生活相談員は未経験でも採用してもらえる?|応募前に資格要件を確認すべき理由とは
生活相談員は、利用者やその家族の相談に乗り、サービス利用の手続きや関連施設との連絡・連携などさまざまな業務を担当します。しかし、単独の資格がなく必要な資格を取得していれば生活相談員として働くことができるため、生活相談員を目指す方も少なくありません。
デイサービスや特別養護老人ホームなど、さまざまな介護施設で生活相談員の求人がありますが、求人内容をよく見てみると採用条件が施設や地域で異なっています。
そのため、生活相談員として働きたいと思ったとき、経験のある方なら問題ないのですが、未経験者だとどうしても採用枠がないのではと不安になってしまいますし、未経験者の手当や給与、勤務先などが気になるという方もいることでしょう。
この記事では生活相談員は未経験でも採用してもらえるのか、未経験者OKの求人内容などについてお話ししていきます。
最初にチェック! 生活相談員の資格要件は自治体によって違うことも!
生活相談員の求人への応募を考えているときは、最初に勤務希望地域の資格要件を確認しましょう。自治体や施設の種類によって条件は変わります。
資格要件が変わる理由は、生活相談員には「専門の資格」がなく、以下の3つの資格のどれかひとつを所有していることが条件であるためです。
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事任用資格
基本的にはこの3つの資格が条件です。しかし、厚生労働省の定めている生活相談員になるための基準がとても不明瞭なので、自治体や施設によって採用条件が異なっているのです。
厚生労働省|社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者
厚生労働省の定めている基準は、社会福祉法の第19条1項の各号のどれかに該当するものです。この各号で必要な資格について明言しているのですが、各号の最後に「前各号のものと同等以上の能力を持つと認められるもの」と定められています。
“第十九条 社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢二十年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。
一 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学、旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)に基づく大学、旧高等学校令(大正七年勅令第三百八十九号)に基づく高等学校又は旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)に基づく専門学校において、厚生労働大臣の指定する社会福祉に関する科目を修めて卒業した者
二 都道府県知事の指定する養成機関又は講習会の課程を修了した者
三 社会福祉士
四 厚生労働大臣の指定する社会福祉事業従事者試験に合格した者
五 前各号に掲げる者と同等以上の能力を有すると認められる者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項第二号の養成機関及び講習会の指定に関し必要な事項は、政令で定める。”
厚生労働省令で定めているものという条件はあるものの、この一文があることで生活相談員になる基準にブレが生じてしまい、求人ごとに資格要件が変わってしまうことが多い傾向にあります。
生活相談員と認められる主な資格|社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士
生活相談員になるための前提資格になっている社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士は、法令で定められている必要資格です。どれかひとつでも所有していれば、生活相談員各自治体や施設で生活相談員として認められます。
自治体によって取り扱いが違う資格|介護福祉士・介護支援相談員
法令では生活相談員になるための条件に、先の3つの資格以外でも応募可能なケースがあります。それは厚生労働省令での「前各号のものと同等以上の能力を持つ」という部分に該当するとみなされる資格です。
自治体が生活相談員を募集している場合は、法令で定めている3つの資格がなくても、介護福祉士や介護支援相談員でも生活相談員の資格があればOKというところもあります。
たとえば大阪府の場合は2015年4月1日から、介護福祉士と介護支援専門員の資格所有者も生活相談員の資格要件に当てはまると周知しました。広島市の求人内容では介護福祉士と介護支援専門員の資格所有者でも応募可能となっていますが、法人からの申し立てをおこない、市が認めた場合にのみ生活相談員としての採用が認められます。
このように自治体によっては社会福祉士などの資格がなくても応募可能と、生活相談員になるための前提条件が異なことが多いので、求人票の資格要件をしっかりとチェックして応募しましょう。
生活相談員の未経験OKの求人はどれくらいある?
複数の求人サイトで東京都かつ正社員という条件で検索してみると、意外に未経験者でも応募可能の求人は多く見つかります。施設によって求人内容はさまざまで、未経験者の給与などの条件も異なります。検索でヒットした未経験者OK求人の内容をまとめた内容を、これからお話ししていきましょう。
未経験者の月給はどれくらい?|東京都の正社員
生活相談員の求人を調べてみると、給与は18万円~30万円とかなり幅があります。30万円という記載があると、未経験でも可能なのかと期待してしまいがちですが、ほとんどの施設では「経験・スキルによる」と明記してあります。
そのため、未経験者の場合は最低額からスタートすることが多いでしょう。介護職などほかの職種の経験年数が高い、あるいは介護に有利な資格などがあれば給与金額を考慮される可能性があります。
求人に提示されている給与金額の最低額を考えると、未経験では18~26万円程度と考えておいたほうがよいでしょう。基本給や夜勤手当・交通費のほか、施設によっては介護福祉士などの資格に対して手当を支給・昇給のある施設が多いです。
勤務先は?|老人介護施設が多い
生活相談員の未経験者募集は、市区町村の役場や医療関係施設ではあまり出ておらず、老人介護施設が圧倒的に多く見られます。そのなかでもデイサービスが一番多く、ついで有料老人ホーム・特別養護老人ホームとなっています。
仕事内容は?|デイサービス業務や契約業務など
基本的に未経験者・経験者で仕事内容が大きく異なることはないと考えてよいでしょう。求人で募集している業務内容には、以下のようなものがあります。
・介護業務
・利用者やその家族の相談受付け
・通所介護計画書などの作成
・入所・対処手続き
・レクリエーションの企画
・リハビリのサポート
・地域や関連施設との連携や調整
複数の求人票をみていると、業務内容は生活相談員の仕事だけでなく、介護職との兼務を希望している施設が多くあります。さらにデイサービスの場合、施設によっては利用者の入浴や送迎が業務に含まれることが考えられます。
手当はどんなものがある?|資格手当・通勤手当
生活指導員の給与は、施設によって基本給のほかにさまざまな手当がつけられます。よくある手当には次のようなものがあります。
・交通費
・夜勤手当
・資格手当
・宿直手当
・住宅手当など
交通費に関しては、高いところだと30,000円を上限としている施設もあります。
特別養護老人ホームでの手当の一例をみてみましょう。
宿直手当:4,500円
社会福祉士手当:20,000円
社会福祉主事手当:30,000円
夜間電話登板:1回1,000円
住宅手当:10,000円
扶養手当:10,000円
このほかに入浴やリハビリをメインとしている施設では、入浴手当や送迎手当が付くこともあります。入浴の場合は1日利用者1人につき100円、送迎は1回100円として計上する施設もあるようです。
生活相談員は未経験OKの求人もアリ! まずは資格要件をチェックしよう!
これまでお話したことをまとめると、法令では生活相談員になるための条件に、社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格のどれかひとつが必要です。しかし厚生労働省令での基準が不明瞭なので、多くの自治体や施設では、介護福祉士や介護支援相談員の資格でも採用可能とされています。
実際に生活相談員の求人を調べてみると、未経験者OKの正社員での求人は多い傾向にあります。東京都内の正社員ではデイサービスでの募集が多く、給与は未経験の場合は18~26万くらいが相場です。仕事内容は生活相談員だけでなく、介護業務も兼務している施設がほとんどで、利用者の送迎のために普通自動車の運転免許必須としている施設もあります。
施設によって募集要項の内容が異なるので、未経験者の場合は資格要件をしっかりとチェックして応募しましょう。
出典元
大阪府 生活相談員の資格要件について
http://www.pref.osaka.lg.jp/koreishisetsu/osirase5/soudanninn.html
広島市
各サービスの生活相談員の資格要件について サービスの生活相談員の資格要件について
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1359460829337/simple/common/other/51233d1a014.pdf
ハローワークインターネットサービス 東京都 生活相談員 経験不問
https://www.hellowork.go.jp/servicef/130050.do