ネイリストが辞める理由は?転職を決めたあとにすべきことや退職後もネイリストを続ける場合のポイント
ネイリストは女性に人気のある仕事ですが、実は離職率の高い仕事でもあります。はじめた当初は楽しかった仕事でも、辞めたいと思うことはありますよね。理由は人によって違いますが、現代では転職も珍しいことではなくなりました。
この記事ではネイリストが辞める理由や、転職を決めたあとにすべきこと、退職後もネイリストを続ける場合のポイントについてまとめて紹介します。
ネイリストの離職率は高い
技術を磨いてプロのネイリストになったにもかかわらず、ネイルサロンで働くネイリストの離職率は高いのが現状です。一体どれくらいの割合で辞めてしまうのでしょうか。
入社して1年以内に半数以上が離職してしまうと言われている
ネイルサロンに就職したネイリストのうち、約50~80%が1年以内に辞めてしまうと言われています。
厚生労働省の令和2年度の新卒の離職状況によると、短大等卒の1年以内の離職率は16.2%、大卒の1年以内の離職率は10.6%でした。
比較してみても、離職率の高さがうかがえます。
ネイリストが辞めてしまう理由
ネイリストが退職を決意する理由は、主に「経済的問題」「人間関係」「身体的問題」の3つがあげられます。
経済的な問題|給与の安さや待遇など
ネイルサロンによって違いますが、リジョブのネイリストの求人を例に見てみると、初任給は16~24万円程度のところがほとんどです。研修期間はアルバイトと同程度の時給になるネイルサロンもあり、ボーナスや福利厚生などの待遇がよいところも限られています。
さらに、ネイリストは練習に使う道具も必要ですし、接客業として身だしなみにも気を遣わなければならないため出費がかさむことも。ネイルサロンによっては、出費の多さに対して給与が少なく、一人暮らしの場合生活を送るのもギリギリになってしまうことで、早期に挫折してしまう場合もあります。
人間関係による問題|接客や上下関係など
ネイリストの仕事は、お客様にネイルをするだけでなく、会話を楽しんでもらう努力も必要です。ネイルの技術があっても、お客様とのコミュニケーションがうまくいかずに挫折してしまったり、ストレスを感じてしまったりする人も少なくありません。
また、職場環境にやりづらさを感じてしまう人もいます。スタッフの人数が少ないため、ライバル関係になったり、お客様の取り合いになったり、上下関係が厳しいなどの理由から辞めてしまう人も多いです。
身体的な問題|体力や目の疲れなど
爪という小さなスペースに、ミスのないよう施術をするためには高い集中力が必要です。さらに、椅子に座って何時間も同じ姿勢で施術をしなくてはならないため、腰痛や目の疲労にもつながります。
施術中は集中力を切らさないように過ごさなければならないため、体力を消耗し疲労が溜まることも。そんななか、予約が続いて休憩時間が取れなかったり、休日が少なかったりするネイルサロンだと、体が限界になり退職に追い込まれてしまう人も少なくありません。
ネイリストが転職を決めてしまう理由
ひと通りサロンワークを身につけて、ネイリストとして一人前になると、現状の仕事ではだんだん物足りなくなってきます。ネイリストが仕事を辞める理由のなかには、今のネイルサロンを卒業して、上のステージを目指す人たちもいます。
ネイリストが転職を決めようと思う理由はこちらです。
さらなるスキルアップをしたいと思ったとき
客単価の安いネイルサロンで働いていると、ほとんどのお客様がクーポン利用の人ばかり。クーポン利用のお客様のメニューは料金が安い分、デザインや色数が限定されています。そういうネイルサロンで働いていると、毎日忙しいのですが、決まった作品を何度も作るだけではアーティストとしてのスキルがなかなか伸びません。
もっと自分らしい作品を作りたい、複雑なデザインにチャレンジしたいと思うと、平均単価の高い高級ネイルサロンに転職して、さらなるスキルアップをしたいと考えることもあります。
また、日本のネイルの技術は高いので、世界で活躍する人も多く、インスタなどで活躍している先輩達の姿をみると、自分も海外に挑戦したくなる人も一定数いるようです。
独立を考えたとき
貯金が貯まり、仕事を覚え、自分のお客様もたくさんついてくると、「自分のネイルサロンを持ちたい」と、ネイリストなら一度は夢見るのではないでしょうか。自分で選んだ場所や家具、こだわりのネイルを揃えてお店を作れたら楽しいですよね。
ネイルサロンによっては、就職のときに将来独立を考えていることを伝えると、独立支援をしてくれるところもたくさんあります。そういったサロンだと、一人前になると卒業して、自分のお店を立ち上げる方が多いです。
また、リピート客がついていれば、雇われているよりも収入がアップする可能性も。自分の技術に自信を持つ人は、退職して独立を考えることも多いようです。
色々な技術を学びたいと思ったとき
ネイルは流行の流れが早く、いろいろな技術がどんどん生まれています。決まった技術でしか施術しないお店だと、学ぶことができません。そのため、最新の機械や技術を学ぶためにそれを取り入れているネイルサロンに転職する人もいます。
また、ネイルだけでなくトータル的に美容を究めたくなり、美容師免許を取得することでメイクアップやヘアアレンジ、まつエクなどほかの分野の技術を習得する人もいます。ネイルとまつエクと両方扱っているようなお店だと、両方とも施術できたほうが予約も増えるので収入アップを目指せるのです。
転職を決意したときにするべきこと
今の仕事をやめようと決意したら、次にやるべきことはないがあるでしょうか。退職までにはいろいろ準備しておかなければならないことがあります。まずは、転職までの計画を立てましょう。
どのような職種でいつごろ働くのか大体のスケジュールを決める
まずは、今の仕事をやめて何をやりたいのか、いつから働きたいのかを考えましょう。仕事をやめ、無職である期間は、給料がもらえなくなります。しかし、次の仕事に資格が必要で、前職をやめてから取得する場合は、勉強をする時間が必要に。生活費を得るために、アルバイトを見つけなければなりません。
仕事をやめると失業保険がもらえるので、これをあてにしている人もいるかもしれませんが、自己都合の退社の場合はすぐに受給できません。2〜3カ月以上先にしかもらえないと思っておいた方がいいです。ハローワーク等の利用も含め、一度しっかり調べましょう。
転職するまでの間に必要なお金はしっかり計算しないと、思った以上に支出があることも。とくに独立する場合、準備期間中は収入がないので2〜3カ月まともに収入がない可能性があります。
自分に合うネイルサロンを探してみる
今のネイルサロンに不満があって転職をするのであれば、自分にあった条件のネイルサロンを探してみましょう。今は、求人サイトでも、「勤務地」「雇用形態」「オープニングスタッフ」「講師業」「主婦OK」「海外研修あり」「日曜休」などいろんな条件から探すことができます。
東京だけでも、1,000件近くネイルサロンがあります。あなたにあった条件の職場がきっと見つかるはずです。一度、求人サイトを覗いてみてください!
リジョブ:【5月版】東京都 ネイリスト・ネイルサロンの求人・転職
他業種での転職を考えるのであればスキルを活かす|アパレルやネイル商品を扱う仕事など
ネイリスト以外を希望するのであれば、スキルを活かせる仕事がおすすめです。たとえば、接客のスキルやネイルの知識は、アパレルやネイル商品を扱う仕事で役立ちます。
ネイルはファッションと同様に流行があり、トレンドのチェックは欠かせないもの。ネイリストとして身だしなみに気を遣い、接客をしてきた人であれば、アパレル業界も視野に入れるとよいでしょう。
ネイル商品を扱うお店では、基礎知識があるため、お客様に提案したり質問に答えたりしやすいです。
辞める1カ月前までに申し出る
転職を決めたからには、職場へ退職の申し出は避けられません。できる限り周りの人の迷惑をかけないよう、辞める1カ月前までには退職したい旨を申し出るようにしましょう。
労働基準法では、退職届を出した日から2週間で退職できるきまりがありますが、穏便に辞めるなら早めに伝えておくほうが賢明です。
有給休暇が何日残っているのかを確認する
休みのなかに「有給休暇」といって、給料が出る休みがあります。消化せずに残っている分があれば、退職までに使うことができます。たとえば、10日有給が残っていれば、その分の給料をもらうことができます。
ただし、有給は雇用形態や勤務年数によって日数が異なりますので、会社に事前に何日残っているのか確認しましょう。
有給を消化する場合は、出勤はしなくてもまだそのサロンの従業員です。その間はほかの会社に移ることができません。転職の際は有給の日数も計算して、転職先に伝えなければいけません。
ネイリストを続ける場合のポイント
今の職場を退職しても、ネイリストを続けたいという人もいることでしょう。キャリアを積むためにほかのネイルサロンに移ったり、フリーランスになって自分なりのペースで仕事をしたりと、選ぶ道はさまざまです。
ネイリストを続ける場合のポイントを3つ紹介します。
離職期間を空けすぎない|技術が低下してしまう
退職後、次の仕事を始めるまでの離職期間が空きすぎると、これまで培ったスキルや技術が低下してしまう恐れがあります。いざ復帰しても、サロンワークのスピード感についていけなくなってしまうことも否定できません。
転職活動に時間を要したり、次の仕事を始めるまでに期間が空いたりする場合は、スキルやスピード感を落とさないような練習をしましょう。頼める友人がいるのであれば、協力してもらうとよいですね。
退職前に次の職場を決める
退職してから次の職場を探し始めると、技術が落ちてしまう可能性があるだけではなく、収入がない期間が生まれてしまうため、退職する前に次の職場を決めておくのがおすすめです。
職場環境や人間関係などの理由や、キャリアアップのために退職をする場合、ほかのネイルサロンに移るという手もあります。
しかし、転職を繰り返してしまう人の多くは、ネイルサロンで働く目的を明確にしていません。お客様を獲得して独立につなげる、管理職を目指すなどの目標や目的を明確にすることも大切です。
独立やスクール講師の道もある|簡単な道のりではない
すでに指名してくれるお客様がたくさんいる場合、独立して自分のお店を持つという手もあります。
結婚や出産などが理由でネイルサロンを退職した人でも、お客様がついていれば、家事や育児とバランスを取りながら自分のペースで仕事をすることが可能です。
開業やお店の経営は簡単ではありませんが、集客や経営について勉強し、成功すれば、高収入を目指すこともできます。
ほかにも、お客様に施術するのではなく、ネイリストを育てる講師としての道もあります。しかし、講師になるための資格の取得や、ネイルスクール講師の採用試験など突破しなければならない項目は難易度が高いです。
辞めたい理由や辞めたあとのことまでよく考え、退職や離職を考えよう
どんなに好きな仕事であっても、経済的・身体的な理由や人間関係によって辞めてしまう人はいます。そのため、目標に対する自身のキャリアについてよく考えることが大切です。
これまでの経験やスキルが活かせる職業はほかにもありますし、ほかのネイルサロンに転職する手もあります。辞めたい理由や、辞めたあとほかの職種に変えるのか、ネイリストを続けるのかなどをよく考え、退職や離職を決めましょう。