ちゃんとできてる?『ポジショニング』というビジネスマナー
社会人になると、電話の受け答えやメール・FAXなどの送り方、挨拶の仕方など覚えなきゃいけないビジネスマナーはたくさんありますが、意外と忘れがちなのが「ポジショニング」。エレベーターの立ち位置や、車に乗るときの席順のルールなど、知らなかったり間違えたりすると、マナーを知らない人だなと思われると同時に「社員教育ができていない会社だな」と思われてしまいます。ひとりひとりが会社の代表になったつもりで、スマートなマナーを身につけましょう。
エレベーターのマナーとは?
日々、何気なく利用しているエレベーターですが、実はいろいろなマナーがあります。
1.エレベーターを待っているときには扉の正面に立たない
…当たり前のことですが、降りる人のジャマになるので扉の左右どちらかに立ちましょう。
2.エレベーターが到着したとき
…上司やお客さまが一緒のときには、扉を押さえて「お先にどうぞ」と言い先に乗ってもらいます。最後に自分が乗ってから操作パネルの前に立ち、ボタンの操作をしてください。
3.エレベーターの中の順番
…エレベーターは奥が「上座」、操作パネルの近くが「下座」だと覚えておきましょう。ドアから向かって左手奥が1番、2番目が右手奥、3番目が左手手前、4番目が右手手前(操作ボタンの前)となっています。操作ボタンがドアから向かって左にある場合は、3番目が右手手前で4番目が左手手前となるのです。
4.降りる時には「開く」ボタンを押しながら「お先にどうぞ」と声をかけ先に降りてもらいます。
エレベーター内のNG行為
上司やお客さまと一緒のときに、エレベーターの中で手持ち無沙汰だからとスマートフォンを見るのは失礼な行為です。また、メールや電話がかかってきても後で対応するようにしましょう。また、親しい上司やお客さまの場合は気がゆるんでいろいろな話をしてしまいがちです。当たり触りない程度の会話にとどめましょう。
車内の席次マナーとは?
上司やお客さまとともに会社の車やタクシーで移動するときには、どのような順番で座ればいいのでしょうか。
- タクシーの場合…運転席の後部座席が上座になります。その次に、助手席の後部座席→後部座席の中央→助手席の順番になります。上司が複数いる場合は、役職の高い人からこの順番で座ってもらいましょう。
- 運転手が会社の人間の場合…運転手が上司や先輩など会社の人間の場合は、助手席が一番の上座になります。その次に、運転席の後部座席→助手席の後部座席→後部座席の中央という順番になります。
会議室の席次とは?
会議室や応接室などに上司やお客さまと通すときにも、席次には気をつけてください。基本的には、部屋の中央にテーブルがある場合、出入り口から向かって左手の奥が一番の上座になります。お客さまが3人、会社側が3人の場合、出入り口に向かって左手がお客さま側になります。そして役職順に、左手奥の上座→左手中央→左手手前の順番になります。会社側は右手になり一番奥から役職順に座ってください。
ただし、上記の順番はあくまでも原則です、たとえば、出入り口に向かって左手に大きな窓があり庭を眺められるような場合は、景色を眺められる右側が上座になります。お客さま側は、右手の奥→右手の手前の順番で、会社側は、左手の奥→右手の手前に座るよう臨機応変に変えてください。そのときには、「本来ならこちら側のお席にご案内するところなのですが、こちら側のお席のほうが庭園を眺められますので、どうそ」というようにひとこと添えるようにしてください。
お茶を出すときも席次の順番で
お茶を出すときには、一番上座のお客さまから席の順番と同様にお茶を出します。全体に柄がついている湯のみ茶碗の場合は、どんな向きで出してもOKですが、外側や内側に1か所絵柄がついている場合には、絵柄がお客さまの正面になるように注意して置きましょう。
お茶を出すときには「失礼します」と声をかけながら出しますが、プレゼンや商談が始まっているときには声をかけずに目礼だけして出したほうがいいでしょう。もし、テーブルが書類や資料でふさがっている場合には、一番下座に座っている社員に「お茶をお出ししてもよろしいですか」と声をかけてください。置き場所の指示をしたり、「休憩しましょう」などと声をかけてくれるでしょう。
食事をする部屋での席次とは?
- 床の間のある和室の場合…床の間の前が最上位の上座になります。床の間の前→出入り口から向かって右手奥→左手奥→右手手前→左手手前の順番に座ってください。
- 円形テーブルの場合…出入り口から一番遠い奥の席が最上位の上座になります。そして、右手奥→左手奥→右手手前→左手手前→出口に一番近い上座の対面の順番で座ってください。
お店で接待などをするときには、お店の人が誘導してくれることもあります。けれども、ひとりひとりを誘導してくれるわけではないので、マナーにのっとった正しい席次が頭の中に入っていれば、スマートにお客さまを上座にうながすことができるでしょう。
文/sapuri