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介護・看護・リハビリ 2022-01-16

【今さら聞けない!? 介護のお仕事の基本vol.51】作った食事を「おいしくない」と言われた! 続ける自信がない…

介護の現場は人対人。利用者にも介護職にもいろんな人がいて、その分様々な困りごとに遭遇することも。当企画では、そんな困りごとの対処法をご紹介します。今回は、20代の新人ヘルパーさんのお悩みを取り上げます。

新しく担当になった利用者から、作った食事がおいしくないと言われ、自信がなくなりました…

最近、一人暮らしの80代女性・Kさんを新しく担当することになりました。Kさんは、ここ数年で動作がゆっくりになってきて、一人で身の回りのことをするのが難しくなってきたため、介護サービスを利用するようになったそう。もともとは、何でもテキパキとこなすタイプの人だったようです。

用意した食事をKさんがほとんど残してしまったある日のこと。体調がよくないのかと心配になり、「食欲ないですか? 私の作った料理、お口に合いませんでしたか?」と声をかけました。するとKさんは、「はっきりいって、おいしくないのよね。あなた、お料理はあまり得意じゃないでしょう?」と言われてしまいました。

確かに料理は得意ではないものの、自分なりに一生懸命作っていたので、それを聞いてとてもショックを受けました。そして、そんな姿を見たKさんも「悪気があっていったわけではないのよ…」と、お互いに気まずい雰囲気に。

今後もKさんとの関係は続きます。サービスを提供する間、お互いが気持ちよく過ごすには、どうすればいいのでしょうか。

介護職にもいろんな人がいますから、料理だけに限らず家事が苦手な人もいますよね。家事援助サービスにおいては、得意だと思っている人でも利用者のやり方や好みとの違いで、今回のような嚙み合わない事態も起こり得るでしょう。このような場合の心持ちや対処法を見てきましょう。

お話を伺ったのは…

中浜 崇之さん
介護ラボしゅう 代表/株式会社Salud代表取締役/NPO法人 Ubdobe(医療福祉エンターテイメント) 理事/株式会社介護コネクション 執行役

1983年東京生まれ。ヘルパー2級を取得後、アルバイト先の特別養護老人ホームにて正規職員へ。約10年、特別養護老人ホームとデイサービスで勤務。その後、デイサービスや入居施設などの立ち上げから携わる。現在は、介護現場で勤務しながらNPO法人Ubdobe理事、株式会社介護コネクション執行役なども務める。2010年に「介護を文化へ」をテーマに『介護ラボしゅう』を立ち上げ、毎月の定例勉強会などを通じて、介護事業者のネットワーク作りに尽力している。

ポイント1:「自分のやり方を否定された」と思わないこと

まず一番大切なのは、何か言われたからと言って、感情のおもむくままに「文句を言われた!」「やり方を否定された!」と思わないことです。コミュニケーションを円滑にするには、相手の立場を尊重することが大前提なので、否定的にとらえてしまうとその後のコミュニケーションが成立しなくなってしまいます。

ポイント2:家事への苦情は少なくない

そもそも、高齢者は人生の大先輩です。料理に限らず、長年培ってきたものがあるでしょう。特に女性の利用者の場合、「できるなら自分でやりたい」と思っている方も少なくありません。自分なりの味付けや献立、家事のやり方へのこだわりもあるので、他人である介護職が行う家事についてのクレームは少なからずあるものなのです。自分が否定されたわけではないことを心に留めて、喜んでもらえるやり方を模索しましょう。

ポイント3:「学ぶ」姿勢でアプローチする

長年育んできた自分の好みの味付けややり方は、その人にとって心地良く大切なものです。介護の基本は「利用者の立場や気持ちを最優先する」こと。「自分好みの味付けの料理が食べたい」「このたたみ方がいい」などは、教えてもらうことで叶えていけるといいですね。このケースであれば、「Kさん、味付け見てもらえますか?」「作り方を教えてもらえますか?」などの声かけをして、Kさん好みの料理に少しずつ近づけていきましょう。教える⇔教えてもらうというコミュニケーションを取ることで、完璧ではなかったとしても利用者も不満に感じにくくなるはずです。

訪問介護での調理支援がうまくいく2つのコツ

1.事前に病歴や好みを確認
2.コミュニケーションを大切に

食事は楽しみのひとつですよね。気持ちよく、おいしく食べてもらえれば、作る側としてもうれしいものです。そのためには、事前に、病歴や体調、食事の好みをしっかりと確認しておきましょう。嫌いなものを出されてもうれしくはないですし、嚥下機能が低下している方に飲み込みにくいものを出しても食が進みませんよね。「せっかく作ったのに…」とならないためにも、事前確認は大切です。

事前の確認の次に大切なのは、コミュニケーションです。同じ食材を調理するにしても、和風がいいのか、洋風がいいのかなど、利用者の気分もあると思います。知らない味付けであれば、教えてもらいながら、または一緒に作るのもいいですね。食べる楽しみにもつながることなので、会話を楽しみながらやれるといいですね。

監修・中浜さんの「実際にこんなことありました!」

他人の自宅で使い慣れていない調味料や調理用具を使うだけでも料理を作る緊張感につながるように思います。記事の中にもあるように、学ぶ意識を持つことが大切だと私は思っています。そもそも、人生を長く生きてきたご利用者さんを上回ることは難しいと思います。だからこそ、どういったものが好みであるか、そしてどうしたらより好みになるかなどを伺いながら作っていくとよいと思います。「美味しいもの」を作るのではなく、「好みに合うもの」を作ることを意識していくとよいと思いますよ。

「Aさん肉じゃがを作りたいんですけど、どんな味付けをしてましたか?」のような感じで聞いてみるのもひとつの手ではないかなと思います。

参考:「こんなときにはどう言葉をかけたらいい? 介護の言葉かけタブー集」誠文堂新光社

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