スポーツの楽しさを伝えたい 私の履歴書 Vol.8【クロスフィットトレーナーAYA】#1
導かれるように夢を追い、才能を磨いて天職に。生い立ちから今仕事に至るまでを伺う『私の履歴書』。今回は、クロスフィットトレーナーとして、テレビや雑誌でも活躍中のAYAさん。数多くの著名人の専属トレーナーも務めるその姿は、鍛えられたボディ、髪の毛は艶やかで、眼の奥には気持ちの強さと女性らしいしなやかさが感じられます。フィットネスを日本の文化のひとつにしたいと語る、AYAさんの幼少期からクロスフィットに出合うまでの道のりを伺いました。
AYA’S PROFILE
幼少期~大学時代
スポーツに携わる仕事は体育の先生しかない!と思って突き進んでいました
―小さい頃はどんなことをして遊んでいましたか。
物心ついたときにはスポーツと触れ合っていました。休みになると、父と近くの小学校に行ってキャッチボールをしたり、バスケットボールをしたり、父から体を動かす楽しさを教わりました。その頃には漠然とスポーツに携わる仕事につきたいと思っていて。「将来の夢は?」と聞かれると「体育の先生」と答えていました。小さい頃に出会うスポーツを仕事にしている人って、まずは体育の先生じゃないですか。だからずっと体育教師を目指していました。
―幼少期にすでに夢が決まっていたのですね。では中学・高校は体育会系部活に?
はい。中学は陸上、高校はバレーボールです。スポーツには個人競技と団体競技があるので、将来スポーツに携わる仕事につくためにも両方経験しておこうと思って。走ることが好きだったので、個人競技は陸上に。頑張れば頑張った分だけ結果に繋がるし、ミスしたらすべて自分の責任になります。一方の団体競技は高身長をいかしてバレーボール。みんなで勝ち取っていくチームプレーの楽しさはありますが、誰かひとりでもダメになると全員の責任になります。個人と団体、両方のメリット、デメリットを体感して、スポーツの楽しさを伝えたいと考えていました。
―すばらしい計画性。大学で、教育課程に進むのですね。
体育系の大学に入り、先生になるために多種多様なスポーツを経験しました。ところが、ここで新たな発見が。それまでスポーツに携わる仕事=体育の先生だと思い続けていたんですが、大学の進路指導室にいってみると、スポーツブランドの仕事やスポーツトレーナー、フィットネスインストラクターなど、たくさんの職種が出てきたのです。
―なるほど。視界が広がった先に目指したものとは?
体育の先生は、小学校、中学校、高校と、それぞれ受け持つ年齢層が決まってきます。でもフィットネスって年齢に決まりはないですよね。小さい子どもも教えられるし。おじいちゃんおばあちゃんまで、年齢層や希望に応じた運動ができる。振り幅が広く、選択肢がたくさんあるのがフィットネスだと知って、その道に進みたいと思いました。スポーツの楽しさを、より多くの人に伝えられると感じたのです。
フィットネスインストラクター時代
時間をギリギリまで使って体で覚える。努力しないと何事も進まない
―就職先はフィットネス関係を目指されたのでしょうか。
インストラクターの勉強をして就職活動し、フィットネスジムに内定をいただきました。就職後はエアロビクス、バランスボールなどのスタジオプログラムから水泳指導、マシーン完備のアスレチックジムのトレーナーまで、ほぼすべてを担当。もちろん年齢層も幅広く、仕事も充実して、フィットネスが一層好きになったものです。
―スポーツの種類も多彩ですが、ご苦労された部分はありましたか。
実はジムに入社するまで、水泳指導の経験がほぼなかったんです。泳げはしましたが自分のフィーリングだけ。正しい理論やフォーム、教育するための知識や方法まで、きちんと会得しなければ、人に教えることなんてできません。ジムのメンバーさんにはベテランもいて、大きな差を埋めるには倍努力しなければならないと、入ってからずっと危機感を覚えながら精進しました。
―通常の仕事をこなす中で、どのように会得したのでしょう。
始発・終電の日々でした。決まった時間に出社して終わったら退社なんてしていたら間に合いません。きっとどの仕事もそうだと思うんですが、入社したからOKではなくて、そこから努力しないと自分の芽は出てこない。だから誰よりも早く出社してフォームを練習し、お客さんが帰ってから時計とにらめっこしつつ居残り練習。終電ギリギリに出て、帰りの電車の中で参考書を読む。そんな毎日でした。
―上達に向けて目標を設定していったのですか。
先輩に「この泳ぎをうまくしたいから○週間後に見てください」とお願いし、クロールができたら平泳ぎ、次はバタフライというように一段階ずつクリアしていきました。運動部に所属していたからわかるんですが、スポーツは努力なしに上達はありえません。最初から何でもできる人なんていないんです。ちゃんと努力している人がスポーツ選手やトレーナー、運動に携わる仕事についている。よく「AYAさんだからできるんでしょ」って言われるんですが、私も懸垂が1回もできないところから始まっています。
―順風満帆にみえるジムでのお仕事。そこからクロスフィットに移行されるきっかけは。
フィットネスジムでは、当初「インストラクターデビューは早い」と言われることもありましたが、次第に私のクラスは満員になり、そこに喜びを感じていました。するといつしか、お客さんを楽しませて、ときには笑わせて、クラスに居続けてもらうことが目標になっていたのです。体を変えるということにまで意識がいっていなかった。そんなやり方が少しマンネリにも感じて、これでいいのか、悩んでいた頃に出合ったのがクロスフィットでした。
幼少期からの夢を叶え、スポーツに携わる仕事についたAYAさん。次回は、クロスフィットに出合ったきっかけから今、そして未来の夢をお聞きします。
取材・文/須永久美
撮影/千々岩友美
Salon Data
ReebokCrossFitHEART&BEAUT
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※ゴールドジム南青山東京店内に併設
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