「美容師」の仕事が大好き。好きだからこそ、僕は疑問を持ったんです 私の履歴書 【美容師兼コスメプロデューサー・Ha-ha.Inc Ryomaさん】#1

美容師としてサロンワークに勤しみながら、プロフェッショナルへ向けた化粧品関連のプライベートブランドのコンサルティングやセミナーなども行っているRyomaさん。さらに2022年には、自身のコスメブランドプロジェクト「Ha-ha(ハーハ)」をスタートしています。

活躍の場を広げ続けるRyomaさんですが、“美容師”と“美容部員”というハイブリッドなスキルを兼ね備えるに至った経緯とは、どのようなものだったのでしょうか。前編では、Ryomaさんが美容師の夢を叶え、化粧品業界に参入するまでの道のりをお伝えします。

RYOMA’S PROFILE

お名前
Ryoma
出身地
高知県
年齢
41歳(2024.7時点)
出身学校
NRB日本理容美容専門学校
憧れの人
父親
プライベートの過ごし方
愛犬(ラブラドールレトリバーの双子)のお世話
趣味・ハマっていること
愛犬の散歩、(子どもが生まれたばかりなので)赤ちゃんについて調べること
仕事道具へのこだわりがあれば
「腱鞘炎を予防するため、3本のハサミ全てをフルオーダーで揃えています」

「僕が髪を切ったのをきっかけに、その同級生がモテ始めたんです」

「美容師は、僕にとって最高の仕事です」と本当に楽しそうに話すRyomaさん

――美容師と化粧品関連のプロデュースや講師業を兼ねているRyomaさんですが、最初に志したのは…?

元々は美容師です。美容師は、僕にとっての原点ともいえる職業なんですよ

僕にとっての美容師とは、ただ髪を切るだけの職業ではありません。施術を通じて人を喜ばせ、楽しませ、幸せにし、多くの人生を豊かにする職業だと信じています。中学生の頃には、すでに強い憧れを持っていました。

――そんなに早い時期から、美容師という職業を意識されていたんですね。

そうですね。そんな憧れもあって、同じ中学校に通う友人の髪を切らせてもらったことがあります。薬局やドラッグストアに売っているような普通のハサミを使って見よう見まねで、場所はその友人の家の前の道路で。目の前に鏡すらなくて、今思うとすごい環境でした(笑)。

でもその後驚くべきことに、僕が髪を切った直後から、周りの女子がその友人のことを「かっこいい」と噂し始めたんです

――ええ⁉︎ 効果絶大ですね!

嘘みたいな本当の話です。僕のヘアカットをきっかけにモテ始めて友人も喜んでくれましたが、僕はきっと、本人以上に嬉しく思っていましたね。

こんなに人に喜んでもらえて、なおかつ仕事になる。美容師ってなんて素晴らしい職業なんだと、心から思いました

――では、進学も美容師になるための専門学校へ?

はい。地元の高校を卒業後は、大阪市生野区にある「NRB日本理容美容専門学校」へ進学しました。

チャレンジに満ちた関西のヘアサロンで、美容師一筋12年

主力となるハサミは、こだわりのオーダーメイド

――専門学校を卒業後は美容師に?

もちろんです。関西地方のヘアサロンへ2003年に就職しました。

――そのまま関西地方で就職されたのですね。そこに決められた理由はありますか?

「いろんなことに挑戦できて、おもしろそう」な会社だと思ったからです。

シャンプーやトリートメントといったヘアケア用品だけでなく、スキンケアやコスメ関連用品に雑貨など、幅広く取り扱っていました。ここまで販売品が豊富なヘアサロンは、当時は珍しかったんじゃないでしょうか。木造一軒家という外観や、緑の多い内装も新鮮でしたね。ヘアサロンだけでなく、飲食店や雑貨屋など他業種への展開なども積極的に行っていました。

――そこでのキャリアは、いかがでしたか?

日々のサロンワークはもちろんのこと、物販に関することや新店舗の立ち上げにも関わるなど挑戦もたくさんできて、当初の期待以上に様々な経験をさせてもらいました。これらの経験は、後のキャリアでもとても役に立っています。関西では12年間、ずっとこのサロンに在籍していました。

けれど、10年くらい経った頃かな。だんだん、美容師としてできることの限界を感じるようになっていったんです。

本質的な課題に直面——“美容師の可能性”はもっと広がるはずだ

「関西で美容師として様々な挑戦をしてきました。しかし、それは美容師という枠の中だった。今度は違う業界からも新たな知見を吸収したい、という欲が出てきました」(Ryomaさん)

――“美容師としてできることの限界”とは、具体的にはどんなことですか?

お客様と美容に関する相談や雑談をする中で、やはり圧倒的に多いのが「肌」や「健康」に起因するものでした。これらを解決するには月1回程度のサロンケアだけでは足りない。毎日のホームケアがどうしても欠かせないんです。カットやカラー、パーマやトリートメントなどといったサロンワークの範囲内では、お客様の美容に関する悩みや不満をどうしても解決し切れませんでした。

――美容師の枠には収まらない悩みですね。

美容に関する、より広く本質的な課題になってしまいますね。しかし、美容師という仕事が大好きだからこそ、僕はその可能性をもっと広げたいと強く思っていました

そんな折にお声掛けいただいたのが、自然由来のエシカルなモノづくりで多くの支持を集めるコスメティックブランド「LAUREL(ローレル、現・SHIRO)」だったんです。

――化粧品業界への本格的な参入は、こちらがきっかけだったのでしょうか?

そうです。スキンケアやコスメといった化粧品の世界への造詣も深めて、人をもっと美しくするノウハウを美容師の世界へ還元できたら、美容師という職業の可能性をもっと広げられるかもしれない

大好きな美容師という職業から離れるのはとてもつらく、断腸の思いでしたが、「LAUREL」のオファーを受けて化粧品業界への転職、そして東京行きを決意しました。

美容師のハサミを、一旦置くこととなったRyomaさん。関西での多彩な経験を携え、いざ東京へ


美容師の仕事を誰よりも楽しんでいたRyomaさん。しかし、お客様の悩みと真摯に向き合うあまり、そして美容師という職業を愛するあまり、大きな壁に直面してしまいます。

そんな時に訪れた、「LAUREL」からのオファー。化粧品業界への参入は、果たしてこの壁を乗り越える転機となりうるのでしょうか。後編ではRyomaさんの化粧品業界での様子やその後、そして2つの業界を経験したからこそ見えてきた「本当の美しさ」についてのお話です。

撮影/斎藤大地
取材・文/勝島春奈

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