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介護・看護・リハビリ 2021-06-26

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.36】「ベテランを呼んで!」という利用者の気持ちとは?

介護の現場で直面しがちな困りごとの解決法をご紹介する当企画。今回は、若手介護職が乗り越えなければならない「ベテランの壁」と「利用者の気持ち」をクローズアップします。

「ベテランに変わってくれ。」と言われないようになりたい!

今回は、20代の介護職、Rさんの話です。彼女の働く老人ホームはベテランスタッフが多く、20代はRさんひとり。ある日、男性入所者Zさんの食事介助をしようと「お食事にしましょうね」と話しかけたところ、「なんだ、新米さんか。ちゃんとできるのか?」と。Rさんは委縮してしまい「すみません。…頑張ります。」と答えたところ、「心配だなぁ…。あんたじゃダメだ。ベテランを呼んでくれ」と言われ、仕方なく交代したそうです。

最近では専門学校や養成校などから新規学卒で介護職に就く人も増えてきました。とはいえ、まだまだ介護職の多くは転職や再就職組。介護職自体の平均年齢が高めなのに加えて、サービス対象となる利用者・入所者も高齢者なので、特に20代、30代の介護職は「若手」と見られがちでしょう。

今回は、そんな中でどう対応するのがよいのか、ポイントをおさえて見ていきます。

ポイント1:誰だって最初のうちは失敗をする

経験の浅いうちは、思うように仕事ができない自分に葛藤して悩むこともあるでしょう。そんな時期に利用者から「心もとない」というような指摘を受けると、普段から感じている不安感とあいまって自信をなくしてしまうのも分かります。

しかし、誰だって経験が浅い時期はあるのです。できない自分を責めるのではなく、「学ぶ意欲」をアピールする方向へ考え方の転換をしてみましょう!

ポイント2:「若手」だからこそ「学ぶ意欲」で信頼を獲得

ベテラン介護職への信頼は、これまでのキャリアに裏付けられた仕事ぶりや人格で得たものです。これは「若手」が今すぐに得られるものではありません。ですが、「学ぶ意欲」さえあれば、月日とともについてくるもの。新人とはいえ、介護のプロです。単に「頑張ります」ではなく、利用者の気持ちに寄り添う声かけを心がけると、学べることも見えてきます。

介護職としての自信や信頼を得るための第一歩です。

ポイント3:感情言葉に着目して、利用者の気持ちに寄り添う声かけを

今回のケースであれば、「心配だなぁ…。」というZさんの言葉は注目ポイントです。「すみません」「頑張ります」ではなく、「どんなところが心配ですか?」と声かけをしてみましょう。例えばZさんの返答が「若い人はせっかちだから」だったなら、「ゆっくり食べたいんだな」というように、Zさんの気持ちの根っこが見えてくるはずです。

このように、感情言葉に丁寧に向き合うことは、利用者の不安を払拭したり、満足感を高めることにつながります。それが自分の自信や介護職としてのスキル、そして信頼感へも結びついていくのです。

「若手」が意識したい2つのこと

1.できない自分を責めない
2.「学ぶ気持ち」で利用者の声に耳を傾ける

「若手」「新人」と見なされる年齢・立場だとしても、介護職として利用者と接する以上、プロであることを忘れずに。介護の基本は、<利用者の思いや立場を最優先すること>です。できない自分を責めて内に籠ってしまうのではなく、今ある自分の力を利用者の思いや立場に耳を傾けることに向けましょう。都度、寄り添って対応することで、介護職としてのスキルも自然と身についてくるはずです。

監修・中浜さんの「実際にこんなことありました!」

私自身も現場に出ていた時に同じような経験をしました。「大丈夫か?」「ちゃんとできるのか?」なんて言われることは多々ありましたよ。どこにでも<何か言いたい>という人はいますよね。そういう人には、自分のことを<希望を叶えてくれる人><何か言ってもめげずについてくる人>だと思わせることがポイントです。これが攻略できた介護職は人として認めてもらえるケースが多く見られます。

私も当時は、ケアをした後に「いかがですか? 直したほうがいいところありますか?」と聞くようにしたり、嫌がられてもめげずに何度も関わりを続けたりして乗り越えてきました。負けずにチャレンジする姿勢が大切だと思います。そうしてるうちに、おのずと「信頼」はついてきます!

文:細川光恵
参考:「こんなときにはどう言葉をかけたらいい? 介護の言葉かけタブー集」誠文堂新光社

監修

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

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