【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.25】株式会社SPES 槌谷伸輔さんが柔道整復師を目指したきっかけとは
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』の企画。
今回は、千葉県にある接骨院で柔道整復師として活躍し、「医療オリンピックC-1」2019年大会 診断王の部で優勝した、株式会社SPESの槌谷伸輔さんにインタビュー。槌谷さんが柔道整復師を目指したきっかけから、現在のお仕事についてお聞きしました。
教えてくれたのは…
柔道整復師 槌谷伸輔さん
株式会社SPES 取締役・総院長。FHAシューフィッター。サラリーマンから柔道整復師へ転身。30歳で資格取得して1年後に株式会社こくしゅ塾に入社、その後「株式会社SPES」の立ち上げに参画する。整骨院振興協同組合が主催する「医療オリンピックC-1」2019年大会 診断王の部で優勝するなど、高い実績を持つ。
父の介護のため、脱サラして柔道整復師に
―まず、槌谷さんが柔道整復師を目指したきっかけを教えてください。
10年くらい前に父親が病気で倒れまして、その時にお世話になった理学療法士さんに刺激を受けて、「自分の家族を治したい」という気持ちから、この業界に興味を持つようになりました。当時は普通のサラリーマンでした。
そういうきっかけだったので、最初は理学療法士を目指していたんですが、兄が鍼灸師をしていることもありまして、より幅広い対応ができる柔道整復師という道を選びました。数年前に父が他界するまでケアに関わることもできて、この仕事を選んでよかったなと思います。
―では、学校に入られたのは社会人になってからなんですね。その後のキャリアは?
学校に入ったのは27歳のときですね。3年間、夜間は学校に通いながら、昼は接骨院に勤務して、30歳で柔道整復師の免許を取りました。
卒業後は、同じ接骨院で1年働いたあと、前職である「株式会社こくしゅ塾」に入社しました。1年目のトレーナー研修で、現オーナーから声をかけていただき、一緒に会社を立ち上げようということになって、「株式会社SPES」の創業から携わらせてもらいました。SPESの創業から7期目になりますね。
―槌谷さんは2019年の「医療オリンピックC-1 診断王の部」で優勝されています。出場の経緯は?
※「医療オリンピックC-1」とは、整骨院振興協同組合が主催する、柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師が、技術と知識を研鑽し合う全国大会。「包帯王」「刺鍼王」「矯正王」「診断王」「医識王」の各競技で競い合う。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止に。
オーナーから、こういう大会があると聞いて、「お前なら優勝できるよ」って言ってもらったので、じゃあ出場してみようかなと(笑)。初めて参加したのは2017年大会でした。2017年・2018年と準優勝だったんですが、3年目の2019年大会でやっと優勝できました。
―優勝できた理由は、なぜだと思いますか?
個人的には、3年の中でけっこう気持ちの変化があったんです。1年目は初めてだったので、「自分の力を試そう」という気持ちで臨みました。結果、準優勝をいただけて、ただただ嬉しいって感じでしたね。2年目は優勝を狙いにいったんですけど、今思えば競技のために参加していたというか…。結果、また準優勝だったんです。
だから3年目のときは、ふだん患者さんに接している時と、同じようにやってみようと思いました。懇意にしてもらっている患者さんからも、「ふだん通りにやったら?」と言われたんですよね。そうしたら優勝できたんです。気持ちの面が、すごく大切だったんだと感じています。
―競技のなかで重視したことは?
診断王は、8分間のなかで問診をとる競技です。症状をヒアリングして検査し、症状、保険、治療などの説明をして、クロージングをする。診断のスピード、丁寧さ、見た目の印象など、いろいろな審査項目があるらしいです。
僕が一番力を入れていたのは、患者さんの話をよく聞くことです。いろんな説明をすることも大事なんですけど、やっぱり患者さんの話を聞かないと症状はわかりませんし、患者さんも抱えていることを言いたいと思うんですよ。8分という短い時間のなかで、いかに引き出すか。それは、ふだんから大切にしていることでもあります。
治療に没頭していると時間を忘れてしまうことも
―現在の働き方について教えてください。
働く時間は、日によって違います。重い症状の方などは治療にも時間がかかってしまうので、診療時間内に終わらないこともあります。そういうときはスタッフを先に帰して、自分だけ残って治療に当たります。
おひとりの施術には、大体1時間くらいかかります。平均的には21時半くらいに施術が終わりますが、症状によっては24時近くまで施術するときもあります。
―お客様の層や、多い症状は?
お客様としては40~60代の女性が多いです。地域を大切にしていますが、ホームページを作ってからは、遠方から来てくださる方も増えました。
症状は、腰の痛みを感じていらっしゃる方が多いですね。あと、シューフィッターという資格を持っているので、足に違和感をお持ちの方もよくいらっしゃいます。
―ふだんから働く時に心がけていることは何ですか?
やっぱり、「話を聞くこと」ですね。患者さんとの関係性って、とても大切だと思うんです。治療だけではなく、ここが好きで通ってくれていると思うので、ファンになってもらえたら一番ありがたいなと。
そのためには、しっかり話を聞いて、その方の求めていることを理解すること。いろんなミスマッチが起こらないようにするには、たくさん話を聞くことが必要だと思います。施術中も、体のことに限らず、本当にたくさん会話をします。接骨院という枠にはとらわれずに、患者さんが話をしたいと思える存在でいられたらと思っています。
お父さまの看護がきっかけで、柔道整復師の道を志したという槌谷さん。お仕事として続けていくなかで、さらにその魅力を感じるようになったといいます。次回は、そんな槌谷さんが感じた柔道整復師のお仕事の魅力について教えていただきます。
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