【美容師のカット技術】Garland 真木 遊さん流 触れたくなる質感の『重軽レイヤーミディ』#1
新しいトレンドの主流となりつつあるレイヤーヘア。一歩先のおしゃれなヘアデザインとして、サロンワークでの需要も増えていくはず。そんなレイヤーヘアのおすすめのミディアムスタイルを、Garlandの真木 遊さんに教えていただきました。
前編では、技術力アップのためのアドバイスや、ヘアデザインへのこだわりについて伺います。
Garland マネージャー 真木 遊さんインタビュー
視野は広く、イメージは具体的に持つこと
――美容師を目指したきっかけを教えてください。
母が表参道の有名なヘアサロンに行っていて、中学生のころに私もついて行ったんです。そこで見た美容師さんが、すごくかっこよく感じて。それもあり、高校生で進路を考えるときに、最初に思い浮かんだのが美容師でした。
そのサロンに私も通うようになっていたんですけど、そこで美容師になりたいと伝えたら、「いろんな美容室に行きなよ」とアドバイスをもらって。そこからは、いろんな美容室を見に行きましたけど、結局そのサロンに入社しました。
――そこではアシスタントとして?
はい、アシスタントを3年して、前サロンに入社しました。そこでも3年アシスタントをしたので、スタイリストデビューは26歳でした。今だと少し遅めですよね。ちょうどプレデビューくらいのときに、榊原(Garland代表)に声をかけてもらって、Garlandの立ち上げに参加することになりました。Garlandは今年10年目になりますね。
――技術力を高めるために、若手のころにしていたことは?
「とにかく練習」っていう感じで、かなり練習していたと思います。最初のサロンのアシスタント時代は、サロン営業が14時からだったんですが、7時にはサロンに入って練習していました。先輩も見に来るシステムだったので、けっこうガッツリ(笑)。
技術面は、すごく単純に言えば、やっぱり何回もするしかないんですよね。美容師は技術職ですし、自分の手を動かしていかないと慣れていきませんから。
――思い通りのスタイルが作れるようになったのは?
スタイル撮影は時代的にも多かったので、たくさん参加しましたけど、最初のうちは毎回、榊原にダメ出しされていました。やっと形にできるようになったのは、3・4年くらいしてからかな? それまでは、自分の作品のポイントばかり見ていて、ちょっと遠くから見れていなかったというか…。いろんなスタイルを見て、自分のものと比較できるようになって…ちゃんと客観視できるようになってから、変わってきたかなというのはあります。自分の作品を客観的に見られるようになったら、なんとなく自分らしさとか、好きなスタイルがわかるようにもなったので、それもよかったのかなと思います。
――若手時代に心がけるとよいことは?
若手のころは、目の前のことにいっぱいいっぱいになりがちですよね。アシスタントだと、スタイリストになることがゴールになってしまって、その後があまり成長しなかったりしちゃう。なので、「こういうふうになりたい」というイメージを、具体的に持つといいのかなと思います。今だったら「インスタで人気の美容師みたいになりたい」とか、ミーハーな気持ちで十分だと思うんですけど。具体的な美容師像を持っていると、ルートがわかりやすくなるというか、少し先を見て動けるようになるんじゃないかな。
あと、視野が狭くならないように。いろんなものを見て、楽しくやれるといいですよね。Garlandでは、店舗が増えたこともあり、アシスタントはローテーションで各店舗を回るんです。それぞれの成長過程のなかで、いろんなスタイリストの仕事を見て、幅広く成長してもらいたいので。そうすると、表参道で絶対に働きたいと言っていた子が、意外と別の店舗のほうがよかったとか、あるんですよね。なので、視野を広く、いろいろ見てみるっていうのも、大事なんだと思います。
――接客面でのマイルールは?
アシスタントのときに、「今日会った真木さんと、次に会った真木さんと、変わらないように訓練しなさい」と言われたことがあって、それは根付いていると思います。元気なときも、元気がないときも、つらくても楽しくても、お客様には関係ないから、と。朝起きてから寝るまで、毎日同じテンションをキープすること。いつでもお客様にとって、同じ環境でいること。それが最低レベルの接客だっていう指摘は、「たしかにな」と思ったんです。今はもう普通のこととしてできるようになりましたけど、最初のころはすごく気を付けていましたね。
――デザイン面でのこだわりはありますか?
触りたくなるような柔らかさを作るというところは、常に変わっていないかなと思います。ストレートスタイルでも、あまり硬くならないように、動きのあるストレートタッチにしたりとか。榊原の柔らかい雰囲気のスタイルを見て育ってきたので、それも自分の中では大きかったかなと思います。
――では、最近のヘアの動向について教えてください。
美容師側からすると、だいぶウェットスタイルはやり切ったなというところはあるんですが、お客様側にはやっと浸透した感じ。なので、サロンワークではウェットな質感を提案しつつ、業界的には新しいスタイルが模索されているところだと思います。注目しているのは、ドライまではいかない、軽やかな質感のレイヤースタイル。昔みたいに毛先が軽いというよりは、全体的なベースは重さを残しながら、レイヤーで軽さと動きを出す感じがいいなと思っています。
真木さんが提案する『重軽レイヤーミディ』
鎖骨上のミディアムレイヤーがベース。カットラインを残しつつ、レイヤーで軽さと動きを出していく。顔周りをややマッシュにつなげているのがポイント。スライドカットやセニングで毛先を間引かないようにして、毛先に重さを残した仕上がりに。持ちがよく、まとまりが続くので、再現性の高さも◎。
『重軽レイヤーミディ』のいいところ
1.周りとは違う女性らしさ&おしゃれ感が叶う
2.毛先を巻くだけでスタイリングも簡単
3.まとまりが続くのでスタイルの持ちがいい
注目のレイヤーヘアを、真木さんらしい柔らかく触れたくなるような質感に仕上げた『重軽レイヤーミディ』。次のヘアトレンドへお客様を導いてくれるような、サロンワークでの提案も見据えたデザインです。後編では、その詳しいカットの仕方を教えていただきます。
▽後編はこちら▽
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取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
ヘア&メイク:真木 遊(Garland)
モデル:馬場有加
教えてくれたのはこの人!
真木 遊さん
Garland マネージャー
都内有名店2店舗を経てGarlandオープニングスタッフとして参加。顔周りの繊細なカットでお客様の魅力を最大限に引き出す。来てよかったと心から思って頂けるようなスタイルを提案している。一般誌から業界誌まで数多くの雑誌を担当。メイク、アレンジなどの評判も高く、ファッション誌のヘアメイクでも活躍する実力派。
インスタグラム:yuumakiiii