誰よりも真面目。
「やはり父の期待を裏切っての進学でしたからね。逃げ場もないし、後戻りもできない。だから無遅刻無欠席なんて当たり前。1年通いましたが、全力・フル稼働で課題には取り組みました」
「基本的にぼく、器用なので、美容学校に入るまで、あまり苦労をしたことがなかったんです。絵も作文もやれば賞をもらえた。だから『人より何事もできるんだな』とうぬぼれていたんです。ところがいざ美容学校に通ってみると、編み込みすらできない!そもそも男子校だったので、女の人の頭を触ることすら初めて。自分が不器用だということを突きつけられて、衝撃でした」
「でも努力って、本当に大切です。練習を積み重ねれば、絶対にできるようになるんです。あ、でも和の髪型だけは最後までどうしても追い越せない人が学校の中にいて、それで“和髪”はぼくの美容師人生から捨てました(笑)」
後半の#2は、社会人になってからのお話です。ぜひ、読んで下さいね。
取材・文/児玉響子
Profile
柴田洋一郎さん
ヘア&メイクアップアーティスト。東京・渋谷にある美容室「P-cott(ピコット)」代表。ナチュラルメイクとスタイリングに定評があり、多くの人気モデルやタレントから指名が絶えない。プライベートでは、ラーメンと『スターウォーズ』が大好き。
P-cott(ピコット)
東京都渋谷区神南1-13-10
03-5456-4941
インスタグラム:shibatarosun1
P-cott Twitter:https://twitter.com/p_cott
HP:http://www.linxlinx.com/index.html
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