ネイルに魅了され楽しさを知ってしまった今、一生の仕事だと思っています。
この世に手業を生業にしているサービス業はどれぐらいあるのでしょうか?手一つで人を喜ばせたり、疲れを取ったり、美しくしたり、癒やしたり・・・。これってすごいことですよね。
このコラムは、手業を生業にしている美容からヘルスケアの業界の方々にフォーカスをしたプロフェッショナルインタビューです。その人の手が語る物語をお楽しみいただければ幸いです。
モアリジョブ編集部
私の手にしか、できないシゴト。 岡崎蘭さん
――ネイリストになったきっかけは?
岡崎 最初は、舞台メイクに興味を持っていました。私が美容の世界に入りたいと思ったきっかけが、趣味の舞台鑑賞だったんですね。舞台を観に行って、その時に舞台メイクを知って・・・。知り合いの方にメイクさんがいて、舞台の現場に連れて行ってもらう機会もあって、楽しそうだな、自分が仕事にするなら舞台に携われる仕事、メイクとかしたいなって思って、美容専門学校に入りました。
――舞台メイクからネイリストに方向転換されたのは、何かきっかけがあったんですか?
岡崎 入学した美容専門学校がここ、ハリウッドなんです。トータルビューティーで、全ての科目を勉強しました。ネイルにはまったく興味はなかったんですけど、科目の中にたまたまネイルがあって、授業を受けてみたらネイルの楽しさに気付いてしまって・・・。その時に、ネイル中心で将来やっていきたいなって思ってネイルの道に進みました。
――専門学校を卒業してすぐネイリストになったんですか?
岡崎 いいえ。最初は、美容師をやったり、特殊メイクの先生のアシスタントをしていました。その間に、ネイルの専門スクールにも通ってネイルを勉強して技術力を付ける努力をしました。今思えば、この時の経験が、本格的なネイリストへの道に繋がったのかなと思います。
――ネイリストになるまで色々と経験を積まれていますが、折角取った国家資格の美容師を辞めてまでネイリストになろうと思ったのはなぜですか?
岡崎 私、資格を取るのがすごく好きなんですね。美容師の免許を取って、管理美容師の免許も取りたかったので・・・。将来は、ステップアップして教員としても働きたい思いがありました。ネイルが好きで、いずれはネイルの仕事に就きたい、認定講師になりたいと思っていたので、幅広く経験を積んだ方が良いと思い、様々なことにチャレンジしました。
――初めてお客様を担当した時の気持ちはいかがでしたか?
岡崎 すごい緊張しました。お客様がどんな爪の状態で来るのか、キレイに施術出来るのか、お客様のご要望に応えられるのか、分からないことだらけの中、不安な気持ちで施術に入ったことを覚えています。
――ネイリストになってからの失敗談を教えてください。
岡崎 あまり失敗はあってはいけないんですけど(笑)。お客様がいらっしゃった時に、どういうデザインにしたいのかサンプル写真などを持ってきてくださる方がいて、そういうお客様はそれを参考にパーツや色の相談をしながら進めていくんですね。逆にお任せでって言われることもあって、その場合は、お客様の服装とかカバン、靴などを見てデザインを提案していくんですね。そのお客様は出来上がりに納得されていないのか、表情に表れていて・・・。お客様が納得するデザインをご提案出来ず、とても残念でした。
――それでは、岡崎さんにとっての成功談を教えてください。
岡崎 ネイルは対面で接客をする、お客様の表情が良く分かるお仕事なんですね。デザインを施して行くうちに、お客様の表情がどんどん明るくなって、デザインを気に入っていただけた時の表情や何度も何度も「有難う」と言ってくださったり。そのお客様たちが、リピーターになっていただけた時が嬉しかったですね。これが一番の成功談かなと思います。
――思い出に残っているお客様は?
岡崎 私の友人の奥様でしょうか。今でも仲良してくれて、子供も含め家族ぐるみでお付き合いしています。彼女は美容師なので、職業柄爪がもろく、最初はなかなか合うジェルが見つからなかったんですね。彼女に合うジェルネイルを発見するまでに時間がかかりました(笑)。今でもデザインを「お任せで」と言って任せてくれ、私の爪のデザインを見て、デザインが気に入ると同じデザインでと言ってくれて、とてもやりがいを感じています。
――ネイリストを辞めたいと思った事はありますか?
岡崎 辞めたいと思った事はないですね。自分の20代を捧げてきた事ですし、この仕事が大好きなので。もし誰かに「仕事はなんですか?」「趣味は何ですか?」と聞かれたら真っ先にネイルですって答えてしまうぐらい、ネイルが生活の中心にあるんですね。ネイルを辞めてしまったら、何もなくなってしまうと言うか・・・。だから、辞めようと思った事はないですね。
――辞めずに続けられる理由は何ですか?
岡崎 美容業界はすぐに辞めてしまう人が多いって聞いていたので、この業界に入った時に、絶対に辞めないと心に決めました。当時担任だった先生に、1年続いたら3年続く、5年続いたら10年続く、10年続いたら一生続くわよって言われたことがあったんですね。それを信じてずっとやってきました。10年過ぎた今は、もう辞める気はしないですね。
――日々のモチベーションの上げ方は?
岡崎 新製品が出て、それを実際に買って使用して、デザインを創り上げていくのが楽しいですね。この新製品を使って今度は、こういうデザインを勧めててみようかな、自分もしてみようかなと、自分のレパートリーが増えていくとモチベーションが高くなりますね。ワクワクします。
――岡崎さんにとっての恩師は?
岡崎 中村富玖実先生です。私にネイルの技術を0(ゼロ)から教えてくださいました。今では認定講師として審査に入れるまでなったのですが、これも全て先生のお陰です。ネイルの検定前は、先生のご自宅に朝から夜の10時、11時までお邪魔して、ずっと面倒を見てくださいました。私の結婚式にも来ていただいて、母も仲良くさせて頂いています。もう15年のお付き合いになるのですが、今でも勉強会があると誘ってくださったり、プライベートでも仲良くさせていただいています。
――仕事とプライベートのバランスは?
岡崎 オンオフをしっかりすることでしょうか・・・。私は息子が二人いるんですけど、息子といる時間は完全にオフに、仕事の時間はオンに上手く切り替えられています。オンオフのスイッチは、電車の中でいつもしています。保育園に送って行って電車に乗ったら仕事モードに、仕事が終わって電車に乗ったら家庭モードに、今日の晩ご飯どうしようってスイッチが入るようになっています。
――子育てとの両立は、大変じゃないですか?
岡崎 子育てをしている今の方が、時間の使い方が上手くなって、効率よく動けていると思います。家に帰ったらまず座らないですね。やることをやって、子供が寝て初めて座るみたいな毎日を送っています(笑)。何より、自分の母親と妹が近くに住んでいて、何かあったらバックアップしてくれる体制が出来ているので、本当に助かっています。またハリウッド美容専門学校は、女性に優しく理解のある学校なので、家族と学校両方の協力があって、今の働き方が出来ているんだなと思います。
――将来の自分はどうなっていると思いますか?
岡崎 教育者としても施術者としても、ずっとこの美容の仕事を続けていきたいと思っています。子供がもう少し大きくなったら、ネイリストとして自宅で独立も考えたりしています。教育者としてもネイリスト協会の一員としても一生美容に携わっていきたいと思っています。
――最後に、業界やネイリストを目指している方に一言。
岡崎 時間がなかったり、お金がないとネイルは美容業界の中でも一番に省かれてしまうんですね。もう少し手軽に、身だしなみの一つとして、皆がネイルをメイクをするのと同じ感覚で出来るようにならないとと考えています。そのためには、メニューや新製品を増やし、女性や男性、色々な方々が身だしなみの一つとして、気軽にネイルを付けてくれる世の中にすることだと思っています。またジェルが一般的になって、簡単にできるようになりましたが、大切な爪の構造やネイルの基礎知識、ネイルケアの大切さを学んで、爪が健康でトラブル無く、施術ができるような勉強をしてもらえたらと思っています。
School Data
学校法人 メイ・ウシヤマ学園 ハリウッド美容専門学校
住所:東京都港区六本木6-4-1 六本木ヒルズ ハリウッドプラザ
TEL:03-3408-5020
https://www.hollywood.ac.jp/