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特集・コラム 2022-08-11

介護福祉士と社会福祉士はどこが違うの? 資格や仕事内容の違いをくわしく解説!

介護士と介護福祉士は、介護・福祉の業務に従事する、福祉サービスのスペシャリストです。しかし、「介護士と介護福祉士の違いについて具体的に知らない」という方もいるのではないでしょうか?

この記事では、介護士と介護福祉士の業務の違いについて、その他の福祉系資格と比較もしながら解説します。介護士と介護福祉士の違いをくわしく理解したい方は、参考にしてみてください。

介護士と介護福祉士はどこが違うの?

介護士と介護福祉士の違いを一言で説明すると、介護士は「介護サービスに従事している人」、介護福祉士は「介護福祉士国家試験に合格した人」です。

介護士はより広い職種に当てはまり、介護福祉士は国家資格保有者に限られるということが大きな違いです。この章では、介護士と介護福祉士、それぞれの特徴を紹介します。

介護士と介護福祉士の違いを知りたいと考えている方は、参考にしてみてください。

介護士とは?

介護士は「介護サービスに従事している人」の総称です。ホームヘルパーや訪問介護、高齢者の身体介護や身の回りの生活援助などが、介護士としてのメインの業務内容となっています。

介護士になるために必須とされる資格はありませんが「介護職員初任者研修」など、あらかじめ研修や資格保有が求められる職場もあります。介護士としての仕事を探す場合は、要求される資格の有無について、事前に確認しておくことが重要です。

介護福祉士とは?

介護福祉士とは、国家資格の「介護福祉士国家試験」に合格して、福祉サービスの業務に従事している介護士のことを指します。国が定めた基準を満たす、介護・福祉サービスにまつわる知識・技術が必要な現場で必要とされる人材です。

担当する仕事に関して明確な決まりはありませんが、国家試験に合格した介護士なので、専門性が高く、大きな責任を伴う業務をまかされることも多いでしょう。

介護士と介護福祉士の4つの違いを解説

介護士と介護福祉士は、国家資格を保有しているかどうかだけでなく、その他にも業務上の違いが見られます。この章では、以下の4つの点について解説します。

・持っている資格が国家資格かどうか
・仕事の内容にも細かな違いがある
・給与面の待遇に違いがある
・転職のしやすさに違いがある

介護士と介護福祉士について、それぞれの特徴を確認しながら、どのような違いがあるのかを確認していきましょう。

1. 資格が違う|介護福祉士は国家資格

介護士と介護福祉士の違いは、一番は国家資格保有の有無です。介護福祉国家資格の受験要件は、介護福祉士の養成期間に1年以上在籍し、必要単位を取得することで満たすことができます。一般的な介護士の場合、必須資格はありません。

2. 仕事内容が違う

介護士と介護福祉士の違いは、仕事内容にもあります。介護士が担当できない業務でも、専門知識や技術力を活かして、利用者が満足できる介護・福祉サービスを提供します。

サービス利用者の介護・生活支援

介護士と共通する業務は、介護施設の利用者に対して身体介護や生活援助を行うことです。具体的には、以下のような業務を行います。

・介護
・食事
・排泄
・入浴

また、利用者が安心して生活ができる環境を整える役割もあります。とくに介護福祉士は、介護職員をマネジメントして、よりよい介護・福祉サービスの提供体制を作ることが業務内容として含まれていることも多いです。

利用者の家族への対応

介護福祉士の仕事では、介護施設の利用者家族に対しての介護サービスの説明や利用者の近況報告を含めた、綿密なコミュニケーションが求められます。

介護サービスを提供する際は、実際にどのようなサービスを提供しているのか、利用者家族には見えにくい部分もあります。

特別老人養護ホームやケアハウス、グループホームなど、利用者を施設に預ける福祉施設においては、とくに利用者家族への説明と綿密なコミュニケーションが、介護福祉士としての重要な業務だといえるでしょう。

介護スタッフのまとめ役

介護福祉士は、介護士の中で国家資格によって知識やスキルが認められた、介護職のエキスパートです。他の介護職員をまとめて、職場全体の雰囲気作りやサービス提供体制の充実を目指すのが、介護福祉士としての役割だといえるでしょう。

社会活動の支援

福祉施設の利用者やその家族は、社会や地域のコミュニティから孤立してしまい、福祉施設外での支援を求めている場合もあります。

介護福祉士が率先して利用者やその家族とコミュニケーションをはかり、日常生活における支援を行うことも、介護福祉士としての重要な役割の一つでしょう。

3. 給与が違う

介護士と介護福祉士の違いは、給与面の待遇でも見てとれます。ここでは、厚生労働省が発表している『令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果』を参考に、介護士と介護福祉士の給与の違いについてみていきましょう。

介護士(無資格)の給与はどれくらい?

同調査によれば、無資格者の介護士の平均月収は、271,260円となっています。有資格者の介護士の平均月収319,460円と比較すると、約5万円ほど低い月収水準です。

アルバイトやパートなどの非常勤職員の平均月収は、無資格の介護士が114,910円、有資格の介護士が113,240円となっています。非常勤勤務の介護士の場合、有資格でも無資格の介護士と給与水準がさほど変わらず、むしろ下がっていることがわかります。

介護福祉士の給与はどれくらい?

介護福祉士の平均月収は328,720円で、有資格者の介護士全体の平均月収と比較すると、約1万円ほど高い水準です。社会福祉士や介護支援専門員に次ぐ、高月収の水準になっているのが特徴だといえます。

また、非常勤職員の場合は、介護福祉士の平均月収は128,320円。有資格者の介護士の中で、最も平均月収の高い水準となっています。

4. 転職のしやすさが違う

介護福祉士は国家資格保有者なので、介護士の就職・転職に有利に働く場合が多いです。
株式会社日本総合研究所の『介護人材の需給推計に係る調査研究事業』によれば、2025年までに、介護職員が377,000人ほど不足するという試算が出ています。

さらなる給与面での待遇やキャリアアップを考えるなら、国家資格保有者で専門性の高い介護福祉士を目指す重要性は大きいです。現場をマネジメントでき、専門性が高い介護福祉士の介護現場における貴重性は、今後さらに高まっていくことが予想されます。

介護福祉士の詳しい求人情報は、以下のページで検索できます。

リジョブケア|介護・看護・リハビリの求人

介護福祉士と介護福祉系資格の違いを紹介!

介護福祉士とその他の介護福祉系の資格の違いは何でしょうか?この章では、介護福祉士以外の福祉系の資格と仕事内容について紹介します。介護福祉士とその他の福祉系の資格保有者との違いについて知りたい方は、参考にしてみてください。

1. 社会福祉士との違いとは

社会福祉士と介護福祉士の違いは、資格取得に向けた養成課程の違いや仕事内容に関する部分が大きいです。この章では、社会福祉士の具体的な特徴についてみていきましょう。

社会福祉士の受験資格|大学・短大や養成施設での学習が必要

社会福祉士の受験資格を得るためには、福祉系の大学・短大・指定の養成課程を修了する必要があります。受験資格を得るためのコースは、以下の通りです。

①福祉系大学・一般大学卒業
指定科目履修・4年
②福祉系大学・一般大学卒業+実務1年
指定科目履修・3年
③福祉系大学・一般大学卒業+実務2年
指定科目履修・2年
④「児童福祉司」「身体障害者福祉司」「知的障害者福祉司」「査察指導員」「老人福祉指導主事」の経験が5年以上ある
⑤福祉系大学等卒業+短期養成施設等6ヵ月
基礎科目履修・4年
⑥福祉系大学等卒業+実務1年+短期養成施設等6ヵ月
基礎科目履修・3年
⑦福祉系大学短大等卒業+実務2年+短期養成施設等6ヵ月
基礎科目履修・2年
⑧一般大学卒業(4年)+実務1年+一般養成施設等1年
⑨一般大学卒業(3年)+実務1年+一般養成施設等1年
⑩一般大学卒業(2年)+実務1年+一般養成施設等1年
⑪指定施設で実務4年+1年以上の通信課程を修了した者

福祉系の高校や普通の高校卒の方でも、指定の養成コースに1年から2年通えば受験資格が得られる介護福祉士とは違い、社会福祉士は専門課程を修了した後も、実務経験や養成課程の修了を求められるケースがあります。

受験資格を得る難易度は、介護福祉士よりも高いといえるでしょう。社会福祉士の受験資格については、以下の記事も参考にしてみてください。

社会福祉士の受験資格とは? 資格取得ルートを解説|一般施設・短期養成施設を紹介

社会福祉の仕事とは?|ソーシャルワーカー

社会福祉士の仕事は、高齢者や身体障がい者だけでなく、子供や生活に困っている方に対しての全般的な相談業務です。また、仕事で担当する公的機関との連絡調整や法律・給付金関係の事務作業が含まれることも。

身体介護や生活援助というよりも、介護・福祉サービス利用者とのコミュニケーション、担当部署との連絡調整役としての仕事が主要な業務です。

社会福祉士の詳しい業務内容については、以下の記事も参考にしてみてください。

社会福祉士とは? 仕事内容や将来性を解説|社会福祉士になるにはどうすればいいの?

給料や年収には違いがある?

厚生労働省の『令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果』によれば、社会福祉士の平均月収は363,480円です。有資格者の介護士の平均月収319,460円よりも約4万円、無資格者の介護士の平均月収271,260円よりも約9万円ほど高い水準となっています。

2. ホームヘルパー(訪問介護員)との違いとは

ホームヘルパーと介護福祉士の違いは、ホームヘルパーのほうが介護福祉士よりも、身体介護や生活援助など、介護・福祉サービスの利用者と親密に関わる機会が多いということです。この章では、ホームヘルパーの具体的な特徴についてみていきましょう。

ホームヘルパーの資格とは?

ホームヘルパーになるためには、以下のような研修を終了するか、資格を取得する必要があります。

・介護職員初任者研修
・介護職員実務者研修
・介護福祉士国家資格

ホームヘルパーになるためには、少なくとも「介護職員初任者研修」を修了しなければなりません。福祉関連の知識・倫理・実務について合計130時間学習します。

「介護職員実務者研修」は「介護職員初任者研修」の上位資格にあたり、旧ホームヘルパー1級の試験内容に相当する試験です。

ホームヘルパーとして働くなら、まずは介護職員初任者研修を受けるのがいいでしょう。
ホームヘルパーの資格については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ホームヘルパーになるには資格が必要なの?|おすすめのスクールを紹介

ホームヘルパーの仕事とは?

ホームヘルパーの主な仕事は、排泄・着替え・食事・入浴などの身体介護、家事・洗濯・買い物などの生活援助です。介護サービスを必要としている利用者の身の回りの介護や生活に必要な世話をしていきます。

介護現場でのマネジメントや利用者家族への連絡や相談をすることも多い介護福祉士とは、担当する主な業務内容に違いがみられるのが特徴です。

ホームヘルパーの仕事内容については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ホームヘルパーの仕事内容を紹介|ホームヘルパーを目指すには?

ホームヘルパーの給与はどれくらい?

厚生労働省の『令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果』によれば、「介護職員初任者研修」を修了しているホームヘルパーの平均月収は300,510円です。

介護福祉士の平均月収328,720円、有資格者の介護士の平均月収319,460円よりも低い月収水準であることがわかります。

3. ケアマネジャー(介護支援専門員)との違いとは

ケアマネジャーと介護福祉士の違いは、担当する主な業務内容です。この章では、ケアマネジャーの仕事について紹介します。

介護福祉士との違いについて気になる方は、以下の記事も参考にしてみてください。

ケアマネジャーと介護福祉士の違いとは?|介護福祉士がケアマネジャーを目指すには

ケアマネジャーの資格とは?

ケアマネジャーになるためには「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格する必要があります。上記の試験を受験するためには、以下のような条件が必要です。

国家資格に基づく業務か相談業務に5年以上従事
なおかつ、ケアマネジャーの該当業務に900日以上従事している

令和3年10月10日に実施された同試験では、23.3%という合格率が出ており、合格が比較的難しい試験であることがわかります。

ケアマネジャーになるための資格については、以下の記事も参考にしてみてください。

ケアマネジャーになるにはどうすればいいの?|受験手続きについて紹介!

ケアマネジャーの仕事とは?

ケアマネジャーの主な仕事は、介護・福祉サービス利用者の状況や希望に応じた、適切なケアプランを作成・適宜修正することなどです。また、要介護認定が必要な利用者の判断や介護給付費の申請に必要な資料の作成、利用者と家族の相談も業務に含まれます。

身体介護や生活援助など、現場での介護サービスを提供する機会が多い介護福祉士とは、担当する主な業務内容が異なることがわかるでしょう。

ケアマネージャーの仕事内容については、以下の記事でも詳しく解説しています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)ってどういう仕事?仕事内容や資格取得の流れを解説

ケアマネジャーの給与はどれくらい?

厚生労働省の『令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果』によれば、ケアマネジャーの平均月収は362,290円。介護福祉士の328,780円、有資格者の介護士の319,460円よりも高く、社会福祉士に並ぶ高月収が見込める仕事だとわかります。

介護福祉士は介護士と呼ばれる職業のひとつ

この記事では、介護士と介護福祉士の違いについて解説し、その他の介護資格保有者の仕事とも比較しました。介護士は介護・福祉サービスに従事する職員の総称で、介護福祉士は国家資格を保有している職員を指します。

福祉系の資格を保有する介護士の平均月収は高い傾向にあり、中でもマネジメントや相談業務、ケアプラン作成業務をこなせる人材は、就職や転職に有利です。

介護士と介護福祉士、その他の福祉系の仕事との違いを知って、自分に合った仕事への就職や転職に活かしてみてはいかがでしょうか?

引用元:
厚生労働省|令和3年度 介護従事者処遇状況等調査結果

株式会社日本総合研究所|介護人材の需給推計に係る調査研究事業

公益財団法人 東京都福祉保健財団|令和4年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験

厚生労働省|第24回 介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について

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