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特集・コラム 2022-10-31

生活相談員とは?生活相談員になるために必要な条件や仕事内容、メリットや給料について解説

「生活相談員」という仕事について、意外とよく知らない方も多いでしょう。しかし、介護の現場では配置が義務付けられているとても重要な職業です。

利用者さんが望む暮らしを実現するため、幅広い場面で活躍しています。今回はおもな仕事内容やこの職種を目指す場合の条件などについて、詳しくご紹介します。

生活相談員とは?

生活相談員とは、ソーシャルワーカーとも呼ばれる職業です。介護施設の窓口となり、利用者さんやそのご家族、各行政機関と連携して、問題解決にあたるのがおもな仕事となります。

ほかにも、施設における不満や不安の相談に乗ったり、外部からのボランティアや実習生の受け入れを調整したりと、施設内外の人間関係のパイプ役を担うことも大事な業務です。

ケアマネジャーや支援相談員とはどう違う?

生活相談員と混同されやすいのが、ケアマネジャーや支援相談員です。名前は似ていますが、これらには明確な違いがあります。

ここでは、ケアマネジャーや支援相談員という職業が、生活相談員とどう違うのかを確認しておきましょう。

ケアマネジャーとの違い

ケアマネジャーは利用者さんごとのケアプランを作成し、各機関との調整をする役割を担います。一方、生活相談員は相談窓口となるところまでは同じであるものの、ケアプランを作成することはできません。

また、ケアマネジャーは国家資格です。医療や介護の有資格者であり、なおかつ実務経験がなければ資格取得のための試験を受けられません。これらの点が、ケアマネジャーと生活相談員の大きな違いといえます。

支援相談員との違い

生活相談員と支援相談員との違いは、就業する施設が違うことです。支援相談員の場合は、在宅での復帰に向けた相談業務を担うため、介護老人保健施設のみでしか働けません。

しかし、生活相談員の場合は、介護施設で生活する利用者さんの悩みや不安を解消することが目的なので、さまざまな高齢者福祉施設で働けます。生活相談員が働ける職場についてはのちほど解説しますので、ぜひ確認してみてください。

生活相談員を目指すメリットはある?メリットを紹介

生活相談員として働こうと悩んでいる方に向けて、ここからは生活相談員を目指すメリットをご紹介します。生活相談員として働くことで、一体どのようなメリットを得られるのでしょうか。

生活相談員を足がかりにさらなるキャリアアップが望める

生活相談員は自治体にもよりますが、資格がなくてもなれる仕事です。介護や福祉の仕事の多くは無資格で働けないため、無資格のままで福祉の世界へ足を踏み込めるのはメリットでしょう。

また、生活相談員として働くことで実務経験を積むことができるため、のちにケアマネジャーなどの国家資格にチャレンジするなど、キャリアアップをしたい人にとっては足がかりにできます。

夜勤がないため生活リズムが整いやすい

介護や福祉の仕事には、夜勤が必須となることが多いです。しかし、生活相談員は利用者さんやそのご家族から相談を受ける業務が多いという特性上、ほとんどが日勤のみのシフトとなります。そのため、睡眠サイクルの乱れなどに悩まされることもありません。

また、カレンダー通りの出勤になることが多いので、プライベートや家庭との両立もしやすいのが特徴です。

生活相談員の業務内容とは?

おおまかな生活相談員の仕事については前述しましたが、具体的な業務内容までは知らない方も多いでしょう。ここでは、生活相談員の詳しい業務内容をご紹介します。

相談援助業務|利用者さんやそのご家族

介護保険サービスは入所や介護について幅広く、利用者さんの自由意思と各事業所の責任との間で契約を結んではじめて実施される内容です。

利用者さんやそのご家族の情報については、主治医やケアマネジャー、事業所の管理者などと共有していきます。

手続き業務|入退所や居宅サービスなど

入所施設を決めたり、入退所に関わる手続きをおこなったりします。利用者の入退所時や居宅介護サービスを利用する際の手続きなど、段取りや流れがすみやかにいくようにサポートする業務です。

連携業務|ケアマネジャーへの連絡など

ケアマネジャーと密に連絡を取り合うほかにも、市町村との連絡調整役を担うこともあります。利用者さんのささいな変化や悩み事などは見逃さず、気になることがあればケアマネジャーに報告することも。

お互いに仕事上のよきパートナーとして、円滑なコミュニケーションを図るよう努めていきます。

計画作成業務|ケアプラン作成の支援など

利用者さんやその家族から受けた相談内容は、ケアプラン作成時の必要な参考となる情報です。

サービス担当者会議に入り、ときには助言をおこない、居宅サービスの計画書を作成するほか、入所のためのケアプラン作成をサポートします。

生活相談員が活躍する職場は?|勤務する施設によって業務内容は変わる!

生活相談員がおもに活躍する職場には、一体どんな施設があるのでしょうか。ここでは、勤務することになる施設とそこでの業務内容の違いを解説します。

特別老人養護ホーム|相談業務や調整業務

特別養護老人ホームは、在宅での生活が難しいとされる人が入所している介護保険施設のひとつです。要介護3~5と比較的介護度の高い利用者さんが入所しています。

主に入退所の手続きや病院を受診する際の送迎、電話応対や受付業務、保険請求業務、他の職種や自治体との連絡調整業務など、業務は幅広いのが特徴です。ちなみに配置基準は、利用者100人に対し、常勤1人以上と定められています。

デイサービス・デイケア|計画作成や連携調整

デイサービスは日帰りで利用者が入浴・食事、機能訓練、レクレーションなどをおこなえるサービスです。利用者一人ひとりの健康状況や生活環境、家族の様子などを把握し、援助計画の作成をサポートします。

そのほかにも契約に関する手続きや記録、事務的な作業なども業務に含まれているのが特徴です。それぞれの施設で1人以上配置することが定められており、なおかつ生活相談員か介護職員の中で1人以上は常勤である必要があります。

ショートステイ|ケアプラン作成や職員の調整

ショートステイとはなんらかの理由から自宅で介護をおこなうのが一時的に難しくなった際、短い期間で入所して、身体介助や生活支援、機能訓練などを受けられるサービスです。相談援助やほかの職種との連絡調整がおもな仕事となります。

また、宿泊予約管理をおこなうこと、サービス担当者会議に出席し、情報を共有してケアプランの作成をサポートするのも業務内容に含まれます。利用者100人に1人以上の配置で、うち1名は常勤であることが条件です。

生活相談員になるにはどうすればいいの? 資格は必要?

生活相談員になるにはどうすればよいのでしょうか。ここでは、資格要件の内容を中心に詳しくご紹介します。

生活相談員は職種。専門の資格はないが条件がある

生活相談員という資格はありませんが、その職種に就くにはいくつかの条件を満たす必要があります。

ただし、自治体によっては以下で解説する資格を保有していなくても実務経験があればなれる場合もあるようです。

生活相談員として働くための資格要件は?

資格要件について、国で明確な提示は存在せず、各自治体によってさまざまな基準があります。

生活相談員として働く際に、持っておくと役立つ資格についてご紹介していきますが、資格要件については必ず各自治体に問い合わせ、確認するようにしましょう。

厚生労働省|社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者

厚生労働省の社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者に関する規定があります。ただし、規定には不明瞭な点もあるため、実際には各自治体が規定を定めているのが現状です。勤務を希望する自治体へ問い合わせて確認しましょう。

以下の例は青森県の場合です。
・大学や専門学校で指定の科目を修めて卒業した
・指定の養成機関あるいは講習会を修了した
・社会福祉士
・精神保健福祉士、あるいは上記と同等の者として認められる場合

①社会福祉士

社会福祉士は、おもに病気や障がいなどなんらかの理由により、日常生活を送ることが難しくなった人を対象に相談援助をおこなう仕事です。

国家資格であり、おもに高齢・障がい者・児童・母子施設や医療機関、行政・社会福祉協議会、学校やその他相談機関などで業務に携わります。

②社会福祉主事任用資格

任用資格とありますが、公務員が特定業務に任用とされる際に用いられる資格のことで、社会福祉主事任用資格は社会福祉法第18、19条にもとづいた資格です。

おもに、社会福祉事務所などで、高齢者や心身障がい者、児童や生活困窮者などを対象として相談援助業務のプロとして活躍しています。

③精神保健福祉士

精神保健福祉士とは、精神保健福祉法にもとづいて、精神面で障がいを持った人に対し、相談援助業務などをおこなう国家資格です。

医療機関をはじめ、精神保健福祉センターなどの福祉行政機関、更生保護施設などの司法施設やグループホームなどの生活支援サービスを扱う場所で活躍しています。

④介護福祉士

介護福祉士は、社会福祉士および介護福祉士法にもとづいた国家資格です。高齢者の入所施設や通所施設、訪問介護の現場などで介護のプロとして活躍しています。

⑤介護支援専門員

介護支援専門員は、一般的に「ケアマネ」という名称で知られている資格で、国家資格ではないものの公的資格として各都道府県で資格試験がおこなわれています。

おもに、居宅介護支援事業所や特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設で、利用者さんののぞむ暮らしの実現に向けたケアプランの作成をはじめとしたさまざまな業務を担当します。

⑥その他同等以上と認められる能力を有する者

これまで5つの資格をご紹介してきましたが、これ以外に、「その他同等以上と認められる能力を有する者」が生活相談員として働けます。

ただ、厚生労働省の基準がはっきりと示されているわけではなく、各自治体によって、条件はさまざまであるのが実態です。とくに資格がなくても、生活相談員として働けるところもあります。

たとえば、広島では、「特定施設入居者生活介護の生活相談員」、青森では「社会福祉施設等で2年以上介護又は相談業務に従事した者」、和歌山では「その他同等以上と認められる能力を有する者(※介護業務の実務経験が1年以上ある者)」などです。

生活相談員の一日は?|一日のスケジュールの例を紹介

生活相談員がどのような一日を過ごしているのか、ここでは生活相談員の一日のスケジュールを確認しておきましょう。

8:30 出勤。メールチェックや当日の予定を確認
9:00 朝礼後に始業開始
10:00 会議、打ち合わせ、利用者さんやそのご家族の相談対応や外部機関との連絡調整。デイケアなど外部から利用者さんが来る施設では、利用者さんのお出迎えや車いすの介助なども一緒に対応する
12:00 昼休憩。生活相談員が2人いる場合は、相談窓口業務が滞りなくおこなえるように交替でとる
13:00 デスクワーク、相談業務、打ち合わせ。施設内の会議がおこなわれるのもこの時間のため、ほかの介護職などとの合同会議をすることもある
15:00 デイケアなどでは、この時間に送迎業務を手伝うこともある
17:00 今日の仕事内容を整理。伝達事項を関連機関やケアマネにしたり、翌日の業務内容を把握したりする
18:00 業務終了

生活相談員の給料は?やりがいはある?

生活相談員として働くならば、給料のことややりがいがあるのかについても把握しておきたいところです。ここでは、生活相談員の平均給料ややりがいを感じる瞬間などご紹介します。

生活相談員の平均給料はやや高め

厚生労働省が発表した2021年の「介護従事者処遇状況等調査結果」によると、生活相談員の給料は平均33万8,370円となっているため、介護職のなかでは高めであることがわかります。

夜勤をせずに、デスクワークでこれだけの給料をもらえるのは介護以外の職種でもなかなかありません。そのため、キャリアアップだけでなく、給与アップを目指したい人にもおすすめの職種です。

生活相談員がやりがいを感じる瞬間は?

生活相談員の仕事をすることで、どのようなやりがいを感じられるのでしょうか。ここでは、生活相談員として働くうえでやりがいを感じられる瞬間をご紹介します。

関わった利用者さんやご家族の役に立てたと実感したとき

介護に関する悩みは非常に複雑であり、ときに難しい問題も起こります。自分の知識だけでは解決できない問題も起こることがあるでしょう。

このようにさまざまな問題に直面したときに、自分の知見を活かしつつも、各部署への橋渡しがうまくいき、問題が解決したときにやりがいを感じる方が多いです。また、利用者さんやそのご家族から感謝されれば、さらにやりがいを感じられることがあります。

さまざまな人との関わりが持てる

生活相談員として働いていると、利用者さんやご家族だけでなく、ケアマネや外部の各関連機関など多くの人と関わりながら仕事をすることになります。

介護の仕事はどうしても閉塞的な環境になりがちですが、生活相談員は外部との関りが多いので、視野が広がるでしょう。視野を広げて社会のさまざまな問題を注視しながら働けることに、やりがいを感じられる可能性があります。

多くの知識を得られる

利用者さんやそのご家族の相談に乗ったり、関係機関と交流したりといった仕事のなかで、介護に関する知識を得られることにやりがいを感じられます。

また、日々の業務に携わるなかでの関係機関との橋渡しにより、ほかの機関のことも詳しくなれるでしょう。

生活相談員に向いているのはどんな人?

生活相談員として働いてみたいけれど、自分が生活相談員に向いているかどうかわからない方は多いでしょう。ここからは、生活相談員として向いている性質の人をご紹介します。

親しみやすい雰囲気があり、根気強い人

生活相談員は利用者さんやそのご家族、さらには施設内の職員などさまざまな方からの相談を受ける仕事です。そのため、相談員自身に話しやすいと感じさせる親しみやすさがあることが重要となります。

また、相談内容によっては利用者さんとご家族、さらには関係各所との板挟みになってしまうこともあるため、そのたびに根気強く向き合い、問題解決できる人が向いています。

人とのコミュニケーションが好きな人

生活相談員の業務は、多くの人と関わる内容です。親身になって相談に乗り、問題解決のために動く必要があります。

このことから、人の話を聞くことが好きなど、コミュニケーションを取ることに苦を感じない方が向いているでしょう。さらに頼りがいがある人だと、相談もされやすくなります。

介護職としてスキルアップしたい人

すでに介護職としての経験がある場合は、その知見を活かして仕事ができます。そのため、将来的にスキルアップをして、ケアマネジャーなどの資格取得を目指している人は生活相談員に向いているでしょう。

介護職としてスキルアップ!生活相談員は実務経験だけでなれることも。自治体に確認してみよう

生活相談員は、自治体によっては資格不要で実務経験だけでなれることもあります。また、生活相談員の仕事をすることによって、介護の世界でのスキルアップにも繋がっていくでしょう。

生活相談員として働きたい、スキルアップしたい方は、お住まいの自治体に資格の必要性などを確認してみるのがおすすめです。

引用元サイト
厚生労働省 令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果

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