セラピストの専門用語事典ま行

セラピストとして働くならば、しっかりと身に付けておきたい業界用語。今回はセラピスト専門用語の「ま」行をお送りします。

マインドコントロール

マインドコントロール(Mind Control)とは、情報や思想をコントロールして、他人から意思決定する自由を奪い、意のままに操ることです。1993年にある団体を脱会した女性が記者会見で「マインドコントロールされていました」と発言し、同日別の脱会者がマインドコントロールの恐怖に関する本を出版したことで、この概念が広まりました。洗脳(Brain-Washing)とよく混同されますが、洗脳が暴力的な方法を用いて強制的に新たな価値観を植え付けるのに対し、マインドコントロールは巧みに心理操作を行い、本人も気づかないうちに新たな価値観を生み出していきます。さらに、本人に強制されている自覚がないため、支配下を脱しても元の状態に戻ることは困難で、治療に長期間を要します。

マイクロカウンセリング

マイクロカウンセリング(Micro Counseling)とは、1960. 年代アメリカの心理学者アレン・E・アイビイらによって考案されたカウンセラーの訓練プログラムです。既存のカウンセリングや人間関係の研究から編み出された「クライアントとの接し方」、「開かれた質問と閉ざされた質問を組み合わせた質問」、「うなずきや応答時間の長さで励ましを示す方法」、「クライアントの語った言葉をまとめて繰り返す要約」など12の技法を階層表として構成したものです。マイクロカウンセリングは、いわばカウンセリングの基本モデルと呼べるもので、カウンセリングにおけるさまざまなアプローチをひとつひとつ習得することができます。また、近年では心理学の分野だけでなく、教育、医療、企業などにおける人間関係の訓練にも応用されてきています。

ミード

ミード(George Herbert Mead)とは、アメリカの社会心理学者の一人であり、シンボリック相互作用論の父として知られています。シンボリックとは象徴的という意味であり、シンボリック相互作用論とは人間はあらゆるものに意味や象徴を付与して、それに則って行動すると提唱する理論です。また、ミードは人間の「理性」がIとmeとの対話であると考えたことでも有名です。 1863年2月にマサチューセッツ州で生まれたミードは、16歳でオバーリン大学に入学し、ギリシア・ラテンの詩と文学を好んで学びました。24歳でハーヴァード大学に編入した彼は、哲学と心理学を専攻し、中でもデューイ哲学を高く評価したといわれています。一方、デューイもミードの社会心理学の理念を受け継いでいます。

無意識

無意識(Subconscious)とは、意識がない状態または自覚できない心の領域を意味します。西洋において無意識の概念を生み出したのはスイスの精神科医・心理学者であるユング(Carl Gustav Jung)です。わずか数パーセントしかない意識とほとんどの部分を占めている無意識が互いに補いあって、心のバランスを保っているといわれています。忘れてしまいたい記憶や失敗、叶えられない願望などが無意識層に抑圧されており、これが夢となって現れてストレスを解消してくれます。また日常生活においては、無意識部分が自分自身の行動、思考パターンとして影響を与えることがあるのです。また、そのような無意識からのメッセージをくみ取ることで人間として個性が生まれ、成長することができます。

メディカルアロマ

メディカルアロマとは、NPO法人日本メディカルアロマテラピー協会が提唱しているフラン式のアロマセラピーのことで、精油の力を使用して、体調を改善する代替療法です。1928年にフランスの調香師ルネ・モーリス・ガットフォセが、実験中に負った火傷をラベンダーの精油で治療したことがメディカルアロマの始まりです。日本でも古くからアロエなどの薬草を素肌に塗ってその成分によって治療を行ってきました。 イギリス式のアロマセラピーではリラックスすることに重点が置かれています。一方、メディカルアロマの場合は、脳の「やる気」や「記憶」などを司る部分に働きかける精油を使用して、不眠症の緩和や自律神経のバランス不調に由来するうつ病の予防に役立てられると注目されています。

メリッサ

メリッサ(Melissa officinalis)とは、ヨーロッパ南部に広く分布するシソ科の多年草です。メリッサとは、ギリシア語ではちみつを意味し、夏の終わりに蜜を持った小さな花を咲かせるこの花は、蜜源植物として珍重されていました。シトラールを含む葉から放たれる爽やかな柑橘系の香りが特徴的で、レモンバーム(Lemon balm)とも呼ばれています。 レモンバームには抗うつ作用があります。また、レモンバームのハーブティーやその精油には落ち込んでいる気分を高揚させて、さらに記憶力を高める作用もあるのです。ただし、レモンバームは採油率が極端に低いため、レモングラス、レモンバーベナ、レモンなどの精油をブレンドして販売されることがあります。偽物も相当多いため、アロマセラピーに利用するには注意が必要です。

メンタルヘルス

メンタルヘルス(Mental Health)とは、世界保健機関によると、精神的に健康であり、かつ、自身の可能性を実現し共同体に十分に貢献できる状態のことです。わかりやすくいうと、精神面における健康のことで、「精神的健康」「精神衛生」とも呼ばれています。いかなる時代においても、精神的に不健康な人が成人人口の約1割存在します。しかし、精神的な不健康は、生産性の低下、病欠、失職を引き起こす社会的負担です。したがって、精神的な健康は基本的人権であるため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健法)が制定されています。 「遅刻や早退が多くなった」「仕事上のミスやトラブルが多くなった」「感情の起伏が激しくなった」といった症状が見られる場合、メンタルヘルス不全に陥っている可能性があります。

燃え尽き症候群

1970年代半ばからアメリカで着目されている燃え尽き症候群(Burnout)は、持続的な職業性のストレスによって引き起こされる意欲の喪失、情緒不安定、人生に対する慢性的な不満、疾病に対する抵抗力の低下などの衰弱状態のことです。つまり、献身的に努力し続けた人が、あるきっかけでモチベーションを維持できなくなり、虚無感に囚われてしまう症状です。ドイツ人の精神分析学者ハーバート・フロイデンバーガーによって提唱されました。たとえば朝起きられない、会社または職場に行きたくない、お酒の量が増えるといった症状がみられます。頑張れないときにはしっかり休んで、楽しむ感情を思い出すことで、徐々に状況を改善することができます。

妄想性パーソナリティー障害

妄想性パーソナリティー障害(Paranoid personality disorder)とは、猜疑性パーソナリティー障害とも呼ばれるもので、何ら理由なく不信感や被害妄想に囚われる症状です。20代で最もかかりやすく、女性患者よりも男性患者の方が多くいます。普通の人であっても不信感や被害妄想を抱くことはあります。しかし、妄想性パーソナリティー障害にり患していると他人の拒絶や怒りに過剰に反応し、時には物事を歪曲して捉えることがあるのです。 基本的な治療方法はカウンセリングであり、他人への強い不信感を理解していきます。もっとも、カウンセラーを自分のことを低くみる敵と捉える可能性があり、反発が予想されるので注意が必要です。その他の症状が重い時には抗精神病薬、抗不安薬などで治療を行います。

モデリング

モデリング(Modelling)とは、憧れの人や理想の人の行動を観察し、その行動や言葉遣い、ファッションを真似ることで理想的な自分自身を手に入れる方法です。ドラマの登場人物の持ち物や服装を真似ることもモデリングの一種です。また、人間以外の動物にも見られることで、たとえば、猿が他の猿がペットボトルのふたを開けているのを見て、自分も同じようにペットボトルのふたを開けることがあります。 誰しもが子どもの頃から知らず知らずのうちに採り入れている方法であり、簡単に実践できます。自分で成功法を見つけるよりもはるかに短時間で成功法を見つけることが可能です。まず、真似をしたい人を見つけて、その人の行動をよく観察し、採り入れるべき点とそうでない点を選別し、必要なものだけを真似します。

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