「どれだけ人を育てられるか」が経営者としての課題 私の履歴書 Vol.10【Un ami 森内雅樹】#2
90年代のカリスマ美容師ブームを牽引し、美容業界の憧れの的である森内雅樹さん。2006年に「GARDEN」を設立し、現在は「Un ami」のオーナーとして美容業界で走り続けています! そんな森内さんの仲間や今後の展望に迫ります。
スタイリストからトップスタイリストに上り詰めるまで
自分の成長、実力をつけるためにがむしゃらだった
―新卒で入社した会社ではどれくらい勤めていたんですか?
アシスタント時代から苦節4年、スタイリスト1年目にして店長クラスの売り上げを達成できました。なので、約5年くらいかな。売り上げを達成したときに、「次のステップへ進まないと自分自身の成長が止まるな」と思ったんです。NYに行って英語を勉強しながら、ヘアメイクの技術を身につけようかなと考えていたときに、2店舗目に声をかけられ就職しました。
2店舗目では、たくさんライバルがいて周りに勝つためにはどうすればいいか考えた結果、1番の売り上げをあげてやろうと思ったんです!同時に、雑誌に掲載されるヘアページの撮影も頑張っていました。自ら企画を売り込んだり、いろんな媒体に出られるように自らアプローチをかけていました。
―企画を売り込むとはすごい……!売り上げを達成することはできましたか?
その後、97年ころに1年の売り上げが600万円以上に。そこから約5年間は600万円をきることはなかったです。これはもう……本当にきつかった……。朝から晩までぶっ通しでやっているので、トイレに行くのもやっとというくらいだからね。何年か続けていくうちに、次のステージにいかないと意味がないと思い、2001年に「n(ニュートラル)」を立ち上げました。
現場第一から、経営者の立場へ
自分の影武者を作ったら、売り上げがあがるんじゃないかと思ったんです
―経営者として何か意識的に変わった部分はありましたか?
「ニュートラル」をはじめたときも、僕ばかりに指名がきて他の子にはぜんぜん指名がこなかったんです。「自分だけが売り上げを獲得しているようじゃ店は成り立たない。そうだ! 自分の“影武者”を作ったら、売り上げをもっと上げられるんじゃないか」と思ったんです。当時、自分も現場に出ることはありましたが、雑誌の撮影など、できるだけ下の子たちに振っていました。
やっぱり経営者の立場になると、もちろん自分が店の顔として頑張らないといけないということもあると思うんですが、「どれだけ人を育てられるか」ということに重きをおくようになっていましたね。その後、2006年に「GARDEN(ガーデン)」を設立しました。
―時代の流れが変わっていくにつれて、経営も変わっていった部分はありますか?
2010年に「GARDEN」グループの「Un ami」を設立。当時大型サロンがすごく多かったので、50坪くらいの小型サロンを試験的につくりましたね。それが今の「Un ami Omotesando」です。店長が下の子たちをまとめられるのって大体そのぐらいの規模じゃないと難しいと思うんです。結果的に、スタッフ一人ひとりに目が行き届いて、個々の成長も早かったですね。また、SNS時代といわれている現代で、昨年「Un ami」単体でホームページを立ち上げました。ハードな部分の基盤は作ったのであとは、個々で頑張れよと。人をちゃんと育てるという部分では昔から変わっていませんね。
―次なる展望はありますか。
店をやりたい子には、小さい店でも持たせてあげる、みんなのステージをもたせてあげたいなと思っています。自分の家族にお店を継がせようとは思っていないです。だって「Un ami」は、自分の物じゃないし、みんなでつくりあげているから。表参道店のディレクター松井には、来年春にオープンする銀座のお店を任せようと思っています。そうやって次世代の子たちにどんどん引き継いでいかないといけないですね。
―お店の子たちへの愛情がひしひしと感じられます。「Un ami」に入りたいという学生も多いかと思いますが、どんな人材を求めていますか。
すべて全力に頑張っていると途中でガス欠してやめてしまう子もいるので……いい意味でそこそこのエネルギーを持って継続する力がある子がいいなと思います。あとは、昔に比べて、こんなデザインをやりたいという子が減ったと思いますね。なので、自分が将来こういうふうになりたい、「Un ami」に入社してこういうことをやりたい、こんなデザインをやりたいという想いをきちんと描けている子はほしいなと思います!
取材・文/梅澤暁(レ・キャトル)
撮影/中村早
Salon Data
joemi by Un ami(ジョエミ バイ アンアミ)
住所:東京都新宿区新宿3-26-13 新宿中村屋ビル5階
TEL:03-3355-1011
定休日:なし ※変則的に定休日を頂くことがございますので予めご了承ください。
http://www.un-ami.jp/