『切り傷・擦り傷』の医学的な話。仕事中の思わぬケガ #2
擦り傷や切り傷を負ってしまった。その時まずは擦り傷や切り傷で病院へ行くべきか、はたまた仕事場・自宅でなんとかなるものかを判断しなければなりません。大抵は自身で対処できることも多いものですが。
やっぱり心配 こんなときは迷わず病院へ行こう!
それでもやっぱり病院に行くべきケースはあります。それは、深い擦り傷・切り傷の場合や、大きな傷だったり、動物に噛まれた場合、汚染が心配な場合、化膿している場合、血がなかなか止まらない、異物や死んだ壊死組織(えしそしき)がある傷、血の流れが悪い、糖尿病や動脈閉塞症など傷の治りが悪くなるような持病を持っている、 免疫力を低下させる薬を処方している場合、むくみやはれがある場合などなどです。
ドライよりモイストがおすすめ!それにはこんな訳があるんです
昔の人たちは、擦り傷や切り傷は、乾かせば治ると思っていました。それがドライヒーリングという方法です。逆に現在ではモイストヒーリングの方法が主流となっています。それは跡や傷を残さない方法と言われており、女性の人たちは必読です。
湿潤療法(しつじゅんりょうほう) をモイストヒーリングと言います。傷からは、滲出液(しんしゅつえき)が出て来て、傷口を覆ってくれています。その状態を保ち、滲出液の中に含まれている細胞培養液を利用して、本来からだが持っているはずの自然治癒力で皮膚をもう一度再生しましょうという方法です。この方法の場合、傷口を乾かして、かさぶたを作ってしまうことはデメリットになります。
一方ドライヒーリングでは、傷口が空気に触れ浸出液や血が乾き、かさぶたを作って治していきます。新しい皮膚の下に上皮細胞がもぐったまま傷を治してしまうことになり、傷が凹んだ状態になりやすいと最近では言われています。治りが遅いとも言われます。
モイストヒーリングは滲出液が常に潤った状態で、自然に治癒してくれる力を最大限に生かしてくれます。傷を治してくれる細胞に自由性があり表皮をスピーディーに再生しようとしてくれます。
様々な効果あり! モイストヒーリングにもかかせない絆創膏
現在では液状絆創膏というものもあり、サージカルテープ、粘着包帯、伸縮性粘着包帯など様々な種類のものが販売されています。一般的に一番身近なモノといえば、救急絆創膏ではないでしょうか。
救急絆創膏には更に傷に当てるパッドがついたもの、モイストヒーリングを行う創傷被覆材(そうしょうひふくざい )、血を固めるタイプなどいろいろ種類があります。傷口の乾燥を防ぎ、清潔に保ってくれて新しい傷ができてしまわないように良い効果を発揮してくれます。
頼もしくて身近な救急絆創膏 貼るときも剥がすときも丁寧に
一般的な救急絆創膏は、中央に傷に当てるパッドがついている頻繁に見かけるものです。パッドには、アクリノールや塩化ベンザルコニウムと言った殺菌消毒薬が含まれています。
救急絆創膏を使用する場合、中央からそっと貼るようにします。引っ張りすぎてしまえば皮膚に負担がかかって、かぶれの原因となりますので注意をしてください。剥がすときも、角質まで一緒に剥がしてしまわないようにゆっくりと剥がすようにしてください。
傷を保護するという意味で、ちょっとした擦り傷、切り傷という場合でも使用することをおすすめします。創傷被覆材(そうしょうひふくざい )も、絆創膏の一つであり、モイストヒーリングで使用されるものです。以前では、医療機関で使用するのが主流だったのですが、最近では湿潤療法の意識が格段に広まり、市販でも購入できるようになりました。
病院に行く前にできること 擦り傷や切り傷にも「応急処置」を
一番ベストな方法はといえば、万が一のことを考えて、医師に診せることかもしれません。しかしそれでも、医師に診せるまでの間しなければならないのが、「応急処置」です。実際に、応急処置がしっかりできなかったために命を落としてしまった人たちもいます。擦り傷や切り傷だから大丈夫と決して思わないでください。
目の前に、同僚が怪我をして顔をゆがめているかもしれません。そのようなとき周囲の人たちは積極的に応急処置をしてあげましょう。
文/sapuri