茂木賢太 interview #1:自らの髪を切り、腕を磨いた学生時代
“オタクのオタクによるオタクの為の美容室”を目指し、2016年に秋葉原でオープンした『OFF-KAi!!』。店内には、2000冊の漫画が並び、3000曲のアニメソングが次々にかかり、スクリーンには可愛いらしいキャラクターの映像が流れます。
そんな個性的なサロンのオーナーは、自身もオタクだと語る美容師の茂木賢太さん。いったいどのように、オタクにウケる美容室『OFF-KAi!!』を作りあげたのでしょうか?前編の今回は、ハサミを手に働くオタク、茂木さんがアニメにハマったきっかけや、美容師に興味を持った経緯について語っていただきました。
自分で髪をカットしていた学生時代
――まず、アニメにハマったのはいつ頃でしょうか?
「どっぷりとアニメの世界にハマったのは、21歳の頃です。小学生から高校までは、それほど熱心にアニメを観てはいませんでしたね。しかし、社会人になり、趣味が欲しいと思っ
ていたところ、友だちから深夜アニメを教えてもらったんです。それがきっかけで、一気に好きになりました。ちょうどニコニコ動画などが現れた頃で、インターネット上でアニメが観やすくなったことも夢中になった理由かもしれません」
――なるほど。美容師には、学生の頃から興味がありましたか?
「ありませんでしたね。高校は工業高校で、専攻は電気科でした。進学した理由は、母に“電気関係の仕事は将来もなくならない”と言われからです。そのときは、自分が何をやりたいのか、わかっていませんでしたね」
――美容師に興味をもったのいつでしょうか?
「高校3年生のときです。就職活動があまりうまくいかず、“このまま就職をするよりも手に職をつけた方が向いているのでは?”と思ったことがきっかけでした。ちょうどそのタイミングで、幼馴染が美容学校に行くことを知ったので、僕も行ってみようと」
――ちなみに、学生の頃はどんな髪型をしていましたか?
「当時好きだった芸能人の髪型をマネした無造作ヘアです。学生時代は美容室へ行かず、自分で髪を切っていました。というのも、小学生の頃に床屋でスポーツ刈りにされ、苦い思い出があったんですよ。それ以来、すきバサミを使いお風呂場で鏡を見ながら切るようになりました。高校のときは、耳が出る長さの髪型という校則を守りつつ、工夫して自分でカットしていましたね」
緊張した美容室デビュー
――美容学校時代で、とくに印象に残っているできごとはありますか?
「1年生のときに初めて美容室に行ったことです。自分が卒業後に働くサロンを探すという就職活動も兼ねていたので、電話で予約をするときからとても緊張しました。そのときの経験もあり、美容室の緊張感が苦手という方の気持ちがよくわかります(笑)」
お客さまに“秋葉さん”と名付けられたサロン勤務時代
――卒業後は、どのように美容師として腕を磨きましたか?
「より早く実践力を身につけるために、スタイリストデビューまでの期間がほかの美容室に比べて早い、自由ヶ丘にあるサロンに勤めました。普通の美容室であれば、4~5年かかると思いますが、そこの美容室では3年目にはスタイリストデビューをすることできました」
――サロンに勤務していた当時の思い出を教えてください。
「若い女性のお客さまに、“秋葉さん”というニックネームをつけてもらえたことが心に残っています。僕が、アシスタントとして対応したときに、アニメの話で盛り上がったんです。“まさか、自由ヶ丘の美容室でアニメの話ができるとは思わなかった”と喜んでくれました。ちなみに、そのサロンでは5年ほど働いていましたが、アニメの話題で盛り上がったお客さまは、その方を含めふたりだけでしたね(笑)」
社会人になってからは、頻繁に川崎の『アニソンDJバー』に通っていたという茂木さん。バーで偶然出会ったほかのお客さんと意気投合しアニメの話をすると、3、4時間があっという間に過ぎたそうです。中編では、『OFF-KAi!!』を立ち上げるまでの経緯などを語っていただきます。
Profile
茂木賢太さん
OFF-KAi!!オーナー兼スタイリスト
『東京マックス美容専門学校』を卒業後、自由ヶ丘のサロンで勤務。その後、フリーランスの美容師を経て、2012年より秋葉原のサロンで働く。2016年の10月、『オタクのオタクによるオタクの為の美容室 OFF-KAi!!』をオープン。
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