森田敦子 interview #2:フィトテラピーで広がる健康の輪
風邪の気配がしたらタイムを煎じ、キッチンでやけどをしてしまったらラべンダーの精油を塗る、フィトテラピーはさまざまな薬草を用いて不調を緩和する伝統的な自然療法です。そんなフィトテラピーを日本に広めた第一人者が森田敦子さん。『ルボア フィトテラピースクール』の代表として身心ともに健康になる方法を伝えており、多くの生徒さんの不調を改善しています。
今回は、森田さんがフィトテラピーに出会った経緯や、生徒さんにどのような変化が起こるかなどについて伺いました。後編では、フランスで感じた健康についての考え方の違いや今後の目標について語っていただきます。
薬に頼らず、予防することの大切さ
――フランスと日本で、健康に対しての考え方の違いはありましたか?
「日本では不調になれば病院に行き、薬と注射で治療すればよいと考えている人が多く、“病気になることは当たり前”という雰囲気を感じます。実は、世界の80%の薬を日本人が飲んでいるとも言われているほど薬に頼っているんです。一方フランスでは、日常生活から薬草を摂る習慣があり、無農薬野菜が気軽に手に入る環境が整っているなど、毎日の食事から真剣に健康について考えています。痛みや熱などは、意味があって症状が出ていますから、それを薬で無理やり抑えていては病気の根本の理由はわかりません。病気になる前にきちんと予防することが大切なんです」
フィトテラピーによって起きる驚きの変化
――フィトテラピーを学んだ生徒さんには、どのような変化が起こりますか?
「不妊で苦しんでいる生徒さんが自然妊娠したり、むくみや冷え性、慢性頭痛が緩和したりと、さまざまな方の不調が改善しています。実は、いまスタッフとして働いている南上ももともと、不調で悩んでいた生徒のひとりでした。彼女はストレスが原因で20代の前半で、若年性の更年期障害になり、体調を崩し生理も止まっていたんです。そこで、私が主宰するスクールに通い始め、薬草学をはじめ、眠りや運動、食事についても学び生活を少しずつ改善していきました。すると1年ほど止まっていた生理が戻り、また常に鬱々としていた気持ちにも変化が起こり積極的に外出して人と会えるようになったんです。そして、自分と同じように苦しんでいる人たちにフィトテラピーの素晴らしさを伝えたいという思いからスタッフになり、いまは健康を広めるためにともに活動しています」
ひと家庭にひとつ“緑の薬箱”を
――最後に、今後の目標を教えてください。
「フィトテラピーをもっと広め、彼女のような心身ともに健康な女性を増やすことです。また、薬草をはじめ副作用のないものが揃った“緑のくすり箱”が、それぞれの家庭に置いてあるようにしたいですね。そのために、日本全国に学校を作り、学べる環境を増やしたいと考えています。ちなみに、スクールには医療従事者の方も多く、医療に近い環境にいるはずの方々でも、不調で苦しんでいる現状があるんです。もちろん、薬で治すことも大切ですが、病気の予防法を学び未病を防ぐこともそれ以上に大切だと思いますね」
現在の社会構造のなかで女性がハッピーに生きていくのはそう簡単ではないと言う森田さん。「健康の第一歩としてフィトテラピーを学び、知識を身に付けた方が家族や恋人などまわりの人にも伝えて、健康の輪を広げていってほしい」と語ってくださいました。これからも、ますます森田さんの活躍の場は広がっていくことでしょう。
Profile
森田敦子さん
ルボア フィトテラピースクール代表、植物療法士
フランスにおいて植物薬理学、フィトテラピーを学ぶ。女性がイキイキと生きられる社会の実現を使命として、フィトテラピーを生かした製品「アンティーム オーガニック」「インティメール」の開発、フィトテラピストの育成に力を注ぐ。著書に『自然ぐすり』『潤うからだ』(ワニブックス刊)、『自然のお守り薬』(永岡書店)がある。
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